シブヤ大学

授業レポート

2008/3/21 UP

『幸福のるるるん。』

「自転車、るるるん。」
なんとも奇妙な授業タイトルに惹かれた生徒が集まったのは、ケアコミュニティ・原宿の丘音楽室。授業開始前から早く授業を始めたくて、うずうずしながらもにこやかな笑顔をみせているのは、今回の授業の先生、小林成基さん。 

「先生なんて柄ではないから、皆さんどうか先生なんてお呼びにならないでください。小林さんで良いです。」
授業コーディネーターの加藤さんにご紹介を受け、照れながらしゃべり始めた小林さん。今日の授業の始まりだ。

「皆さん、自転車は法律上、歩道を走ってよいと思いますか?」
実は日本の法律上は、自転車は歩道を走ってはいけないことになっているのだという。「韓国では3割ぐらいしか自転車に乗れないというのに、日本では99%ぐらいの人が自転車に乗ることができる。それなのに、自転車が通る用の道が整備されていないのだよね。」日本は世界第3位の自転車大国にも関わらず、自転車を有効活用する下地がまだまだ整備されていないのだという。

自転車の有効活用は今時代に求められていることだという。私達は、未だ体験したことのない時代に今突入しつつある。《温暖化に伴う気候変動》《石油高に代表されるエネルギー高》《高齢化》、その全てに対しての一つの解決策として、自転車の活用が考えられるのだと小林さんはいう。

Co2排出の減少、エネルギー利用の削減、高齢者の健康生活の促進、小さいながらも未来への貴重な積み重ねを実現していく自転車の活用には、「自転車が走りやすくて安全なまちづくり」を行っていくことが重要だ。

現在は、歩行者や乗用車にとって自転車は《ちょっと早くて乱暴な乗り物》だという。歩道を走り回る自転車は、お年寄りの歩行者との事故が多く、車道を走り回る自転車は、乗用車運転手の気を揉んでいる。

昨年自転車関連法の見直しにより、自転車による歩道の通行が議論された。通勤での自転車の利用者の増加や高級自転車ブームの中で、自転車のより有効かつ安全な活用の仕方が議論されているのだ。

「大事なのは今だけじゃなくて、5年後、10年後を考えて、計画を立て、持続可能な社会のための法案を作り、まちづくりを行っていく事が重要だ。歩行者と自動車、自動車と自転車だけではなく、歩行者と自転車の関係も考え、道路作りを考えて、それぞれの道を使う人の気持ちで道路作りをしていかないといけない」のだと小林さんはいう。

最後に今日の授業の通学でも利用してきたという小林さん愛用の折りたたみ可能な自転車を披露してくださった。これからは「自転車を使いやすい環境を作ることが国民は幸福になる」一つの方法なのだと思う。そうおっしゃった小林さんの幸福のつまった笑顔に、まさに「自転車、るるるん。」という響きを感じた2時間だった。

(ボランティアスタッフ 増沢輝)