シブヤ大学

授業レポート

2007/2/26 UP

「Do you understand English? 英語で説明してしまった方が、きちんとした意味が伝わる言葉があるから、ちょっと英語が出ちゃったらごめんね」
チャーミングな笑顔と場を和ませる軽やかな言葉で登場したのは、スウェーデンから来日して15年になるという環境コンサルタントのペオ・エクベリ先生。1ヶ月にサッカーボール1個分のゴミしか出さないというペオ先生は、「今日は買い物と世界のつながりから、ショッピングの仕方によって世界は変わるのだということを伝えにきました。では出発しましょう!」と、楽しい雰囲気をつくってお買い物講座を開始しました。。

「世界一環境破壊するのは日本人です!!」。ドキッとする一言に思わず、生徒もみんな顔を上げる。理由は、日本人の買い物の仕方に現れているという。日本人は買い物をするとき、カワイイナ、カッコイイナ、よし、買おう。と安易に買い物をしてしまいがちだ。しかし、スウェーデン人はカワイイナ、カッコイイナだけでは買わないという。商品がどうやって作られて、使い終わったらどう捨てられていくのかを考えて買うという。

「今、世界の人口の約1/4(先進国)が、世界の資源の約3/4を利用している。世界中が、先進国と同様の暮らしをすると、4つの地球が必要になる。地球は4つにはならない。それならば、資源を4分の1で済むようにもっと効率的に活用することが必要なのではないか」とペオ先生は考える。

30,000,000種類の動植物が地球には存在しているが、その中で人間だけが環境破壊をしているという。なぜだろうか? 他の動植物は自然のルールにしたがっているが、人間だけが自然のルールに逆らっているからだという。人間だけが問題を起こしているのならば、解決できるのは人間だけなのではないだろうか。

【今日紹介した3つ自然のルール】
1.自然に還すことができる以上に(資源を)とらないようにしましょう
2.生物多様性を守りましょう
3.できるだけ地下から(資源を)とらないようにしましょう

「単純だけど、例えばコレだけでよい話なのだよ」とうもろこし製ボールペン、太陽光充電式携帯電話を手にして、ペオ先生はこう語る。

「プラスティックは石油から出来ている、土に還るまで100万年かかる資源だ。でも、とうもろこしは半年でできるし、すぐに土に還る」
「携帯電話に使われるタンタル金属の採掘(に伴う開発)のため、アフリカでは、絶滅危惧種のマウンテンゴリラが危機に陥っている。携帯電話は頻繁に買い替えしなくても、バッテリーだけ変えれば良いはずです。そうすれば、お金も安く済むよね」
「地上の資源を利用するだけならば、地上の環境でCo2は循環するけど、地下の資源に手を出すと、Co2は地上の環境で循環しきれなくなる。だから、地下にある化石燃料ではなくて、地上にあるグリーンエネルギーを使うようにすると良いのだよね」

 例えば、プラスティック製の携帯電話を1年に一回機種変更するのではなく、とうもろこし製の携帯電話を使い、太陽光充電器を効率的に活用すると、それだけで、使用資源を何100万分の1にすることができるのだという。

日本は環境に良い製品を作る技術にはとても優れた国だという。だから、環境大国のスウェーデンでも日本の環境技術による製品を使っていることも多い。だけど、日本は環境技術があるのにかかわらず、なぜかその環境技術を生かした製品が日本では販売・生産されていないものが多い。なぜなら、日本ではそういった製品を買う人が、まだ少ないからだ。

ペオ先生は授業の最後にこんなメッセージを残してくれた。「以前に環境リサーチを兼ねて、世界一周新婚旅行に出かけた。世界のいろんな場所に行くと、スウェーデンのことは知らない人が多いけれど、日本のことは知っている人が、とても多かった。(日本人の妻を見て、子供はポケモン、ポケモンって言いながら寄ってくるしね。)日本は世界一環境破壊をする国かもしれないけれど、世界で有数の影響力のある国だ。だから、日本人一人一人が変われば、日本は世界を変えられるかもしれないよね」

『買い物から世界を変える』チャーミングに世界を変える方法を学んだ授業は、ペオ先生の夢が詰まった授業だった。

(ボランティアスタッフ 増沢輝)