シブヤ大学

授業レポート

2010/1/28 UP

将来をデザインする〜私とお金の上手な関係〜

満員というより、超満員。予想をはるかに超える出席率で、追加の席をあわてて準備する。私たち誰にとっても、身近な存在である“お金”。経済状況の悪化?FXや株式投資のブーム?若年層の結婚ブーム?どんなことが原因なのか分からないが、“お金”の授業ってこんなにも多くの人が、真剣な眼差しと共に集まるのか!?と新鮮な驚きを感じる。さて、そうこうしていると、授業コーディネーターの左京さんの紹介を受け、いかにも早く喋りたくてうずうずしているような笑顔で登場したスーツ姿の得丸先生。 

「皆さんお金って興味ありますよね?ただお金のことって常に考えているようで、そこまで深くは考えられていないような気がしませんか?お金を立ち止まって考える機会って実はそんなに多くない。結婚、転職、出産。今日はそんな一生のお金を、ひいては将来を、夢をデザインするためのライフプラン作りのきっかけとなる機会を皆さんと一緒にもつことができればと思います。」

さあ、今日の授業の始まりだ。

自己紹介を兼ねて6、7人で分かれた各グループ内で、今日の授業に来たきっかけを発表しあう。「今、転職を考えていて改めて一生のお金を考えたくてね」「会社が残念なことになって、計画的なお金の大事さに改めて気づいて」「今、年をとって正直お金に苦労している、最近の若い人がどんな風にお金のことを考えているか話をしてみたくてね」世代によって共通の話題によって悩みや、考え方が違う。

得丸先生曰く、「人生ずっと働いていたら、自然と必要な分のお金は溜まっていく。そんな風に思っていませんか?人生でのお金の使い方って一定ではなく、子供が生まれたり、家を建てたり、大きなイベントによって使う時期や額が大きく違います。だからライフサイクルを意識したプランを立てないと、意外と必要な時にお金がないなんてことは良くあることだったりします」

「ライフプランを描くというのは、夢を長く持ちつづけることができるということだと思います。物事を簡単に進めるためには、計画し手順を追うことが大事。意外と難しい料理でも手順さえしっかりと踏めば、簡単にできたりするって言いますよね」

車を買うとき、家を買うとき、子供が生まれたとき、子供を学校に入れたとき、そんな時にかかるお金について、データを見ながら教えてもらう。自分の貯金・収入と、その費用・時期をざっと頭の中で比較すると、『ん、残高がマイナスになる時期があるぞ、子供が二人欲しいって夢が・・・』そんなことを頭に浮かべていたのは僕だけじゃないはずだ・・・。

次は、ある一家の収入、子供の教育費用や家族の旅行回数、車の買い替え回数などのライフイベント計画を基にした将来の家計収支(キャッシュフロー)例題を基にした、グループディスカッション。生涯で4600万の赤字家計を黒字にする方法を議論する。「車の買い替え回数を減らす、新車で5年に一回なんて買い換える夢なんて辞めたほうが良いよ。もしくは中古車にしよう!」「奥さんがパートで月10万稼ごう!」「子供の学校は全て国公立にしよう!」「旦那さんは定年後も再雇用だ!」。限られた時間の中で知恵を絞りながら、お金というよりも生き方の議論。

 「さて、実際には計画したライフサイクルに加え、“まさか”という事態が生じることを考えていくことも大事です。人生には、疾病、怪我、場合によっては亡くなる場合あります。そのためのリスクへの供えをどう採っていくか決めていくのも必要になっていきます。一概に全て正解がなく、人それぞれ違う道筋を作っていかなければいけないのが、お金を考えるときの難しさですね」と得丸先生。

人生もお金も答えのないところに自ら答えを出していく作業なのだろう。不確かな時代だろうと無かろうと、そんなことを改めて感じたことが、私とお金の上手な関係の作り方なのかもしれない。

ボランティアスタッフ 増沢輝