シブヤ大学

授業レポート

2011/6/29 UP

バルの国、スペインからの贈り物

最近、わたしの勤務先エリアにも、続々と増え続けているスペインバル。
ガーリックの香りに誘われて、ついつい寄り道してしまいます。

今回は恵比寿にある人気のスペインバル「TIO DANJYO BAR(ティオ・ダンジョウ・バル)」にて、フロア側からキッチンを覗きつつ、オーナーシェフからスペイン料理の奥深さ、スペインの魅力について面白おかしくお話し戴きました。
人気メニューのピンチョスをつまみながら、ビールやサングリアを飲みながら、賑やかで盛りだくさんな授業でした。バルセルナの路地裏に迷いこんだ仔猫の気分!

● そもそも「バル」って?
バルとは、BAR と書いて、スペイン語で「バル」と発音します。
スペイン人の気質の現れなのか、バルは「テキトーになんでもあり」な場所。
スペインに行けばバルはどんな小さな村にもあり、誰もが当たり前に利用します。
まずは朝のコーヒーに始まり、出勤前に朝食をとる人もいれば、朝からお酒を飲んでる人もいたり、暇にまかせてカードゲームをしたり、電話したり、タバコを買いに来たり、ランチしたり、買い物や散歩の合間の休憩にコーヒーやビール、帰宅途中に食前酒代わりの一杯だったり、友人との食事に使ったり、サッカーの試合を見ながら顔見知りとまたまた一杯……と、スペイン人の飲むもの・食べるものならおよそ何でもあるのが、バル。
トーストから酒のつまみ、デザートまで実に様々なものが用意されています。
生活習慣に密着したスペインのバルは、1日の中で、実に多様な役割を果たしています。
常にバルに来る人々にコミュニケーションの場を提供しながらも、その時々で表情は百通り。小皿料理で、ちょっとずつあれもこれも色々食べたいところも、日本人と似ている?
日本の食堂や居酒屋の雰囲気に通じていて、とても楽しそうです。


● ピンチョス3種とパン・コン・トマテ
「ピンチョス」とは、一口サイズの料理で、フランスパンに少量のおかずを載せたフィンガーフード。ピンチョスとはバスク語 pintxoに「串」の意があり、かつては食材を串や楊枝でパンに刺して留めていたことに由来しているそう。オーナーは、日本人のおにぎりのようなものだと話して下さいました。
今回は、彩り美しい3種をご用意してくださいました。ポテトサラダとイベリコ豚のハム&オリーブ、イワシの酢漬け&オリーブ、マッシュルーム。どれも美味しくて、息を呑むほど。一気にお酒が進んでしまいます。見たことのない大きいマッシュルームは、農家に特別に作らせているスペインサイズのマッシュルームだそう。
パン・コン・トマテとはカタルーニャ料理(バルセロナの地域)で一番人気なトマトとにんにくのピンチョス。作り方もいたって簡単。少し焼いたフランスパンにガーリックをこすって、その上、トマトをにんにくの容量でこすって、オリーブオイルをかける。That's it !
最後に、看板メニューの「海老のアヒージョ(海老のガーリックソテー)」の作り方を伝授して戴きました。このレシピの一番大事なところは、ガーリックの扱い方。作り手のコダワリなど、貴重なお話を聞けました。これまでは賑やかな雰囲気でしたが、この時は一瞬静かに。生徒さんは耳を傾け熱心にメモを取っていました。
さっそく今夜のメニューにします!という生徒さんも。
授業のあとは、まだ飲み足りないメンバーで更に1杯。。。
お店のスタッフの方々が気さくにお話して下さり、話が盛り上がり、スペインオムレツに合う美味しいトッピング、サングリアの由来や作り方を教えて戴きました(笑)。
実はサングリアのサングレは「血」なので、赤のみ。最近見かけるようになった白いサングリアってxxxx。

スペインの魅力を心身ともに存分に味わえた、休日の午後。
震災後100日が過ぎた今の私たちに不可欠な、ラテンな陽気さと熱いエネルギーを戴きました。
恵比寿にいながら、バルセロナにあっという間にエスケープできる空間、これはハマリそうです。
次のシーズンこそ、バルセロナに行ってサッカーの試合も観に行きたい!


オーナー檀上さんの言葉:
スペイン人の週末の楽しみは、バルのはしご。
バルにいると「スペインにいる!」という実感が強く感じられます。
瞬時にスペイン人やその庶民生活の一端に接することができて、楽しさ100倍。
スペインに行ったら、ぜひ「地元の人が多いお店」をはしごしてみて。
メニューに値段書いてなかったして、ちょっと怖かったりするけど、トライ!


(ボランティアスタッフ 高木夕子)