シブヤ大学

授業レポート

2020/8/5 UP

お金は仕組みでしかない

(レポート:浜中香織)

「なぜお金にこんなにも従わないといけないのだろう」
という授業の告知文にどきっとし、参加したボランティアスタッフの浜中(ゆげ)です!
(今年会社を辞め、稼がないと・・・と焦りはじめているところです)
今回の授業の先生は、「eumo(ユーモ)」をリリースしたばかりの新井和宏さん。
お金や経済の話だと思っていたら、授業後の私の頭は「私にとっての幸せとは・・・」という課題でいっぱいになりました。
そんな授業の様子を紹介します。


授業の冒頭は、自己紹介と“経済のイメージ”についてグループでシェア。
私のグループでは、漠然としたイメージをとらえ直したい、という参加者が多かったようです。
・大きいもので、個人ではどうにかできない
・お金のイメージ。でも、お金に支配はされたくない
・消費、成長、のイメージ

その後、授業コーディネーターが参加者代表のように、
先生に質問をしながら授業が進みました。


「経済ってなんなんでしょうか?」

新井さんからは、一人だけで生きていくことは無理。
みんなで助けあおうね、と分業しているのが経済。
つまり、みんなが幸せになるためにかんがえられた仕組み!とのこと。
例えば何かつくってもらって、「ありがとう」の気持ちをどう伝えるか・・・それがお金とのこと。物々交換が大変だから、仕組みとしてお金が生まれただけ、とシンプルに考えようとお話をいただきました。

私が「生活するためにお金を稼がなきゃ」と考えてるのは、何かがおかしいということですね・・・。


「今の経済の課題は?」

何事にもいい・悪いがあるけど、今の世の中は悪い方がみえまくっている。
のびないGDPを無理にのばそうとして、(そもそも目的の設定が間違っているのだけど)
パワハラや児童労働など、弱者へのしわよせが起きている。

コロナでおきたトイレットペーパー問題にも今の経済の問題があらわれているそうです。
たとえば昔はお醤油をお隣さんから借りられた。しかし経済的な豊かさが当たり前になった今、借りにいくのは「恥ずかしい」こと。すると、もっていないことが不安になる。そうやって、“うばい合えば足らぬ(分け合えば余る)”の状況を生み出しているそうです。


「幸せとお金の関係は?」

人はお金のためではなく幸せのために生きる。お金が目的にはなりえない。
これまでの体験などから、その考えが新井さんの根本にあるそうです。
金融の仕事をして沢山のお金持ちの方にあって、みんなが考えていたことは
「とられたらどうしよう」「なくなったらどうしよう」ということだったそうです。

国は経済を成長させたいから、私たちにいかに少ないお金で幸せに生きるかなんてことは教えてくれないけれど、「必要なお金」は人によって違う。
小さく生きても生きられる、ということを知れば幸せになれる。
長年金融業界に関わってきた新井さんの言葉としてはとても意外で、なんだ安心させてくれました。
参加者から「ミニマリストですね」という反応もありました。


「eumo(ユーモ)って?」

ここまでの話で、新井さんが新しい社会の仕組みとなる“お金”を作ろうとされていることが分かりました。例えばどんな仕組みがあるのでしょうか。

・3ヶ月で“腐る”
理由は、お金は貯められることで権力化するから。トイレットペーパーの話に戻れば、個人が保有すると不安になるけれど、「いつでも貸し借りできるなら沢山ためておく必要はない」という感覚になるということですね。

お金のシステムも、ここ100年くらいでできたもので、神様がつくったものではない、
と話されていて、それに翻弄される私よ・・・と、ますますeumoに興味がわきました。


参加者からの多様な質問にもお答え頂いたあと、
最初と同じグループで改めて“経済のイメージ”をシェアして、授業が終了となりました。

・自分が生きていくために、できることで助け合う、っていいなあ
・ありがとうをお金で払っている、という考え方いい
・ちょうど自分がお金に対する考え方の変化のタイミングだった。年収が低くなっても、共感したものに投資をした
・自分の幸せを追求したい、けどやっぱり他人と比べてしまう自分がいる・・・!※


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授業後のスタッフ反省会で、授業の感想を話したら
新井さんに補修授業をいただきました。(ボランティアスタッフラッキーあるあるです)

最後の※は私の思いでしたが、「本当に大切にしたいものを大切にしよう」と
改めていわれ、自分を見つめ直そう、と強く思いました。

さらには、「コロナで世の中が揺れ動いているけど、ウイルスも自然の一部。
人間が不自然になってきている、不自然なものは淘汰される。」というお話も頂きました。

もやもやが沢山できたけど、新井さん曰くそれでいいのだそうです。
「すごいいい話だった、で終わらないでほしい。怒ってるでもいい。行動しないと(社会は)変わらない」とのこと。

私は、今日をきっかけに、自分を見つめ直して、「お金」ではなく「幸せ」から考えていきたいと思いました。