シブヤ大学

授業レポート

2010/11/24 UP

木を囲んで読みたい本~夜の読書会@HIDEAWAY

今回の授業は、シブ大では珍しい、平日の夜の授業です。
集合の20時に近づき、会社帰りの生徒さんが少しずつ集まり始めました。

この授業は、「ウィスキーを飲みながら、読書をしませんか?」というバー読シリーズの2回目。今回の授業は「木」と「本」がテーマです。私の率直な感想は、「木」に対しても「本」に対しても、それぞれの人が経験に基づいた「関わり方」「見かた」を持っていて、個性が出て面白いなと言うことです。どちらも私たちの生活から切り離せない身近なものだからこそ、それが表れるのかもしれません。

第1部◆「ツリーハウスのすすめ」
HIDEAWAYは原宿にこっそりとたたずむ、秘密基地のようなお店です。お店の一番奥にはヒマラヤスギが貫通している不思議な作りで、時間がゆっくり流れているように感じます。カフェとしてはもちろん、本や服の販売も行っています。
今回の先生であるRomiさんから、「木」と共存するというお店のコンセプトと、このお店を考案した小林崇さんのお話を伺いました。小林さんは、旅先でのツリーハウスの出会いから、「ツリーハウスのすすめ」という本を読み、大きな影響を受け、自然と共存するようなスタイルに惹かれたそうです。小林さんは、日本に帰国後にツリーハウスをテーマにしたお店の展開を進め、HIDEAWAYはその第1号にあたります。そのため、ご本人の思い入れも強いようで、お店の中には、小林さんの思い出深いパネルや影響を受けた本などがこっそりと並んでいます。

第2部◆「木」の本に合うお酒
今回試飲させていただいた「宮城峡」は、フルーツと木樽の香りがふわりと広がる、女性にも人気のウィスキーなのだそうです。
宮城峡を製造している仙台工場は、創設者の竹鶴政孝が美しい自然ときれいな水のあるこの地で、日本独自のウィスキーを作ろうと工場を建てたのが始まりです。2本の川に挟まれ、100種以上の樹木が存在するこの地は、観光地としても有名な美しい場所です。ここで作られるウィスキーは、複雑で奥深い、優しい味になるのだそうです。
ウィスキーは製造される環境に左右される繊細なお酒。これまで世界の名だたるウィスキーの多くは、海の近くの荒々しい自然環境の中でつくられることが多いものでした。しかし、その中であえて、向上を立てにくい山間部で「宮城峡」を作り始めたのは、創設者の自然に対する思いと、ウィスキーに欠ける情熱があってこそです。

第3部◆HIDEAWAYの木の下で…
さて、今回の会場であるHIDEAWAYの魅力と、おいしいお酒について学んだところで、ここからは生徒さんが主体となって授業を進めるパートに入ります。
シブ大授業では定番の自己紹介ですが、今回は新しい「他己紹介」と言う方法にチャレンジしました。まずは、ペアを作り、1人が相手の第一印象からストーリーを作り、勝手に他己紹介を行います。そして、次にもう1人がその他己紹介の正誤を交え、改めて自己紹介をするというものです。ぱっと見の印象と大きなギャップがあった人も、そうてない人もいました。お酒も入り、全体で10人前後のこじんまりした読書会だったため、自己紹介で一気に場が和みました。普段は緊張しがちな自己紹介ではありますが、とても楽しくできたのではないかと思います。
そして、それぞれが持ってきた本の紹介をします。最初は2つのテーブルに分かれて行っていましたが、最終的にはHIDEAWAYのヒマラヤスギの木の下に丸く集まり、「木」と「本」について語り合いました。環境問題などの堅い話題はもちろん、漫画や写真集、料理本に至るまで、実に様々な本が集まりました。
参加された生徒さんから、「本はその人の考えていることが分かる」という感想を頂きましたが、本当にその通りだと思います。本の選び方はもちろん、好きな本について熱く語る姿を見ると、普段は心の奥底にある思いが、するっと出てきているような気がしました。また、「定期的に読書会を行いたい」「シブヤ大学の図書部と何かしたい」など、生徒さんから積極的な案も出ました。ボランティアスタッフとしては本当に嬉しい限り、ぜひ実現させたい!と思いました。

今回紹介された本は次のようなラインナップです。
ご興味をお持ちの方はぜひチェックしてみてください。

・HEART-FULL / 遠藤 勁 / PHP研究所(エミさん)
・ベニシアの京都里山ぐらし―大原に安住の地を求めて Venetia's Kyoto Country Living / 著ベシニア・スタンリー・スミス 写真・イラスト梶山正 / 世界文化社(ヒノさん)
・旅をする木 / 星野道夫 / 文藝春秋(アキラさん) 
・さあ森のようちえんへ / 文と写真 石亀泰郎 / パルス出版(ミナコさん)
・鉄が地球温暖化を防ぐ /畠山 重篤 / 文藝春秋(コバさん) 
・ツバル-1メートルの島国、その自然と暮らし / 遠藤秀一 / 国土社(アユミさん)
・ブータン-雲の国の子どもたち / 高橋洋 / 大東出版(アユミさん)
・ジャングル大帝LEO1,2/ 手塚治虫 / 小学館クリエイティブ(ヨッシーさん)
・料理の四面体 / 玉村豊男 / 文藝春秋 /(ユリコさん)
・富士日記 /武田 百合子/中央公論社(ユリコさん)
・オーロラの彼方へ / 星野道夫 / PHPエディターズグループ(ミチさん)
・オオカミと生きる / ヴェルナー・フロイント 白水社(ミチさん)
・見えないデザイン / 井出祐昭 / ㈱ヤマハ・ミュージック・メディア(オヤビン)

※アサヒビールの藤澤さんが、ブクログにアップしてくださいました!
  

(ボランティアスタッフ 山田里美)