シブヤ大学

授業レポート

2008/6/26 UP

遊びと学びのヒミツ基地~『シブヤ大学』子供限定授業を作ろう!~

「Imagine & Realize − 想像して創造する」。

石戸奈々子先生がアメリカに留学しているときに出会った言葉。
先生はこの「未来を自分の頭で考えて自分で実行する」という言葉を大切にして、
CANVASの活動に取り組まれている。
それが言葉の端々から伝わってきて、とても熱血(?)的な授業でした。

CANVASは「子どもたちの創造表現活動のプラットフォームを作ること」を目的にして、
産官学いろんな立場の人たちと手を繋いで数々のワークショップを開いています。
「これまでの教育ってクリエイティビティに関する部分が少なくなかったかな?」という疑問が、
大きな原動力になっているようです。

実際にこれまでCANVASで開かれたワークショップを、写真や映像を見ながら聞いていると、
子どもだけじゃなく大人でも楽しめそうなものがいっぱい…。
プロのアーティストたちなど、本物の感性に触れる機会も多く設けられています。
「大人の方が真剣になったりするんですよね」っていう先生の言葉も納得の授業たち。

たとえば
・ 「クレイアニメ」:キャラクターも粘土も撮影も編集もすべて子どもが担当する
・ 「映像のリミックス」:昔のハリウッド映画に自分たちでアフレコをつけて新しいストーリーを作る
・ 「日仏交流」:ケータイを使って日本とフランスの子どもたちが4コマ漫画を共作する
・ 「糸電話」:1,000対1でも通話できるけど、1本でも切れると不通になるという社会の縮図を知る
などなど。

印象的だったのは「キッズ地域情報発信基地局」という取り組み。
子どもたちが実際に街に出て、地域の面白い人を取材し
ブログや新聞などのメディアで情報発信することで、情報モラル教育やICTを使ったもの。
この活動に携わった子供たちが地域の方から
声をかけられるようになったというしくみ≪安心のまちづくり≫が面白いなと思いました。
授業と街がコミュニケーションする感覚。

CANVASでは全ての授業において「場所」「素材」「ツール」しか提供されません。
子どもたちが『主役』になり、自主的に遊びながら学んでもらうしくみになっています。
なので、最初からできあがった「おもちゃ」を与えることは決してしないのです。

「素材から作っていくことが究極のクリエイティビティだと思うんです」
先生はそうおっしゃっていました。

さて、そういったCANVASのこれまでの取り組みと、
先生の授業へのスタンスをベースに後半は5つのグループに分かれて
「子ども限定授業作成」ワークショップ!

どのグループもとても面白そうな授業案が挙がってきました!

(1)「大人 対 子どものどろけい」
服装やグッズも自分たちで作って、最後は大人と子どもが一緒に遊ぶコミュニケーション

(2)「サバイバルロールプレイングゲーム」
1泊2日で小学校5,6年生が対象。街の人々が森の精や長老になる。
知らない大人に話を聞くというコミュニケーションを通して子どもの自立を促す

(3)「夏のチーズをつくろう」
食は季節を感じることもできる。つくったチーズを製品化して広告なども作る

(4)「通学路」
複数の地域の学校に参加してもらい、それぞれの地域の通学路をネット上の地図に掲載する。
アップされた地図にコメントし合うことでコミュニケーション能力を養う

(5)「夏休み創造日記(自由研究)」
ケータイで写真を撮ってブログにアップする。家や自分たちの身近なところでできること

この中の(1)・(3)のアイデアのチームがゼミとなって、実際に動き出しているようです。
シブヤ大学初の、“授業から生まれる授業”。
どんなものになるか楽しみですね。

(ボランティアスタッフ 太田乃輔)