授業レポート
2010/10/4 UP
<DAY1> シブヤカルチャー大調査2010! ~渋谷の今を切り取ろう~
授業の紹介に「渋谷の街を10年前と比べてみると、ずいぶんとその様相が変わっていることに気づきます」
という内容の文章がありましたね。
いつまでも渋谷は渋谷、と思っていながらも、日々の生活の中でふと気になった瞬間を突き詰めて考えれば、
何か大きな変化が背景に隠れているのかもしれません。
普段働いたり、遊んだりしている街だからこそ、それに気づけたら素敵ですね。
そんな渋谷の街の「今」を調査する方法として今回取り組むのは、定点観測とフィールドワーク。
定点観測は、観測場所を固定して、特定の事象(髪型、ファッションアイテムなど)の数量を計測することで、
流行や潮流の有無やその方向性を明らかにしていく手法。フィールドワークは「現地」に行って生のデータや
情報を感覚含めて掴んで帰ってくる手法、ということのようです。
第1部前半では、実際に調査を行う加藤教授から、フィールドワークの重要なポイントとして
「身体感覚の変化」と「調査地に返すこと」という2点についてお話を伺い、
後半はアクロスの高野さんから、定点観測の歴史や「アクロス」がこれまでに行ってきた具体的な
調査の例について、それぞれお話しいただきました。
参加者は101名とのこと。それに加え、関係者や取材の方々もたくさんいらしていました!
【加藤教授のお話】
1.身体感覚の変化
例:真上はどうなっているだろう?
先生のゼミの卒業生で、地名鉄日比谷線の地下鉄がどんな場所を通っているか、
地下鉄の線路の真上を実際に自転車に乗って撮影するという調査をした方がいらっしゃるそう。
その方は、普段乗っている地下鉄に、調査前には気づかなかった「直角カーブ」があることを知ったことで、
その地下鉄に乗るときはついつい、そのカーブを「待ち受けてしまう」ようになったそうです。
このプロセスには、下の4つのプロセスがあります。
<観察><記録>seeing the ”seeing” of oneself
<言葉を与える>name the world
<話の種にする>
<他の人の「見え」を知る>seeing the “seeing” of someone
調べて知識を得るだけでなく、自分とそれを見る人の体まで変化する。
これがフィールドワークの力、ということのようです。
2.名前をつける(name the world)
そしてその、街で掴んだ「何か」を、言葉に定着させることが必要だ、ということ。
普段はなかなか意識しませんが、掴んだ感覚に名前をつけることで
より一層、実感が深まったり、他人とその感覚を共有できるようになったりする、とのことでした。
3.調査地に返すこと
偉そうな調査員になってはいけない、という指摘も新鮮でした。
調査による発見は、取材などの形で協力をして頂いたお店や住民の方々のおかげであり、
色んな想いやその背景を教えてくれた街の方々には、報告という形で、
きちんと恩返しをすべきだということ。
この「返す」というプロセスが、フィールドワークにとって一番、といってもいいくらい
重要なのだそうです。
【「アクロス」高野さんのお話】
4.定点観測の歴史
古くは今和次郎さんが、明治初期の近代化するファッション(髪型や服装)の様子を
カウントしてみるトライアルを行ったことが、日本における定点観測の始まりだった、というお話。
ちょんまげか西洋風か、着物か洋服か、草履か靴か、というようなことを男女別に比較(男性の方が
西洋化が早く進行)したり、地域を変えて比較してみた(港町では西洋化が早かった)のだそう。
5.「アクロス」式の定点観測
「アクロス」の調査は、30年前に行った、渋谷区3地域×600カット×1年という
膨大な量のファッションスナップの分析からスタートしました。しかし、もちろん調査の量だけでなく、
ファッションとその周辺に反映される、時代性や価値観にも言及し、インタビューによる質的な
研究にも大きな特徴があります。ここで大切になるのは、「何を」「どのように」分析したら
「どんなことが」分かるのか。見るもの・見方しだいで導かれる結果が
つまらなくも面白くもなってしまうそうです。
例えば、銀座・新宿・渋谷の3カ所で、その時に流行していたアイテムを身につけている人の数を
カウントしていきます。その調査を何年も続けていくと、アイテムは変化しても、その数の推移は
着実に変化が見られ、若者のファッションの優位性の高い場所が変化していることが見えてくる。
「アクロス」の定点観測の特徴は、この定量×定性+エスノグラフィーという現地密着の方法です。
時間の変化という座標軸の上で、人・場所・モノコトの関わり見て、渋谷のファッションの「見え」、
興味・関心を高める方法を明らかにしてきました。
6.学科ガイダンス
その後、連続授業のガイダンスがありました。
選抜メンバー30名を想定し、12月まであと5回の演習形式の講義が続くそう。
「アクロス」が続けてきた手法を体験しながら、また様々なゲスト講師(加藤教授をはじめ、
大学教授の方々など)をお招きし講義をして頂きながら産学協同で進めるそうです。
すごく面白い取り組みですね!
【学科生 希望者面談】
そしてその後は、いよいよ今後の授業の参加できるかどうかを決める面接。
結果的に78人もの希望者がいた為、中には長い待ち時間になってしまう人も。
しかも面接時間は1人たった2分。
皆さんこの限られた時間に一生懸命アピールされていました!
一方、面接官の皆さんも選りすぐりのメンバーを揃えるべく、真剣な様子。結果については、
後日ご連絡だったため、ドキドキしながら待つ方も多かったのではないかと思います。
参加された皆さま、本当にお疲れ様でした!
(ボランティアスタッフ 山田里美)
という内容の文章がありましたね。
いつまでも渋谷は渋谷、と思っていながらも、日々の生活の中でふと気になった瞬間を突き詰めて考えれば、
何か大きな変化が背景に隠れているのかもしれません。
普段働いたり、遊んだりしている街だからこそ、それに気づけたら素敵ですね。
そんな渋谷の街の「今」を調査する方法として今回取り組むのは、定点観測とフィールドワーク。
定点観測は、観測場所を固定して、特定の事象(髪型、ファッションアイテムなど)の数量を計測することで、
流行や潮流の有無やその方向性を明らかにしていく手法。フィールドワークは「現地」に行って生のデータや
情報を感覚含めて掴んで帰ってくる手法、ということのようです。
第1部前半では、実際に調査を行う加藤教授から、フィールドワークの重要なポイントとして
「身体感覚の変化」と「調査地に返すこと」という2点についてお話を伺い、
後半はアクロスの高野さんから、定点観測の歴史や「アクロス」がこれまでに行ってきた具体的な
調査の例について、それぞれお話しいただきました。
参加者は101名とのこと。それに加え、関係者や取材の方々もたくさんいらしていました!
【加藤教授のお話】
1.身体感覚の変化
例:真上はどうなっているだろう?
先生のゼミの卒業生で、地名鉄日比谷線の地下鉄がどんな場所を通っているか、
地下鉄の線路の真上を実際に自転車に乗って撮影するという調査をした方がいらっしゃるそう。
その方は、普段乗っている地下鉄に、調査前には気づかなかった「直角カーブ」があることを知ったことで、
その地下鉄に乗るときはついつい、そのカーブを「待ち受けてしまう」ようになったそうです。
このプロセスには、下の4つのプロセスがあります。
<観察><記録>seeing the ”seeing” of oneself
<言葉を与える>name the world
<話の種にする>
<他の人の「見え」を知る>seeing the “seeing” of someone
調べて知識を得るだけでなく、自分とそれを見る人の体まで変化する。
これがフィールドワークの力、ということのようです。
2.名前をつける(name the world)
そしてその、街で掴んだ「何か」を、言葉に定着させることが必要だ、ということ。
普段はなかなか意識しませんが、掴んだ感覚に名前をつけることで
より一層、実感が深まったり、他人とその感覚を共有できるようになったりする、とのことでした。
3.調査地に返すこと
偉そうな調査員になってはいけない、という指摘も新鮮でした。
調査による発見は、取材などの形で協力をして頂いたお店や住民の方々のおかげであり、
色んな想いやその背景を教えてくれた街の方々には、報告という形で、
きちんと恩返しをすべきだということ。
この「返す」というプロセスが、フィールドワークにとって一番、といってもいいくらい
重要なのだそうです。
【「アクロス」高野さんのお話】
4.定点観測の歴史
古くは今和次郎さんが、明治初期の近代化するファッション(髪型や服装)の様子を
カウントしてみるトライアルを行ったことが、日本における定点観測の始まりだった、というお話。
ちょんまげか西洋風か、着物か洋服か、草履か靴か、というようなことを男女別に比較(男性の方が
西洋化が早く進行)したり、地域を変えて比較してみた(港町では西洋化が早かった)のだそう。
5.「アクロス」式の定点観測
「アクロス」の調査は、30年前に行った、渋谷区3地域×600カット×1年という
膨大な量のファッションスナップの分析からスタートしました。しかし、もちろん調査の量だけでなく、
ファッションとその周辺に反映される、時代性や価値観にも言及し、インタビューによる質的な
研究にも大きな特徴があります。ここで大切になるのは、「何を」「どのように」分析したら
「どんなことが」分かるのか。見るもの・見方しだいで導かれる結果が
つまらなくも面白くもなってしまうそうです。
例えば、銀座・新宿・渋谷の3カ所で、その時に流行していたアイテムを身につけている人の数を
カウントしていきます。その調査を何年も続けていくと、アイテムは変化しても、その数の推移は
着実に変化が見られ、若者のファッションの優位性の高い場所が変化していることが見えてくる。
「アクロス」の定点観測の特徴は、この定量×定性+エスノグラフィーという現地密着の方法です。
時間の変化という座標軸の上で、人・場所・モノコトの関わり見て、渋谷のファッションの「見え」、
興味・関心を高める方法を明らかにしてきました。
6.学科ガイダンス
その後、連続授業のガイダンスがありました。
選抜メンバー30名を想定し、12月まであと5回の演習形式の講義が続くそう。
「アクロス」が続けてきた手法を体験しながら、また様々なゲスト講師(加藤教授をはじめ、
大学教授の方々など)をお招きし講義をして頂きながら産学協同で進めるそうです。
すごく面白い取り組みですね!
【学科生 希望者面談】
そしてその後は、いよいよ今後の授業の参加できるかどうかを決める面接。
結果的に78人もの希望者がいた為、中には長い待ち時間になってしまう人も。
しかも面接時間は1人たった2分。
皆さんこの限られた時間に一生懸命アピールされていました!
一方、面接官の皆さんも選りすぐりのメンバーを揃えるべく、真剣な様子。結果については、
後日ご連絡だったため、ドキドキしながら待つ方も多かったのではないかと思います。
参加された皆さま、本当にお疲れ様でした!
(ボランティアスタッフ 山田里美)