シブヤ大学

授業レポート

2009/7/22 UP

食べることってすごいこと。

原宿近く、「トラットリア マンジャペッシェ」というレストランで行われた今回のシブヤ大学。
イタリアのような開放的な造りの建物ながらも、品を感じさせるレストランでの授業はいつものより少しオトナめ?!特別な日にお呼ばれしたような雰囲気で授業は始まりました。

さて、そもそも今回の授業の東京ローカルレストラン。
彼らは一体どんな活動をしているのでしょうか。

東京ローカルレストランとは、食を通じてメッセージを世の中へ発信しようというもので、食の専門家であるメンバーが有志で集まり、ローカル隊として、日本にある皿の向こう側のもう一つの物語、生産者の想いを届けようというのがきっかけで始まったプロジェクトです。
その舞台として考えたのが都内にある一流のシェフがいるレストラン。
日本各地の食材を土地では味わえない味付けで新たな郷土料理として生まれ変わらせます。
美味しさを味わう楽しみを提供しつつ、「食」に対して聞いた知識ではなく、食べるという実感を伴って考え、
なにかを感じてもらえばいいなと思い2008年10月からプロジェクトは進行しています。

フルコースの前にまずは食材のそのままの味を頂く試食からスタート。同時に、レストラン内に設置されたスライドに、食材の生産者の顔が映し出され、その食材のエピソードを生産者が自身の言葉で語っていきました。
「牛は小3、小4の子どもと同じ。風邪をひけば涙だって出るし、毎日観察しなきゃだめなんだ」と話す、讃岐牛の生産者合田さん。「アスパラでは絶対誰にも負けたくない。だから、みなさんの率直な意見を聞いてどんどん改善したい。」と話す、アスパラの生産者の眞鍋さん。みなさんの食材にかける想いは真剣そのもの。そしてまるで自分の子どもの話をしているかのような温かい目で語っているのが印象的でした。

映像終了後、本日ゲストとしてレストランに参加されていた、小豆島でオリーブとすももの生産を行っている井上さんからメッセージを頂きました。「小豆島でオリーブが育ったのは、気候もおかげでもあるが人の愛情が大きい。その細やかな気配りは海外の農家には真似出来ないことかもしれない」と日本の農家の一員として誇りをもっているとおっしゃいました。

そんな生産者の方々の話を聞きながら、次々と運ばれる料理。
今回は、全6品目の香川県の食材をテーマにしたコース料理が、シェフ小澤氏によって振舞われました。
ただ、「美味しい!」だけではなく、生産者の思いを感じることで、より深く一つ一つの食材を大切に味わえたのではないでしょうか。私もつい、「おいしい!はじめて食べる味!」と叫んでしまいましたが。

最後にシェフと生産者の方に拍手をして、授業は幕を閉じました。

毎日人はなにかを食べます。
ただ、あまりに当たり前すぎて、その後ろに生産者が大切に育てていることを忘れがちです。
生産者、シェフの顔が見える中で味わう東京ローカルレストランは、そんな大切なことを思い出させてくれた授業でした。

食べるって本当はすごいこと。食べている物の後ろには沢山の人が関わっていて、人は常に一人では生きてないのだ、とそんな事も考えさせられた授業でした。

(ボランティアスタッフ 八木 真梨子)