シブヤ大学

授業レポート

2012/1/27 UP

切り絵ワールドへようこそ!

急に冷え込み、出かけるのも億劫になりそうな、土曜の午後。
小学校の時に使ったあの四角いスツールが並ぶ図工室で、切り絵の授業が始まりました。

本日の講師はムートン・チャックさん。
「切り絵というと、こんな昔、絵本で見たようなものや仏像みたいなものをイメージする方が多いと思いますが、こんなものも切り絵なんです。」
そう言って見せて下さったのは、かわいらしい動物やお花などの形を切り抜いて貼ったコースターです。
雑誌のタイトルバックなんかにも使われていて、こんなオシャレなものが今日は作れるのね、と期待感が高まりました。


さっそく、作業に入る前に、まずは、怪我のないカッターの使い方を学びます。
必ず、奥から手前に向かって切ること。これが鉄則だそうです。
手元を覗き込む姿勢をとったり、切っている手の方を回したりすると、思わぬ怪我につながるので、紙を動かしながら、どんな時も常に奥から手前に向かって切るようにします。
この方法を練習するため、まずは、星型や円形を紙からくり抜きました。


少し慣れたら、次は星型を切り出してみます。
独学で10年以上、作品をつくってきたムートンさんは、このように背景を残して形を切り出したものを「残し」、パーツを繰り抜いて使うものを「抜き」と呼び分けています。
そして、なんと、これを知っただけで、最初に見たような作品が作れてしまうというのです。


「もし、切り落としてしまったら、どうしたらいいですか?」
「裏からセロテープで貼り付けるやり方もありますが、私は、それをそのまま作品にしてしまいます。私が星といえば、それは星なんです。それがアートです。」

「定規を使って切ったりしないんですか?」
「切った時に少しゆがんだりするのが味だと思っているので、定規は使いません。大きい作品をつくる時には便利かもしれませんが、カッターとの相性もあります。」


なるほど。とにかく、本当に自由に好きなように切ればいいということなのかと、ムートンさんのほのぼのした雰囲気もあいまって、教室の空気がゆるんできました。

今日はポストカードを作るということで、それぞれ、折り紙と白いハガキ用紙が配られています。
自由に好きにやっていいのかと納得し、
イメージのわいた人は、どんどんカット作業に入っていきました。
切りたい図案が思い浮かばない人は、まず、好きな色の折り紙を手にとり、とにかく好きなものを切って、「抜き」のパーツを作ります。
そうして、切っているうちに、できたパーツに別の形をつなげたり、隣の人とワイワイ意見交換をしたりして、どんどん楽しい作品に仕上がっていきます。

金魚や亀、ワインボトルや木のツル、ハートなど、それぞれが思いついた好きな形、練習で切り抜いた「み」の字や「8」の字、先生が昔、作品を作ったときに切り抜いた後の色紙や、三角や四角の切り屑など、どんなものでも作品のパーツになり得るのが、この切り絵の面白いところ。色々な発想が湧いてきます。

イメージをもって細かい作業を始めると、疑問も生じてきました。例えば、8や4のように「残し」だと完全に離れてしまう部分がある形はどうやって切り抜いたらいいのか、下書きを残さずに切り抜くには?同じ形を大量に作る方法は?
それぞれの質問に丁寧に答えてくださって、更に、切り絵ワールドに深くはまっていきました。


作業へ没頭していると、授業の終了時刻もあっという間に迫ってきます。
どうしても止められない手をどうにか止めて、最後にそれぞれの作品を見せ合ってみると、本当に人それぞれ素敵な作品!!!
数時間で、こうも豊かな作品たちが生まれることに、一同、驚きでした。

こうやって気軽にできるけれども、
実は、奥が深い切り絵の世界。
今日、つくられたポストカードを通じて、もっと多くの人が虜になることでしょう。

素敵な授業をありがとうございました!!!!!

(ボランティアスタッフ 茅野小百合)