授業レポート
2024/7/6 UP
人生は演劇だ!
~インプロから考えるコミュニケーション~
雨模様の日曜日。笹塚にある、屋根のある公園みたいな居場所「笹塚十号のいえ」で授業がスタート!
「実はみなさん、毎日何かの役を演じているんですよ」と、今日の先生、マイキーこと、深来マサルさん。
「たとえば、父、母、子、上司、部下、など...。場面によって様々な役割を演じているはず。日常生活に台本は無いですよね。それはもう即興劇、インプロです。インプロの基本はYES,ANDの精神。今日は"受け入れるってどういうことなんだろう?"というのを、身体を通して感じてもらえたらと思います!」早速、様々なワークがスタートしました。全員が不規則に歩きながらひとつの視線をバトンのように渡していくワークでは、順調に繋いでいた視線がある瞬間から2つ発生。ひとりの視線が2人に流れてしまったり、単純に目が合ったのを「バトン」だと思ってしまったり。「伝えたつもりだった」って、普段もよくある話ですよね...
続いてはみんなで輪になって、五十音を一音ずつ言いながら視線を渡していきます。ひとりでは言える五十音も、動作を伴いながらみんなで言い合うと、意外と難しい。そして間違えるとつい「すみません!」と謝ってしまうみなさん。「今日は"すみません"はナシ!演劇ではそういう間違いが起こると面白い場面になったりします。間違えたら"ナイス!"と拍手しましょう!」と先生。そのあと何度も「ナイスー!」と笑い合いながら、全員が最後まで言い終え、「おおーーっ!」と大喜び!間違えてもポジティブに捉える。そしてみんなで喜ぶ。この一体感も演劇の魅力なのかも!
次はリズムに合わせた「しりとり」ゲーム。「テキトーな言葉でもいいから繋げることを意識してみて」と先生。とはいえ、"テキトーな言葉"こそ、意外と出てきません。「言葉が出てこなくても、何か一音発してみてください。冒険しましょう!」連想ゲーム的にみんなで文章をつくるワークでは、「自分が思いつかないことや、自分だけでは完結しないことの意外性を楽しみましょう!」と先生。冒険。楽しむ。好きにやっていいはずなのに、なぜこんなに難しいのだろう!身体も脳みそも、いつも使わない部分を使っている気がします。でも夢中になってワークをしていくと、不思議な一体感が生まれ、みんなでヘンテコな文章を作ろうと奮闘!!楽しい!!!
"トラスト"と呼ばれるワークでは、5人一組でチームを組み、棒のように真ん中に立って倒れてくるひとりを、みんなで順番に支えていきます。「あなたを信頼していますよ、というのはどういう態度なのか?安心してね、というのはどういう態度なのか?それを感じてみましょう」
ラストはみんなで会話劇と、ボイスパーカッションのように音楽を作って終了。あっという間の3時間でした。
今日はどうでした?と聞くと、みなさん「楽しかった!」とスッキリした表情。視線の繊細さと力強さ、感じたままに表現する難しさと楽しさ、そして相手を受け入れることの面白さを実感しながらも、自分自身を振り返る時間にもなった気がします。
まとめの時間。みなさんの気づきと共に、以下の先生の言葉がとても印象的でした。「いかに閃いたまま、反射でコミュニケーションできるか。ついみんな、考え過ぎてしまいますよね。でも今日は、意外とそれが受け入れられた、と感じたのではないでしょうか。これが現実でもできると、もっと気楽にコミュニケーションできると思います。」「何かネガティブなことが起きても、"ちょうどよかった!"と言ってみる。ちょうどよかった、何が?って、その言葉からポジティブが導き出される。」「思い切り自分を出してもいいんだ!ということを定期的にやっていくと、一歩踏み出しやすくなる。私は言えるし、やれるけど、現実では"やらない"という選択をしている、と。そうすると、もっとラクに過ごせると思います。」即興劇のワークを通して、日常生活でも意識できることがたくさんあるのだと学んだ1日でした。
そして、伝えるプロである俳優さんって、やっぱりすごいんだなぁ...と、心の底から思ったのでした。
(レポート:吉川真以、写真:後藤真美)