シブヤ大学

授業レポート

2008/7/16 UP

     

今回の先生は、インタビューを通じてさまざまなアーティスト達の魅力を引き出すしているAAL。
前半はお二人のインタビューについての講義があり、後半は山中カメラさんをゲストに迎え、生徒がインタビューに挑戦するワークショップを行いました。

まずAALのインタビュー映像の紹介。
『12人の箭内道彦』は、アートディレクターであり本授業が属するシブヤ大学CC学科の学科長である箭内道彦さんについて、彼と関わりある12人に語ってもらったインタビュー映像です。
AALの前田先生が語るように、インタビューを受ける人たちが「最初は箭内さんのことを話しているのに、だんだん、自分のことを語りだしてしまう」様子がとても印象的でした。箭内さんの話題をキッカケに、話し手の視点や魅力がハッキリと浮き上がるようなインタビューだったと思います。

■魅力を引き出すポイント
話し手の魅力を、どうやったらいきいきと引き出すことができるのか。
お二人はインタビューにおける3つのポイントを教えてくれました。

(1)自分の気持ちを伝えること
自分がなぜインタビューしたいと思ったのか。自分は相手にどう感じているか。正直に話すこと。

(2)自分のパーソナリティを持つ
前田先生の場合は宮崎なまり。「つかみ」が良ければ一気に打ち解けることもあるそうです。

(3)インタビュー前後も記録する
インタビュー前後にイイ言葉が出ることが多い。インタビュー終了後もしばらく記録して話すこと。

スネオヘアーの渡辺さんに対するインビュー映像では、前田先生が失恋して音楽を聴いたときの気持ちを伝えたことで、渡辺さんは音楽に対する思いを、その失恋体験と結びつけわかりやすく答えてくれました。
鋭い質問でフトコロに切り込んでいく姿勢なんかじゃなく、自分のフトコロを見せるくらい正直な言葉で相手と向き合うこと。それが相手の魅力を引き出すキッカケになるのかもしれません。

■ワークショップ <山本カメラさんへのインタビュー>
続いて、山本カメラさんを招いてのインタビュー・ワークショップ。まずは山本さんのパフォーマンスを鑑賞し、そのあと希望者が手をあげて短いインタビューに挑戦します。

(1)山本カメラさんのパフォーマンス
ハンディビデオカメラを利用した山本カメラさんのパフォーマンスを利用しました。内容は知らないほうがずっと楽しめるものなので、ここでは割愛させてもらいます。
※「山中カメラ」で検索すると出てくるご本人のブログに行けば、公演予定やパフォーマンス映像が閲覧できます

(2)山本カメラさんへのインタビュー
実演を踏まえ、いよいよインタビューの時間です。みなさんの質問を通じて、パフォーマンス時に着る白衣に、映像を投影できる実用性があることがわかったり、ビックカメラのアルバイトに対する個人的な思いを聞けたりと、面白い発見がありました。

■授業の感想
もし、自分の考えをシンプルに伝え、相手を迷わせないことが上手な質問者だとするならば、前田先生は決して上手な質問者ではないでしょう。ぶっちゃけ、下手なタイプではないでしょうか。

でも、自分の考えていることを正直に言葉にしようとするその姿勢が、相手の心に届きます。
普通のインタビューアーが、自分の質問を慎重に整理し、きれいな終着点を見つけ出そうとするその間に、前田さんは自分をさらけだし、相手と一緒に悩み、準備された出口などない「語り合い」に入っていく。こんなインタビューのカタチもあるんだなあと驚きました。

授業の最後にもう一度、インタビューで大事なことは何か、お二人がアドバイスをくれました。
「インタビューはひとを好きになることから始まる」そして「ひとに好かれたいという気持ちも大切」。
自分が会って話してみたいという気持ちをモチベーションに、楽しみながらインタビューを続けるお二人へ共感と憧れを覚えます。熱くて楽しい授業をありがとうございました。

(ボランティアスタッフ 松本浄)