シブヤ大学

授業レポート

2010/2/26 UP

ホームレスと街歩き ~原宿からの挑戦~

 授業の内容は、吉富さん視点で感じたことを原宿の街歩きをしながらして頂きました。

 様々な体験の中でも一番辛かったことは、ある父子の会話を耳にした時で、4歳くらいの子供が「あっ、いつもの人が立っているよ」と、お父さんに話しかけた時子供の目隠しをして「見ちゃいけないよ。あんな風になっちゃうといけないから」と。

 それと、雑誌が一冊も売れない状態が4日間も続き、水だけで過ごしたことを、話す吉富さん。生徒さんたちにとっては、ホームレスの方との関わりはこの授業が初めての方が多く最初は緊張した感じで聞いていましたが、吉富さんの話に吸い込まれていき、自然なコミュニケーションが生まれていきました。


 お腹が減ったところで、みんなでお昼を食べに行きました。竹下通りにある「はなまるうどん」です。吉富さんオススメのメニューは「カレーセット」、お金がない時は「かけ中」に天かす山盛りにするそうですが、各自好きなものを食べました。


 次は一路神宮橋へ向かいました。神宮橋の上では、コスチュームや着ぐるみを着た女の子たちで賑わっていました。吉富さんにとってこの場所とは、まるでテレビを観て楽しむような場所であったのです。吉富さんは「彼女たちから何度も励ましてもらったよ。私たちも頑張っているのだから、おじさんも頑張ってね!」と。


 次は最後の場所へ移動して、代々木公園けやき並木通りです。この場所は、東京朝市アースデイマーケットが開催され、吉富さんもBIG ISSUEの販売をするなど参加してきた場所です。この場所では生徒さん一人一人から吉富さんへの質疑応答です。

 ある生徒さんは「ホームレスということは本当に気力を失うような状態だと思うのに、どうしてそんなに気力に満ちていられるのですか?」と。吉富さんは「本当にどうしようもないくらいどん底の経験を何度もすると、小さなことでも幸せに感じられて気力に満ちてくるんですよ。そして『感謝』という気持ちが大切です。BIG ISSUEを買ってくれてありがとうという気持ち。また、一冊も売れないときは感謝の謝の字に送り仮名を付け『謝(あやま)る』という気持ち」と。

 また「今、生き甲斐や興味あることは何ですか?」の質問には「一つ一つやることの全てが生き甲斐ですよ。声を出す事やゴミ拾いに参加すること。目に入る全てのことに興味がありますよ」と。

 そして、最後の質問「ホームレスの“プロジェクトX”とは?」に、「3月7日でホームレスを卒業します。経験から学んだことを生かして、野菜作りに励みます」生徒さんたちの中から拍手が起こりました。


 生徒さんたちの中には『BIG ISSUE』はどんな雑誌なのか、売っているということも全く知らなかった人たちもいたようでしたが、授業の最後に生徒さんたちがBIG ISSUEを買い求める状況になるほどでした。


 貴重な体験ありがとうございました。


(ボランティアスタッフ:生姜塚 理恵)