シブヤ大学

授業レポート

2023/1/31 UP

超参加型読書会アクティブ・ブック・ダイアローグで読む『愛するということ』

 今回はシブ大にとって珍しい先生がいない授業。そして読書の秋にぴったりな超参加型の読書会の授業です。

 あいにくの天気でしたが、続々と生徒の皆さんに集まっていただき、まずはアクティブブックダイアローグ(以下ABD)の最初のステップ、チェックイン。本の題名「愛するということ」にちなんで、それぞれの「愛してやまないこと」について話していきます。

 皆さんの愛してやまないことに興味を惹かれつつも、続いて分担したパートをそれぞれ読み、要約する作業に移ります。中には内容が難しいパートがありながらも、皆さん黙々と読み、まとめを作り上げていきます。
 
 その後、要約した内容を発表。ここでは、自分の感想や考えを入れずに、なるべく著者であるエーリッヒ・フロムになりきって自分が担当した部分を伝えることが重要です。みなさんフロムが憑依したのか?と思わされるくらい著者になりきって分かりやすく内容を発表していきます。

 発表して終わり、ではありません。ここからがABDの真骨頂。グループに分かれて紙に書かれたそれぞれの要約を見ながら気になるところに付箋を置いていきます。「こんなところに興味があるなぁ」、「ここもうちょっと深堀したいなぁ」と話しながらペタペタ貼っていきます。

 そしてダイアローグの時間に移ります。付箋が特に多く張ってあるところ(=気になる人が多かったところ)の部分で4つのグループに分かれて、皆で話したい問いを共有し、それに対して対話を行っていきます。

 今回の「愛するということ」では、愛の技術って何だろう?技術はどうしたら醸成されるのだろう?母性愛って何だろう?親の愛は子にどのような影響を与えるのだろう?愛のために社会構造を変えるとしたらどのように変える必要があるのだろう?と様々な問いが生まれ、またそれに対する多くの対話が生まれました。例えば、愛の技術を醸成するためには「謙虚な姿勢や尊重することが必要だと思う。」という意見に対して「そのためには相手を知ることが大切だと思う。」という意見が生まれました。相手を知ろうとしなければ、愛の技術は得られないのかもしれません。

 深い対話が教室内の色々な所で生まれ議論が白熱する中、エンディングの時間がやってきました。最後に一言ずつ感想を述べていきます。特に多かった感想として、違う視点が持てた。ゆっくり考えながら読めた。いろんな考え方を得ることができた。という声がありました。一冊の本を一人で読むのは難しかったり、モヤモヤしたりしますが、ABDという「みんなで読む」からこそ感じられることではないでしょうか。また、ABDで全体像を掴んだ後、もう一度全部読んでみることでさらに本全体の内容を深堀りすることもできます。これなら難しい本でも読みやすくなりそうです。

 愛についてこんな深く考えることはない。と思いながら「愛するということ」をもう一度読んで自分の中の考えをさらに深めたいなと思った一日でした。(文責:芝千乃)