シブヤ大学

授業レポート

2025/4/9 UP

マイ・リトル・ブッダをつくろう!
〜お仕事編〜

「マイ・リトル・ブッダをつくろう!」の授業は、今回が3回目。この授業は“授業を通じてブッダの教え(仏教)を学ぶことで明日からの人生をちょっとだけ生き易くすること”を目的にしています。

マイ・リトル・ブッダとは?と思っていた私は、今回初めて参加しました。これまで開催されたシリーズでは「人付き合い編」などがありましたが、今回は「お仕事編」。どんな授業になるかわくわくしながら参加しました。
これまでの授業はこちら
第1回→マイ・リトル・ブッダをつくろう!〜仏教の考え方を日常に活かしてみる〜
第2回→マイ・リトル・ブッダをつくろう〜人付き合い編〜

3月なのに寒い日となった土曜日の午前に、授業は始まりました。
さまざまな生徒さんが集まるシブヤ大学ですが、今日の参加者の中には前回のマイ・リトル・ブッダの授業に参加したリピーターの方も複数いらっしゃいました!

まずは先生から、仏教に関するレクチャーを受けます。

日本に住んでいるとお寺や法事などで身近に感じる機会もある仏教ですが、どんな教えがあるのか具体的に意識したことがない方もいるのではないでしょうか。レクチャーの中では、一切皆苦(すべてのものは苦しみである)や縁起(すべてのものは因と果による因果の法則によって成立している)など、聞いたことがあるような言葉も含めて、ブッダが悟るまでの流れや教えについて説明がありました。私が気になったのは、諸法無我です。すべてのものにおいて「私」は存在せず、その関係性において存在している、というものです。「私」は絶対ではなく関係性の中で移り変わっていく、ということが腑に落ちるような、もう少し考えてみたいような感覚で聞いていました。

そして、様々なお仕事の悩みに対して「こんなとき、ブッダならこう言うね」を会話形式で紹介してもらいました。ブッダが相談者として答えてくれると、なるほどそうか!と思わせてくれます。たとえば、「どうしても合わない人がいてうまく付き合えません。同僚なので関わらないわけにもいかず、モヤモヤします。」というお悩みなど。(あるある!と思う方もいるのではないでしょうか。)

ここでやっと、マイ・リトル・ブッダとはこんな相談者を自分の中に持つことだと実感を持ちました。



 ここからは、自分の煩悩と向き合うターンです。先生からは、欲と煩悩についてお話があり、不快をもたらす欲(煩悩)をなくしていこう、とお話がありました。

今回の授業の案内には、「仕事の悩みや煩わしさを抱えているエピソード」が持ち物として記載がありました。各自で持ってきた自分の悩みや煩悩を書き出すと、これが結構出てくるのが困るところです。私は、仕事の中での評価を他人と比較してしまうことや暮らしの中での家事(はたらき)が理想とは異なることなどがぽろぽろと出てきました。みんなはたらいて生活をしていれば、いろんな煩悩があるものですよね。

グループで共有すると、みなさんかなり熱く盛り上がりました。分かるな~と思うことがあったり、大変ですね…と思うことがあったり、はたらくことに対する悩みは尽きないし共感できることも多いのだと感じました。


そして、その悩みに対してマイ・リトル・ブッダに語りかけ、各々が戒律をつくります。これまでレクチャーにあった考えを参考にしながら、自分の煩悩にどうブッダが回答するか考える。なんとなく、ただただ一人で悩んでもやもやするときとは違う、開けた道に向かうような気持ちになっていきました。

自分の考えた回答と戒律をみんなで共有すると、様々なマイ・リトル・ブッダがあらわれます。僕のブッダならこう答えるかも、など、ブッダのいろんな考え方の中で何を選択するかに個人の考え方や個性があらわれるような気がしました。
先生からも「対機説法」という考え方を紹介してもらいました。仏教では相手の状況に応じて教えを説くという考え方があり、人によって、状況によって説かれ方は変わるものなのだとのこと。まずは仏教的な正解を気にしすぎずに向き合ってもらえると良いとのコメントがありました。また、諸法無我とも絡めて「無我と言っているが、私に向き合うことは否定していない」と先生から共有があり、この考え方を知れてよかったなと思うとともに、自分の中にも持っておきたい考え方だなと感じました。


 最後に、前にも授業に参加したことのある生徒さんの戒律を聞いて、先生からは「マイ・リトル・ブッダが育っていますね」と。自分の中でマイ・リトル・ブッダと語り合い続けることで、育てていくものなのかもしれません。この授業を受ける前にはよくわかっていなかったけれど、仏教の、ブッダの教えを知ることで、自分のよりどころとなるような考え方を手に入れられそうな気がします。

 これからは、マイ・リトル・ブッダを育てながら、引き続き悩みながら、もやもやしながら、日々はたらいて過ごしていこうと思いました。シリーズで展開されるこの授業、次回はどんなテーマになるのか楽しみです!


(レポート:菅井玲奈、写真:鈴木夏奈)