シブヤ大学

授業レポート

2011/6/8 UP

"チェンジメーカー"という生き方 ~ブラインドサッカー事務局長の社会起業~

ブラインドサッカーって何でしょう?
ブラインドサッカーとは、目隠しをして行うフットサルのようなもの。
基本的なルールやフィールドの規模は通常のフットサルと変わりありません。
しかしキーパーやコーラー(敵ゴールの後ろで声を出し、見方選手をゴールへ導く役割)以外の選手が全員アイマスクをしているため、選手たちは視覚以外の感覚を研ぎ澄ましてプレイします。
通常のサッカーは、五感のうち95%を視覚に頼っていると言われているだけに、ブラインドサッカーの難しさと選手のすごさを真っ先に感じます。
実際、選手たちはお互いの声を聞き選手に触れることで、自分や他の選手、ゴールの位置情報を頭に入れていきます。
さらには、太陽の向きや選手の熱気さえも感じ取ってプレイする選手がいるというのだから、驚かされるばかりです。


では、ブラインドサッカーは視覚障がい者の為の特別なスポーツかというと、そうではないのです。
目の見える人がキーパーやコーラーとしてプレイするから、という意味でもありますが、それ以上に、いかに工夫してコミュニケーションをとってプレイできるかということが、ブラインドサッカーの本質だからです。
例えばゴールの位置を伝えるだけでも、「左」「東」「9時の方向」というように表現方法は様々で、その良し悪しでシュートも大きく左右されるのです。
正確でわかりやすいコミュニケーションこそが、ブラインドサッカーに最も必要なものであり、それは視覚障がいのあるなしを超えたプレイを意味しています。


今回講師を務めてくださった松崎さんは、ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が混ざり合う社会を実現したいとおっしゃっていました。
「障がい者=弱者」というイメージを、多くの健常者が持ってしまっているなか、障がい者と健常者の心のバリアを取り払えるのは、こうすべきだという“理論”ではなく、“交流”だからです。
視覚障がいのあるなしを超えてプレイできるブラインドサッカーは、まさに視覚障がい者と健常者をつなぐことができるスポーツです。
また、視覚障がい者と健常者の交流は、ブラインドサッカーという競技を存続させる為にも不可欠です。
なぜなら、視覚障がい者だけのスポーツとなると、認知度は上がらず、選手の育成にも限界があり、ファンも限られてきます。
それらが負のスパイラルを生んでしまい、ブラインドサッカーそのものを存続できなくなってしまうからです。
ブラインドサッカーを通して障がい者と健常者の交流を深めることは、障がい者と健常者の壁を取り払う為にも、スポーツとして成功する為にも、大切なことなのです。


授業では、実際に目を閉じて先生の話を聞いたり、目を閉じている人に絵を描いてもらったりして、視覚に頼らないということがどれだけ難しいことかを肌身に感じました。
そして障がい者と健常者について、改めて考えさせられました。
ブラインドサッカーが、障がいのあるなしを超えたスポーツになったら素敵だなと思います。

(ボランティアスタッフ: 白石 優)