授業レポート
2023/2/1 UP
シャンソンが生まれたとき
~パリのカフェとキャバレー文化を探る
シャンソンと言えば、皆さんどんなイメージをお持ちですか?
私は、「シャンソン」という音楽ジャンルがあり、何となくフランスの小難しいような音楽かな・・・というくらい、正直知識を持ち合わせておらず、あまり身近ではないような音楽のイメージが個人的にはありました。
そんなイメージを真っ向から覆し、シャンソンの奥深さと楽しさを教えて下さったのが、今回の授業の先生、シャンソン歌手の聖児セミョーノフさんです。
参加者の自己紹介のあと、フランクかつエネルギッシュな聖児さんの自己紹介からシャンソンとキャバレーそしてカフェとの関わりについての歴史を丁寧に熱く語ってくださいました。
聖児さんはユダヤ系ロシア人のルーツを持つシャンソン歌手で、大阪で生まれ育った日本人ではありますが、フランス式のヨーロッパ寄りのスタイルの環境で育ったそうです。
シャンソンとは本来、音楽ジャンルではなく、フランス語で「歌」を意味する言葉で音楽的制約がなく、またフランス革命前までの王侯貴族のパトロンによる貴族文化と違い、自由を求める大衆の精神の上に成り立っている文化・音楽であるという点に、聖児さんは魅力を感じられたそう。
日本ではシャンソンというと、おそらく一番に美輪明宏さんや淡谷のり子さんの名前が出るのではないでしょうか。
美輪さんのアカペラでの「愛の讃歌」を聴いたことをきっかけに聖児さんのシャンソンライフがはじまり、その後もその人生に美輪さんや淡谷さんが大きく関わっており、興味深いその半生をご自身に紐解いて頂きました。(具体的なエピソードは、ぜひどこかの機会でご本人から伺えるととても面白いかと思います!)
後半は、色々なタイプのシャンソンを音源で聴かせて頂きました。
「聞かせてよ、愛の言葉を」 淡谷のり子
「枯葉」 聖児セミョーノフ(朗読:松田美由紀)
「夜のパリ」 聖児セミョーノフ(朗読:野宮真貴)
CDのみならず聖児さんの生歌を3曲ご披露頂きました。
「ボン・ヴォワヤージュ」
「愛の讃歌」
「薔薇色の人生」
とても心地良い聖児さんの歌声とサポートのレジョン・ルイさんの伴奏で、涙される方もいらっしゃるほど会場が急に熱を帯びたような、そしていつまでも聴いていたい時間でした。
個人的に印象的な言葉が、
“人と人が出会って新しい文化ができる場所がキャバレーでありカフェである”
また聖児さんが出逢われた、“ダバダバダ”のメロディ「男と女」でおなじみのピエール・バルー氏から伝えられた
“引越すのであれば近くに日々通える素敵なカフェとバーを見つけるのがいいよ”
“人生は出会いの芸術”
といった言葉でした。
最後に、聖児さんからの「こんなご時世だけれど、できれば外に出て、色んな人と出逢ってほしい。」というメッセージは、まさに深く納得で、改めて人との関わりの大切さを認識すると共に、このシブヤ大学での出会いもまさにそうだなとしみじみと実感した授業でした。
文責:ジャスミン