授業レポート
2009/7/10 UP
「自分の暮らしている場所が地図に載っていなかったら、どんな気持ちになるだろう?」
ある島を訪れたとき、
地元の子と見ていた地図に、その島がなかったという出来事から
伊勢華子さんは「せめて人の暮らす島は、全て載っている日本地図をつくろう」と、島々を巡っています。
「今日は、皆さんとお話しているつもりで進めていきたいと思っています。ふふ」
という言葉通り授業は、みんなで伊勢さんとOZマガジン編集長の古川さんを囲んで、
ゆったりお茶をしているような雰囲気で進められました。
日本を形成する島の総数は、6852。
そして、一番北と南と東に位置する島を線で結ぶと…
およよ、サンカク形!
縦長に見える日本ですが、実はサンカク形をしています。
行くまでに外国へ行くよりお金がかかる島や、人の名前がついた島、
ピラミッド型の結晶の塩がとれる島、人口が20人以下の島。
南北東西に散らばり、サンカク形を形成する日本の島々を歩きながら
世界各国を訪れている伊勢さんが思ったのは
「同じ国で、こんなにも違った気候や暮らしをしている国は多くない。」ということ。
日本は世界に類を見ないくらい、表情が豊かな国。
しかし、島には、過疎が進んでいたり、廃校になっていく学校があったり…
という現実もありました。
けれど、これに対して伊勢さんは、「いいとか悪いとかではなく、どうにかしなくちゃとかそういうことでもなく、
大きな流れの中にあるものだと感じた。」と言います。
時代という言葉であらわされるような、果てしなく大きなこと、
その中に存在する一瞬一瞬といった、小さいけれどかけがえのないこと。
田舎に人がいなくなることも、文化が廃れていくものも、
都会にどんどん新しいものが溢れていくことも、歴史の一部なのかもしれません。
「アクセスがいいだけが、生活を豊かにするわけじゃない」と、古川さん。
しまなみ海道へ行ったとき、海道が通らなかった場所に住む方の言葉で印象的だったというのが
「海道が出来たら便利になることもあるのだろうけど、通らなくてよかった。」
というもの。
開通しならなかったからこそ、その場所で形成されるコミュニティがあり、
それは便利さを追求するだけでは、うまれなかったもの。
「実際出会った島の人達はどうでしたか?」という生徒さんからの質問に、
「現実を見ていた」と言う伊勢さんが出会ってきたのは、
地図に載っていないということなんて、とてもちっぽけなことのように
大きく広がる海をそこに感じながら、日々を全うしている人々でした。
ビルの中で生活していると忘れてしまうけれど、わたしたちが今立っている、ここも島。
海に囲まれ、どこへも同じように風は吹き抜ける。
わたしたちは、今いる場所から何を感じるのでしょうか。
6852という島の数を実感したくて、
伊勢さんは、スケッチブックに6852個の丸を描きました。
2日半かけて描ききったとき、伊勢さんが思ったように、
その島のひとつひとつは、「今」を生きる命がきらめく、星のように見えるはずです。
(ボランティアスタッフ 中里 希)
ある島を訪れたとき、
地元の子と見ていた地図に、その島がなかったという出来事から
伊勢華子さんは「せめて人の暮らす島は、全て載っている日本地図をつくろう」と、島々を巡っています。
「今日は、皆さんとお話しているつもりで進めていきたいと思っています。ふふ」
という言葉通り授業は、みんなで伊勢さんとOZマガジン編集長の古川さんを囲んで、
ゆったりお茶をしているような雰囲気で進められました。
日本を形成する島の総数は、6852。
そして、一番北と南と東に位置する島を線で結ぶと…
およよ、サンカク形!
縦長に見える日本ですが、実はサンカク形をしています。
行くまでに外国へ行くよりお金がかかる島や、人の名前がついた島、
ピラミッド型の結晶の塩がとれる島、人口が20人以下の島。
南北東西に散らばり、サンカク形を形成する日本の島々を歩きながら
世界各国を訪れている伊勢さんが思ったのは
「同じ国で、こんなにも違った気候や暮らしをしている国は多くない。」ということ。
日本は世界に類を見ないくらい、表情が豊かな国。
しかし、島には、過疎が進んでいたり、廃校になっていく学校があったり…
という現実もありました。
けれど、これに対して伊勢さんは、「いいとか悪いとかではなく、どうにかしなくちゃとかそういうことでもなく、
大きな流れの中にあるものだと感じた。」と言います。
時代という言葉であらわされるような、果てしなく大きなこと、
その中に存在する一瞬一瞬といった、小さいけれどかけがえのないこと。
田舎に人がいなくなることも、文化が廃れていくものも、
都会にどんどん新しいものが溢れていくことも、歴史の一部なのかもしれません。
「アクセスがいいだけが、生活を豊かにするわけじゃない」と、古川さん。
しまなみ海道へ行ったとき、海道が通らなかった場所に住む方の言葉で印象的だったというのが
「海道が出来たら便利になることもあるのだろうけど、通らなくてよかった。」
というもの。
開通しならなかったからこそ、その場所で形成されるコミュニティがあり、
それは便利さを追求するだけでは、うまれなかったもの。
「実際出会った島の人達はどうでしたか?」という生徒さんからの質問に、
「現実を見ていた」と言う伊勢さんが出会ってきたのは、
地図に載っていないということなんて、とてもちっぽけなことのように
大きく広がる海をそこに感じながら、日々を全うしている人々でした。
ビルの中で生活していると忘れてしまうけれど、わたしたちが今立っている、ここも島。
海に囲まれ、どこへも同じように風は吹き抜ける。
わたしたちは、今いる場所から何を感じるのでしょうか。
6852という島の数を実感したくて、
伊勢さんは、スケッチブックに6852個の丸を描きました。
2日半かけて描ききったとき、伊勢さんが思ったように、
その島のひとつひとつは、「今」を生きる命がきらめく、星のように見えるはずです。
(ボランティアスタッフ 中里 希)