シブヤ大学

授業レポート

2020/3/3 UP

第4回 人生のイニシアティブを持つ 働き方・生き方

副業やフリーランスなど、様々な働き方の形が許容されてきた現代。
あなたは今どんな働き方をしていますか?今の働き方や生き方に満足していますか?

今回の授業は、”人生のイニシアティブ(主導権)を持つ”働き方・生き方。
先生は大手広告代理店に勤めながら、TRAINTRAINTRAINや渋谷のラジオをはじめ様々な活動をされている大木秀晃さんを先生に授業を行いました。

まずは、大木さんが考える「僕らが働く理由」をお聞きしました。
組織と個人の関係性を軸に以下の4つの観点を教えてもらいました。

①なぜ働くのか
→自分ができることをして生きていくため
②なぜ一緒に働くのか
→自分だけではできないことをするため
③会社は何のためにあるのか
→自分だけでは大きなことをするため
④自分だけではできない仕事に挑戦できているか

次に大木さんが仕事をする上で大切にしていること。それは、仕事のスタイルとスタンスだと言います。
スタイルとは、会社員やフリーランスといった雇用の形態。
スタンスは自分が何をしたいか。大木さんの場合は、アイデアという自分から生まれる資源でどんな価値を生むことができるか、というスタンスで仕事をされています。
例えばハッピーバースデーソング用いたチャリティーキャンペーンを行ったり、家族が本当に楽しめるアトラクションとして世界最大のUFOキャッチャーをつくったり…!先生が生んだアイデアでたくさんの人に新しい価値を届けています。

大事にするべきはスタイルではなくスタンス。大木さんは、アイデアの価値を最大化できる働き方を求めてきました。
アイデアは、企画をする上で欠かせないものです。大木さんは、アイデアは人に依存するものだと言います。様々な企業との関わりや、他の人に会ったり話したりするほどアイデアの力がついていくそうです。

しかし、依存するものはアイデアだけなのか、という問いが生まれました。
依存と自由の関係性。帰属することは依存なのか?自立と自由は同じ意味を持つのか?

「自立と依存は対立関係にある」「自立したいなら依存先を増やすべきだ」

東日本大震災のとき、障がいを持った方が発信していたこの言葉から、大木さんの結論は自立=他依存の関係性でした。しかし、依存とは、与えさせてもらう、貰うだけのものではないことを忘れてはいけません。

では、どうすれば依存する人を増やせるのか。
大切なことは組織ではなく、関係性。組織を変えることは大変ですが、関係性を変えることは個人でもできる。大木さんの関わる渋谷のラジオではメディアコミュニティー、PLAY TOKYOではビデオを制作したい人、ディレクションを行いたい人などビデオグラファーコミュニティーをつくったり…。
ひとりで人を増やすことには限界がありますが、場を持って繋がりを増やすことを大切にしてきました。
仕事は基本的に、上から下に流れる構図でできています。しかし、大木さんが大事にしているのは水平に仕事が生まれる仕組み。
バスケと同じように片足を軸に、もう片方の足は自由に動かせるPIVOTの動きを大切にしているそうです。

繋がりやコミュニティーづくりを意識して生まれたのが、TRAIN TRAIN TRAINのオフィス。以前訪れたベルリンのまちをヒントに生まれたそうです。
産業の起きない首都だからこそ、色々な立場の人が集まって話をすることでクリエイティブが起きる。そして、未来は自分でつくるものという現地の人々の価値観に影響を受けたそうです。

ストリートオフィスの形式を用いたTRAIN TRAIN TRAIN。
あまり人が訪れない渋谷駅新南口に様々なクリエイターが訪れ、まさにクリエイターの銀座とも言える場になりました。様々なイベントやスナックを開催して、今ではなんと月に2~300人が足を運ぶコミュニティとなっています。

次に、会社に所属すること、個人でいることのメリットやデメリットを考えてみました。
会社の中の肩書きは守られるものです。しかし、個人としてのバリューを守ってくれる人がおらず、守られるものがない個人は弱いものにすぎません。イニシアティブを持つことはリスクがあると同時に、自分が一歩踏み出すことだと言えるでしょう。

授業の終わりに、個人と企業の関係性を築く際に大事なことをいくつか教えてもらいました。
会社に属することを悪と捉えず、社会に属するという意識を持つこと。
会社の売上ではなく社会に貢献する意識を持つと。
そう考えると、会社と個人は協力している関係となります。
そこで見えてくるのは、フラットな関係性です。
これを生み出すために、大木さんは複数の立場を目的を持ってつくりながら、関係性を築いているそうです。
これは目の前の人と誠実なやり取りを行ううちに生まれるもので、関係性をつくるには時間が必要、というお話もありました。

大木さんから最後の問いです。
「あなたは自分の人生を、どんなスタンスを掲げていきたいですか。」
どんな仕事をするか、というHOWではなく、自分が何をしたいか、という生き方を問うこの言葉。仕事をしているうちに最初の目的を忘れがちになってしまうことが多いかもしれませんが、やりたいことをやっていると共通項が見えてくる、と大木さん。
自分自身が、まず動いてみる。種をまき続けなければなりません。

みなさんも「自分が何をしたいか」というスタンスを思い返して、自分の人生にイニシアティブを持った生き方や働き方をを考えてみませんか?

(授業レポート:森岡遥 / 写真:竹島愛美)