シブヤ大学

授業レポート

2008/12/10 UP

目的とプロセスを考えてデザインしてみよう!

ペットボトル、ボールペン、メモ帳、携帯電話・・・今、私の目に入っている日用品全てが、よく考えてみればデザインというプロセスを経てカタチとなったデザイン物なんですよね。
ただ、これらのモノがどうゆうプロセスを経て最終的にカタチになったのか?なんてコトはあまり考えたことがない人も多いはず・・・

全4回にわたる授業のうち、第2回目にあたる授業では、このデザインにおける、プロセスの考えかた=発想の部分を、デザイナー、大友学先生に教えていただきました!
また、最終的には生徒さん一人ひとりのオリジナル「住宅用フック」を実際に作ってみよう!というテーマが与えられ、東急ハンズ渋谷店さんのプロフェッショナルなサポートのもと、フックのアイデアと3面図(後述)を起こすとこまでが、今回の授業です。

【授業内容】
-デザインってそもそも何だろう?
『デザインとは、自分の自己満足で好きなカタチを創ることではなく、自分以外のだれか(何か)に向けて目的や企画をカタチに乗せて広く一般に流通させられることが求められることなので、カタチを創ることが目的ではありません。
まず、それを創ることによって、何をどうしたい、という目的やコンセプトがあって、それを達成するための手段として「カタチ」というものを捉えることです。
だから、自分の感性をそのままカタチにするアートとは異なり、使用・流通することをまず念頭においた上で、プロセスを踏んでカタチにするのがデザインなんですね。』

-では、その「目的」ってどうやって考えるの?
『使う人を想定するということは、その数だけ目的も存在するというコトですが、基本的には「より良く改善する」という欲求は共通します。大別してみると①感覚系(使って、見て楽しいなど)②便利・必要系(使いやすい、場所をとらないなど)③発明系(今までにない、斬新なアイデアなど)の3パターンがあります。
また、経験と観察のアンテナを立てることによって得る「気づき」が、目的をつくるので、デザイナーという仕事は、いかにこの気づきを得るかが重要になります。』

-「目的」が決まったら、どうやってカタチにするの?
『カタチを具体化するために、必要な基本要素があるので、それをまず満たしましょう。

①シンプルに!・・・その目的が伝わりやすく、バランスや配色・素材等が絶妙なプロダクトはやはり美しいです。
②基本形態を満たすのが大前提・・・例えばコップの場合、液体がこぼれない形と素材という基本要素を満たすコトが基本になります。
③ジャストアイデアではない・・・アイデアも重要ですが、安全性や強度に問題があったり、生産が不可能では、ダメ。現実的に可能で目的に沿ったものであるべきなのです。
④3面図でとらえる・・・製作に進む前に上、前、横の3方向から形状、サイズを図面化します。
⑤素材をみて加工方法を知る・・・目的から形を導き出すことだけに固執せずに、素材や加工方法という側面からもデザインを考える必要があります。

ここまで教わってから、実際に『住宅用フック』制作の作業へ。
まずは自分の作りたいフックの目的やカタチをテキストで書いて、方眼紙に3面図を落とし込んだところまでで、第2回目の授業は終了。生徒さん達は先生に質問をしながら、黙々とMyフック制作に取り組んでいました!

受け手のことを考えて、目的達成のためのプロセスを構築する・・・これって、仕事や生活にも通じるコトだったりしませんか?そう考えると、ちょっとデザインが身近に感じる・・・日々の中にもデザインをちょっと感じた「プロセスというデザインの発想-発想編」でした。

(ボランティアスタッフ 片岡 千草)