シブヤ大学

授業レポート

2011/12/26 UP

みんなの図工室09 ~カリグラフィーでクリスマスカードづくり~

西洋の書道といわれるカリグラフィーを、自分で書いてみよう、という今回の図工室。
ちょうどクリスマス前なので、みんなで描き方を学びながら、実際にカードを作ってみようという体験講座です。

全員が一人参加の初顔合わせだったため、まずは参加者同士の他己紹介をしました。
自己紹介じゃなくて他己紹介?
ええ、そうなんです。
お隣の人の名前と雰囲気で、その人について勝手に紹介してみるのです。
そのあとで、本人が訂正がてら、自己紹介をするという流れ。
つまりはあてずっぽうなんですが、まったく見当違いだったり、かなり近い線まで行っていたりと、結構おもしろくて、笑いながらみんなの紹介を聞いていたら、一通り終わったころにはすっかり場がなごやかになっていました。

それから先生の安野さんに、カリグラフィーについて教えてもらいます。
カリグラフィーには「美しい書きもの」という意味があるとのこと。
たしかに、中世の羊皮紙に書かれていそうな、芸術的文字です。
印刷文字のように、正確な角度できちんと揃っているアルファベット。
なんだか高尚なイメージですが、本当に手書きできるものなのでしょうか。

まず、見せていただいたのは本来、カリグラフィーに使っていたインクにつけて描くペン。
今回は、すぐに描けるよう、先太の専用フェルトペンを使いました。

先生は、2本のペンを並行に持って、ホワイトボードに描いていきます。
角度が違うと、線の太さも変わる、太線と細線のコントラストがカリグラフィーの特徴です。
「はらい」はなく、最後まで力を抜かずに描くという、日本の書道との違いを教えてもらいました。

レクチャーを受けてから、さっそく紙に練習してみました。
文字が美しく見える角度に補助線が引かれている、わかりやすい練習用紙ですが、みんななかなか思うように描けずに四苦八苦。
簡単そうに見えますが、これがなかなか難しいのです。

力を入れ過ぎると線が進まないし、抜きすぎるときれいな線ができません。
緊張すると、手が震えて、線もぶるぶるしたものになってしまいます。
なかなか、印刷文字のような、常に太さが同じものは描けないものですね。

ペンの持ち方も、普通とは少し違います。
人差し指を曲げず、通常よりもずっとペンを寝かせて描かないと、堂々とした文字にならないのです。
そこになかなか慣れずに、とまどう参加者たち。

「むずかしいー」「Christmasって、スペルが多くて、罪つくりですねー」と言いながら、誰もが集中して字に臨みました。
「呼吸困難になっていませんか?」と、先生に心配されるほど、みんな前のめりになって、一心に練習します。
「苦行のようですね」と授業コーディネーターの佐藤さん(オヤビン)が苦笑していました。

文字を練習したあとは、カード作成に取り掛かりました。
色紙やビーズ、リボンや毛糸など、それぞれ持ち寄った手芸品をテーブルの上に広げて、素材をお互い交換しながら、めいめいにカードを作っていきました。
ここでもみんな、集中して黙々と作業に取り組みました。

頑張った甲斐あって、授業終了時間には、オリジナルのクリスマスカードが完成しました。
一人一人、自分が作ったカードを発表します。
どれもが独創的で、ひとつとして同じものはありません。
字もカードも、全て手作りの温かさにみちたものが仕上がりました。

カード売り場などで、カリグラフィー文字を目にすることはありますが、既成のもののほかにも自分で描けるようになると、表現の幅がぐんと広がっていきますね。
材料をずらりと揃える必要がなく、手軽に始められるのが嬉しいところ。
見栄えも華やかな、楽しい趣味になりそうです。

(ボランティアスタッフ: おのでらりか)