シブヤ大学

授業レポート

2010/9/13 UP

写真を通して見えたそれぞれの「親子の日」 

「親子の日」って知っていますか?
5月の第2日曜日は母の日、6月の第3日曜日は父の日、それでは7月の第4日曜日を「親子の日」にしようと、アメリカ出身の写真家、ブルース・オズボーンさんが提唱し、2003年から記念日協会に登録された日なのです。
……ということを、実は私も今回初めて知りました。

シブヤ大学では「親子の日」を応援するオリンパス X OLYMPUS Digital College とのコラボレーション授業企画として、6月20日は「写真で会話してみよう~父の日に写真でワークショップ~」、7月17日は「親子の日は撮影散歩~写真でコミュニケーション」を行ってきました。

そして今回はその第3弾として、28年間親子写真を撮り続けてきたオズボーンさんのお話と、参加者全員が「親子」について考えるグループワークという2部形式の授業を行いました。

●親子写真が語りかけてくるもの

この日、オズボーンさんと一緒に授業の講師を務めたのは、良きアシスタントであり、パートナーである妻の佳子(よしこ)さん。2人は結婚して35年。子どもを授かったころから、オズボーンさんはいろいろな親子写真を撮るようになり、やがてそれがライフワークになっていきました。

1980年に来日し、最初に住んだのが浅草で、「親子の写真を通して、日本の社会を見てきました」などという話を交えながら、正面の大きなスクリーンに、次々と親子写真が映し出されました。加山雄三さん、伊集院静さん、市川團十郎さん、ちばてつやさんなど各界で活躍する著名人から、とび職、消防士、ラーメン屋さんまで、それぞれの親子がとても生き生きとした姿で写っているのです。動きがあって、コミカルで、笑顔がいっぱいの写真は、見ているだけで心が和みます。

「親が過ごしてきた過去、子どもの未来、1枚の写真の中には、時間が幅広く見えてきます。日本の社会はこれからどこへ向かっていくのだろう?と思い、撮り続けてきましたが、段々日本に限定しなくてもいいかなと思い始めました。親子というベーシックで誰でも平等に与えられた関係を再確認するということで…」と、オズボーンさんは話し、7月の第4日曜日を「親子の日」と定めてからは、その日に毎年100組の親子を撮影しています。

今年の「親子の日」に、2人の娘さんとともに撮影をしてもらったというご夫妻がこの授業に参加。「最初は緊張しましたが、とても楽しい雰囲気で撮ってもらえました。家族4人の写真は、大切に玄関に飾ってあります。家の中が明るくなったようです」と、話していました。

●参加者みんなが考える「親子の日」

第2部は、5つのグループに分かれての話し合い。
まずは、「今年の親子の日をどう過ごしたか?」ということを話しながら、自己紹介をしました。

次の質問、「親からの授かりものはなんですか?」については、グループで話し合った後に、それぞれの代表者が発表をしました。
母からは無償の愛、父は超えるべき目標
命、私たちが今ここにいることそのもの、健康な体、
自分を産んでくれたこと、遊んでくれた時間、性格
名前、意識できないもの、反面教師 
なとのキーワードが出されました。

3番目の質問、「来年の親子の日をどう過ごしたいですか?」についても、代表者が発表。
オズボーンさんに写真を撮ってもらいたい
みんなでご飯を食べる、一緒にDVDなどを観る
アルバムを見ながら一緒に過ごす、花火をする、
その日は、親子間の携帯通話料が無料になればいい
などと、お互いの発表を聞きながら「なるほど~」と頷く人も。

最後に再びスクリーンのスライドショーを見ながら、また、さまざまな親子の表情を発見しました。
ちょっと反抗期だった娘と父親の写真があり、時を経て大人になった娘と父が再び撮った、より和やかな雰囲気が出ている写真。

「時間と共に「親」が変わり、「子」が変わり、
関係も変化する。それでもやはり変わらないものがある。」
というオズボーンさんからの大切なメッセージも、映し出されました。

私も一緒になって参加したグループでは、「離れている両親に普段会えなくても、電話ぐらいしなくちゃね」などなど、家族を思う気持ちをたくさん共有して、みんな、なんだか来たときよりも、やんわりとしたいい表情。

「親子の日」って知ってる?
これから会う友人、知人には、胸を張っていろいろと教えてあげましょ!

(ボランティアスタッフ 大野多恵子)