シブヤ大学

授業レポート

2008/12/1 UP

夜の明治神宮のライトアップ・・・
だんだんと日暮れが早くなり、肌寒さに秋が深まるのを感じ始めた10月の終わり、
今回の「アカリウム」というイベントを知った私。「夜の森のライトアップ、きっとキレイなんだろうな~」という単純な気持ちで気軽にナイトウォークに参加、ライトアップの美しさに引き込まれるということはさることながら、授業を通して初めて知った明治神宮の物語に聞き入ってしまったのでした。参加してよかった!

最初に感じた通り、ライトアップは本当に綺麗でした。
原宿駅近くの神宮入り口には、なんと光でできた鳥居が!地面から青い2本の光が雲を突き抜け夜空遠くに向かって伸び、その下には、オーロラ色に次々の変化していく提灯のモニュメント。東京は渋谷区の空の下といえども、その光は闇夜に映え幻想的でした。

明治神宮内で活動を行うNPO法人「響」から林代表をお迎えして授業はスタート。
明治神宮社殿復興50周年記念として行われた今回のこのイベント、つまりはどういうことなのかというと、戦争によって焼失してしまった神宮の御社殿が再建されて、今年で50周年だということです。
御社殿は50歳を迎えたということですが、神宮の森は88年前に人工的に作られたとのこと。人工的と言っても、日本全国から木が贈られ(献木約10万本・300種類)、また植林に際しても、全国から若い力の青年団が集まり、みんなで森を作っていったそう。木々は、50年後、100年後も森の力が衰えないよう全体像を想定しながら植えられ、現在、その想定どおりに森はすくすく育ち、私たち人間が木を伐採するなどということがないように、一切手を加えることをせず、ここでひとつの自然循環が保たれています。(参道に落ちた落ち葉も、はいて捨てるのではなく毎朝参道から森に返しているそうです!)
このような人工林は世界に類をみない、とても貴重なものだそうです。NPO「響」では、神宮の森で落ちたどんぐりの実から苗を栽培し全国の森に返すという活動を通し、これからの新しい森づくりに、過去に神宮の杜に込められた人々の想いを伝えていこうとしています。

そんなお話を聞きながら、私たちは参道を奥へ奥へと歩いて行きます。
砂利道は、気がつくと、青い光の絨毯に。
周りを見渡すと、白い光が妖精のようにやわらかく光っています。
森の暗闇がいっそう映えるライトアップ。夜の繁華街や街のイルミネーションとはまた違う演出はこれまで見たことがありません。
参道から本殿へ向かう道は、ほぼ直角の曲がり角になっています。ほぼ直角と言いましたが、正解は末広がりの88度。こんな工夫がなされているのは、やはりまだ新しい神社ならではのことです。
現在、「表参道」といえば、都内でも一位二位を争うおしゃれなお買い物スポット。しかし、当初は神宮の参拝客のために栄えた商業エリアでした。神宮は、戦後アメリカ兵に占領された経緯があり、その当時のアメリカ兵の子供たちのために今なお人気の『キディランド』ができたそうです。

森の中では、通り過ぎる風がなおさらひんやりと感じられました。
そんな空気の中にたたずむ御社殿は、内側からとてもあたたかい光で灯されていました。
神宮の杜、そして表参道のこれまで知らなかった歴史の一面を知り、過去に集まったたくさんの人々の想いに照らされたように感じました。

(ボランティアスタッフ 杉田 祥恵)