シブヤ大学

授業レポート

2012/3/30 UP

今改めて学びたい、もしもの時に役立つアイデア実践術!

3月11日の東日本大震災から1年。
今回は、OLIVE PROJECT代表の太刀川 英輔先生による、『被災地で、生きるために必要な物を身の回りの物で作る』というワークショップ形式の授業が行われました。

カフェで被災したというリアルな設定の下で、5人ほどがグループになり、被災時に起こる問題をメンバー全員で協力し解決します。その場には、ジーンズ、ペットボトル、ガーゼ、ダンボール、ビニール紐、オリーブオイル等、レジ袋、ハサミ、ノリ、新聞など日常生活でよく目にする物が用意されています。

最初の課題は、避難の際、荷物を運ぶためのリュックと、粉じんを防ぐマスクを作るという二つ。
答えは全く解らず、想像だけで日用品の中から形になりそうなものを探していきます。
各班、様々なアイデアがたくさん出ていました。答えは強度のあるジーンズをリュックのようにするというもの。さらにそれを紐やストッキングで補強したり、ポケットを利用して、荷物がたくさん入るようにしたり。どの班のリュックも、1.5リットルのペットボトルに水を入れた状態で、2本持ち運びができ、十分に実用性もあります。
粉じんを防ぐマスクは伸縮性のあるストッキングを加工して作ります。「ストッキングは包帯にもなるし色々なことにとても役に立つ」と先生。全てのグループがみごと正解しました。

次は、明りの確保です。
単1電池を2本使用する懐中電灯で、単1電池が1本しかなく、代わりに単3電地を使う場合どうするか?
正解は、単3電池を紙で単1電池の太さにし、高さを1円玉で増すというもの。正解はあるものの、紙の代わりにストッキングで巻いたり、1円玉の代わりにアルミホイルで高さを増したり、ある班では、単1電池は使わずに単3電池を3本並列にまとめてつけるという高度なアイデアも飛び出しました。

また、懐中電灯がない時にはどのように光を確保するかという課題も。
各班、オリーブオイルにタコ糸で作った芯を固定して火をつけるというのがほとんど。正解はより安定性を出すために、水の上にオリーブオイルを浮かべてから割り箸に糸を挟んで浮かべ、火をつけるという方法でした。さすがにこれは習わないと分かりませんでした。

後半は、それぞれの班が自分たちで課題を設定し、あるもので使えるものを作るというもの。それぞれのグループで、衣服や帽子、おもちゃや楽器を作ったりと色々なアイディアが出て盛り上がりました。

工夫次第で、身の回りの物から、生きるために必要なものが意外と簡単にできることは、驚きでした。それに人間は、生きるために、想像力を働かせ、想像以上のアイデアを生み出せるのだと実感。震災の記憶を風化させないよう留めつつ、みんなでワイワイ協力しながら、もしもの時に生き抜く方法を考える面白い授業となりました。


(ボランティアスタッフ 塚原友梨子)