シブヤ大学

授業レポート

2009/4/16 UP

「どんな名医がいても、妊娠もお産もあなた自分のカラダですることなんです。」
きくち先生のこんな言葉で始まった授業に集まったのは、お産に漠然とした不安を抱えていたり、カラダに何かしらの悩みを持っている女子たち。

「卵子はわたしたちより年上で、一緒に歳をとっていきますが、その一生は自分より短いんです。」卵子は、お母さんのお腹の中で、オンナと性別が決まった時点で70万個存在しているもの。高齢になっても生産され続ける男性の精子と違って、卵子は20~35才の頃をピークに年齢とともに減少、老化し、閉経とともになくなります。
卵子に寿命があるということは、お産も出産にもリミットがあるということ。

今回は、マタニティ・ヨーガインストラクターでもあるきくち先生の指導のもと、
産みたいと思ったときに産みやすいカラダであるようなメンテナンスの方法として
マタニティ・ヨガを全員で体験しました。

「他人と競うためにカラダを動かすんじゃなくて、自分のためにやる。
呼吸と一緒に、今自分のカラダに起こっていることを感じましょう。
普段気にかけない、自分の足の小指を改めてさわってあげる。 
手で触れた脚が冷えているなぁとか、それはもしかすると手が温かいからかもなぁとか、 
それは、お医者さんにも、他の人にもわからないあなた自身のこと。」 

生徒さん同士ペアになって、ゆっくり、じっくり、心地よい音楽が流れる中で行われたヨガ。
終わった後、生徒さんたちはとても心地よさそうな顔をしていました。

わたしたちのカラダはさわってあげると喜びます。自分自身だけでなく、好きな人にさわってもらうことも、とっても大事。せわしく過ぎていってしまう毎日の中で、自分のカラダをおざなりにしてはいないでしょうか。自分にやさしくしてあげることが一番のメンテナンスなんだそうです。

そして、ヨガのあとは、6人くらいのグループにわかれ、自己紹介と、何故この授業に来たのかというようなテーマで話し合いました。生徒さんの中には、あと何ヶ月かでお母さんになる方も。
皆さん、ヨガをし合ったことで緊張がほぐれたのか、仕事、妊娠、お産…など
それぞれが抱えている悩みや不安などを自然と打ち明けていました。

妊娠やお産という未知なるものに不安を持つ私たちに対して、
お産の先輩であるきくち先生はこんな心強い言葉をくれました。
「子どもを産むというのは、18年間ご飯を与え続ける手間のかかることの始まりなんです。
けれど、自分のお腹で他人を育てるのは、自分のお腹という畑を耕し、栄養をあげて、収穫するようなもの。こんなに面白いことはありません。」

命を授かるカラダのメンテナンスとは、カラダにかまってあげること。自分と対話する時間を持つこと。

世界にひとつの自分を大切にすることは、やがて自分のカラダから生まれてくるただひとつの新しい命を愛しむことにつながっていくことなのだと感じた授業でした。

きくち先生、生徒の皆さん、どうもありがとうございました。

(ボランティアスタッフ 中里希)