シブヤ大学

授業レポート

2023/2/12 UP

超参加型読書会アクティブ・ブック・ダイアローグで読む『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』

新たな年、2023年が幕を開けてお正月成人の日も過ぎ新年気分が一段落した1月21日、シブヤ大学の読書会、超参加型読書会 アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)の授業シリーズ第二弾が開催されました。 読むのは『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』(ブレイディみかこ著)です。
 ABDは、あらかじめ本を購入したり、読んだりする必要はなく、今回は3時間の授業の中で、参加者全員で「分担して読む」→「まとめる」→「発表・共有する」→「気づきを深める対話をする」というプロセスを通して学びを深めていきます。
 今日の授業には「講師」はいません。ロの字型に並べたテーブルに参加者全員向かい合って着席、授業コーディネーター 芝千乃さんの司会進行で、始まりました。

 まずは【自己紹介】と参加動機・期待を皆さん話されます。前回第1弾の授業に参加された方、すでにABDを体験されたことがある方もいらっしゃれば、今日が初めてでABDがどんなものか知りたいという方、一人で読むのではなくダイアローグというところに期待されている方、皆さんそれぞれ“前のめり”な参加動機を語られていたのが印象的です。

 自己紹介のあと早速皆さんの手元には今回読む本を章ごとに裁断(ちょっと心が痛みますが・・・)されたものと、B5の紙4枚、筆記具、ABDのマニュアルが配られました。これから一人ひとり自分が担当する章のパートを読み、その内容を配られたB5の紙4枚に【サマライズ】していきます。今回の本は約300頁、11章からなります。13人で分担しましたので平均すると20頁ほどですが、本を読むのに少し時間がかかる方、サマライズ大変そうと感じられた方には分量少な目な章や内容構成がシンプルな章を分担していただきました。

 サマライズの目安は、B5の紙1枚につき5行以内、1行は10文字程度とマニュアルにあり、簡単な絵も入れていいよと言われますが・・・限られた時間でサマライズするのは結構皆さん難儀されていたようで(私もですが)、当初予定の時間を延長&再延長したうえですべての章のサマライズが教室前方のホワイトボードに貼り出されました。

 次は【リレープレゼン】の時間です。1章から順番に担当された方がホワイトボードに貼り出したサマライズの紙をもとにそのパートのポイントを<筆者になりきって>持ち時間3分でプレゼンしていきます。ここは少し難しかったところで、ポイントを絞るのが難しくあれもこれもと話されているうちに持ち時間超過したり、そもそも書かれている内容が難解で苦労されたり・・・。<著者になりきって>という目線で話すことができたか何をピックアップして伝えるか、参加者それぞれの個性があって面白かったというご意見もありました。

 
 それぞれのパートのプレゼンが終わるころには、徐々に授業の残り時間が少なくなってきましたが、【ギャラリーウォーク】の時間です。全員でホワイトボードに掲示された全サマライズを見て回ります。リレープレゼンで気になったパートや、自分が担当したところとキーワード的に関係するパートを担当された方とお互い質問したりされたりの立ち話の輪があちこちでできています。


 ロの字型だったテーブルを並び替え2つのグループにわかれて、最後の【ダイアローグ】に入ります。皆さんそれぞれが当初思い描いていた「エンパシー」と、ここまでABDで読み進めてきた「エンパシー」、どんな気づきがあったのか、またABD自体どうだったかお互い【感想共有】をしました。
 「エンパスの闇落ちの部分に共感した」「自分の担当したパートだけだとよくわからなかったことが、他の人のパートの説明を聞いて内容がつながってそういうことかと理解した」「皆良い人でよかった」等々、頭と手を動かしてあっという間に過ぎていった和やかな雰囲気の3時間を振り返っていました。

 終了後アンケートを通して、「ABDがどのようなものか体験できてよかった」「本の内容に興味が持てた。本を買おうと思えた」「これまで読んだことがない本の一部分に触れることができたのもよかった」「今まで知らなかったことが勉強できたのがうれしかった」「ABDをほかのジャンルの本でも経験してみたい」等々のお声をいただきました。
 今回の授業をきっかけに、ABDの方法論や「アナーキック・エンパシー」、ブレイディみかこさんの他の書籍、あるいは、インプットしたことを言語化してアウトプットする能力、他者に伝える力等々、ご参加いただいた皆さんの新たな学びにつながる気づきが1つでもありましたら幸甚です。
(授業レポート:堀江将)