シブヤ大学

授業レポート

2008/1/31 UP

          

2006年11月に行われた授業が今年も再び「森をつくる。2007」として帰ってきました。

明治神宮を歩きながら歴史を学び、そして未来に向けてちょっとしたお手伝いをさせていただいてきました。

紅葉をまだ十分に堪能していないのに、曇りと言うこともあって当日は着込んでいても身震いしてしまうほどの寒さ。でも、講師であるNPO法人・響の井梅 江美さんの底抜けに明るくてフレンドリーなキャラクターに助けられて、生徒さん同士はすぐに打ち解け、楽しい会話に寒さを忘れてしまった、と言う人もちらほら。

南詰め所を過ぎ、普段は何気なく通り過ぎていた玉砂利の参道のすみっこに何気なく生えている「代々木」という地名の語源にもなった木や、実は木造では日本最大の大きさを誇る鳥居のまだ生き生きとした香りを楽しんだりと、一見、無味無臭に感じていた本殿までの道のりが実は歴史にあふれていると言うことを実感。

そしてちょっと道を外れて、有料ゾーンに足を踏み入れると、そこは外とは比べようもないほど静かで、そして紅葉した葉や、計算しつくされた庭園の形、そして鮮やかな花たち。渋谷川の源流と言われる湧き水もあり、渋谷区という都会にある明治神宮とは、本当に立派な「森」なんだな、と生徒さんたちはしきりに感動していました。

お昼に皆で持ち寄ったご飯を大きい輪を作って食べた後は、「森の未来のお手伝い」ということで、落ち葉の下に隠れたドングリを採取。湿った落ち葉を優しくどけていると、小さな、でも元気な緑色をした若葉をあちらこちらで見つけることができました。

それもそのはず。神宮の森は、世界でも類を見ない「人工の、自然循環をする」森だそうで、100年前の構想にほぼ沿って成長してきているここは、世界中から注目されているんだそう。

一時間ばかりドングリを拾った後は、響きさんの事務所庭でドングリを種類別に分け、水の中に入れて選別。こうやって一晩水につけておくことで、育つのに十分な力を持っていない、浮いてきてしまうドングリを取り除くんだそうです。

そして生徒さんは鉢に思い思いの絵を描き、土を詰め、元気に育ってと言う願いと共にドングリを土の中に眠らせました。必ずしも芽が出るわけじゃないけども、毎日水をやり、そして今日も芽が出ない、芽が出ないとやきもきしている生徒さんたちを想像すると、ああ、なんかあの有名な映画と似ているなぁ、と思わずにはいられませんでした。

一年後、うまくすくすく育ってくれれば20センチほどに成長するそう。皆さんの鉢にも、森の精霊からの恵みが届きますように。一日中歩いても全然ばてなかった生徒さん達ですもん、きっと大丈夫なはずです。

(ボランティアスタッフ 望月崇)