シブヤ大学

授業レポート

2011/1/19 UP

サッカーで飯を食う。~サッカー業界の仕事事情~

渋谷区立広尾中学校の教室での授業でした。この日は同じ中学校でブラインドサッカーの授業が続くことも手伝って、ジャージ姿のサッカー小僧たちが20人以上参加しました。親御さんも含め、50人以上がギッシリの中、エビキャンの上田さん、初授業コーディネーターの川内イオさんの進行で始まりました。

まずどんな仕事があるか、生徒さんに聞きながら板書していきます。選手、指導者、通訳、トレーナー、編集者、審判、などたくさんあることを実感しつつ、先生2人にお話してもらいます。
川内さんも含め、みなさんスペインサッカーに精通しています。なので「海外・スペイン事情」という、今一番ホットな話題となりました。

スポーツトレーナーの山田章広さん。
スペイン1部リーグのピッチ(グラウンド)にスタッフとして立った唯一の日本人です。そのときのスナップアルバムも持参してくれました。ライカールトやエトオなど、夢のメンバーとの2ショットなど。日本で治療専門家として保証された道を捨てて、単身スペインへチャレンジ。言葉も覚束ないまま体当たりでクラブ2部チームのトレーナーになり、1部にかけ上がってく様子に生徒は聞き入っていました。

サッカーライターの小澤一郎さん。
サッカーの指導者を志していた小澤さんは、バレンシアのクラブチームの練習に、地元記者でさえ誰もやらない「毎日見学」で突撃。日本と違い、選手や監督はだんだん話してくれるようになったそうです。熱意が人を動かす好例ですね。スペインの第3の都を選んだこともあり、趣味のブログから発信する貴重なバレンシア情報を見初められて、ライターの道を歩むことになりました。

質問の時間では、たくさんの手があがりました。先生がたはとても丁寧に、うまく広げながら答えてくれました。自分から行動を起こす重要性。練習をいかに実戦に近づけるかという工夫。スペイン語ができなくても自己表現をする努力。ホペイロ(道具係)がリスペクトする監督は成功する、などのウラ話も。

子どもたちのコーチをしている大西さんから「ぶっちゃけ、それぞれ仕事のギャラはいくらですかね?」という弾丸シュートな質問に具体的に応えてくれた山田さん。就職にあたり、収入や興味以外の「何か」を思うところがあれば聞きたい、との質問に答える小澤さんは「スペインでは、自分やクラブのためにサッカーをする人が普通。代表のために、という人は一人もいない。だが、自分は日本代表のために、という気持ちも持ってサッカーに関わっている」「メディアの充実をさせながら戦略的にいきたい」。また、山田さんはエスパニョール(中村俊輔選手も在籍したチーム)の練習生になれるパイプ作りにも熱心で、そこに参加したい!という中学生、親御さんもいました。日本のサッカーの未来は明るい!!と、代表ウォッチャーの自分にはグッとくる授業でした。

(恵比寿キャンパス 古川誠二)