授業レポート
2024/7/30 UP
活動・起業のキッカケに迫る vol.2
〜多様性とSDGsと向き合った「企業サステナビリティ・アドバイザー」の場合
シリーズ授業「活動・起業をはじめたキッカケに迫る」の第2弾、〜多様性SDGsと向き合った「企業サスティナビリティ・アドバイザー」の場合〜、 「多様性と自分らしさ」というテーマでお話しいただきました。
サスティナビリティアドバイザーというお仕事をされている小田さんですが、どのようなご経験から現在に辿り着いているのか伺えるのがとても楽しみです。
どんなご経験、どんなお仕事? メーカー勤務しながらも、【自分探し】がはじまり、「日本語教師として海外で活躍したい!」という想いが、モンテソーリの学校にインターンとして勤務、政府開発援助ODA(Official Development Assistance)への関わり、コンサル会社勤務、大学院への進学、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会への活動へと繋がり、現在に至られているということです。とてもグローバルなご活躍をされてきたのですね。
お仕事・活動を通じて「実感」したことは?
・個性的なホストファミリーとの生活では、養子にまつわる社会問題、黒人やアジア人差別を目の当たりにされたが、助けてくれる人もちゃんといた。という実感。
・国際協力の仕事で途上国へ赴いた際には、(若い)女性ということで珍しがられたり、「監督者」として煙たがられたりすることもあったが、日本人としてあたたかく迎えてくれることが多かった。そして、シンプルなコミュニケーションと食事が大事!という実感。
・大学院では未知との遭遇の連続で、20代から60代の同級生と一緒にたくさんのグループワークを行なったが、学び、話すことで形になっていくことを実感。 小田さんが、多くのご経験から人との関わりの大切さを「実感」され、それが次への学びや自分に正直にやりたい
・やるべき仕事を探求していける原動力になっているのではないかと感じました。それは先生ご自身だけではなく関わりあった方達も相互に感じ合えているのであろうと思いました。
仕事を通じて学んだことは?
「私自身もマイノリティ個性を持つ個人である」というスライドからSDGsの深掘りするお話しが始まりました。 SDGsが生まれた背景は、第二次世界対戦の頃に遡る。戦争を二度と繰り返さない、戦争から未来の世代を守らなければならないという世界の人々の決意「国際憲章」をつくり、人間の尊厳と価値を守ることが世界の大きな目標となり、人権に関する条約や仕組みが作られ、開発支援や、さまざまな会議が開かれ、宣言や目標が示されてきたという歴史を伺いました。 それでも、すさまじい速度で変化する現代の人間社会、急速に大きくなっていく課題や新たに生まれた課題に直面している中で、2015年に“だれひとり取り残されない世界の実現をかかげ、あらゆる国と人の目標としてSDGs(持続可能な開発目標)がつくられたということです。
そしてSDGsには前文があり、人間と地球、そして繁栄のための行動計画で、より大きな自由と、平和を追い求めるものでもあるということです。5つの決意が掲げられているということです。5つの決意とは「人間を守る」「繁栄を実現する」「平和を実現する」「パートナーシップで実現する」「地球を守る」。今回、「人間を守る」=人権という部分にフォーカスしてお話ししてくださいました。
【人権】が土台となり、今生きる人も、未来の人も豊かに暮らす世の中をつくる=【ウェルビーイング】につながるということです。 ウェルビーイングの尺度 例えば、世界幸福度調査。幸せかどうかというシンプルな質問では個々により尺度が違うという疑問が湧いてくるものですが、違っていい、それは、自分がどうありたいかだから。 そして、ウェルビーイングという言葉は広義の健康という意味だが定義はないそうで、それを裏付けるデータとして主観的に見た場合と客観的見た場合では連動していないというデータを示されました。連動していなくて当たり前、それは、自分が決めることだから。 大切なのは、自分がどうありたいか、どうしたいかであり、同じものさしで比べることではないというお話しに皆聞き入っていました。 人権については企業や社会の流れからお話しをしてくださいました。
「ビジネスと人権」の文脈では「対話」をすることを政府も推奨している 「対話」は分析したり、勝ったりするものではなく、皆で力を合わせ、自分が変わる第一歩を踏み出すもの、さまざまな意見を見つめること、一緒に探究することで、視点を重ねていくことで自分の知識やアイデアも広がりイノベーショさえ生む可能性があるというお話しの流れで、小田さんの実体感「パラリンピック選手村はウェルビーングで満ちていた」事例をお話しくださいました。 一人ひとりが異なった個性を持つことを認識し、すべての人が完全ではないことを前提にした場所、これは、小田さんの仕事を通じて学んだ「私自身もマイノリティ個性を持つ個人である」を感じる大きな事例の一つになったのですね。
「やりたいことはやっちゃおう」
結局、「やりたいことはやっちゃおう」という踏み出すことで見えるものを繰り返していくことにより、小田さんは現在地に辿り着いているのだなと感じさせられました。
休憩を挟んで、 後半はグループディスカッション ここでは、「対話のルール」が提示されました。対話のルールは4つ ・目的は、人の経験や考えを知ることです。
・相手を否定したり、頭ごなしにアドバイスすることは禁止です。 ・聞くときは、敬意と好奇心をもって聞いてみましょう。
・大きめに頷いたり、リアクションしながら聞いてみましょう。 テーマは「人権に配慮されていないと思うこと」 自己紹介からはじまり、各グループそれぞれディスカッションがはじまりました。 教育現場での性被害問題、国による階層による差別、人事の差別、ビッグデータを取り扱っていること、部落、ジェンダー、乗り物で席を譲るか否か、ハラスメント研修、手すりの設置、などなどさまざまなワードがでてきて、活発な対話が重ねられました。中には、普段人権に配慮せれていないと思うことがないなんていう発言もありました。
「人権」を守るために、小田さんからパラリンピックが開催された街で感じたエピソードでわかりやすくお話しいただきました。 例えば、車椅子の目線や視覚障害がある場合の工夫など、多くの工夫はされているが、それだけではなく、周りの人に気軽に尋ねる、お願いする、できないことはできないという意識の土台がある。この違いを認めて、違和感なく対話できる環境づくりというのが大切だと感じられたということです。
「多様性と自分らしさ」
ご参加いただいた皆さんの参加目的も色々ですが、小田さんの生き方と重ねて多様性と自分らしさのお話していただいたことで、どなたにとっても次なる何かを掴むキッカケとなったのではないでしょうか?
(レポート:安西仁美、写真:竹田憲一・安西仁美)