授業レポート
2007/11/21 UP
「日本の焼き物に影響を与えた中国陶磁」
皆さんは、いま自分が使っている食器が、誰がどこからどのように運んできたものか考えたことはありませんか?
まあ、親がスーパーで買ってきた・・・そういってしまえば終わりなのですが、もっと大きな意味で考えてみましょう。
食器(茶碗なんかをイメージしてください)のデザインはどんな感じですか?
素材感はどんな感じですか?
色は?艶は?
などなど、たかが茶碗されど茶碗なのです。
もしかしたら、その茶碗のルーツは中国にあって、今日のやきものに多大なる影響を与えたそれかもしれません。
第10回目を迎えた「やきもの鑑賞入門編」。
この授業では、毎回やきものを眺めながら、そこに隠された歴史的事実や庶民の営みを学びます。
小さな陶磁器から、大きな世界を理解するという壮大な授業。毎回ココロが踊ります。
今回のテーマは、「日本のやきものに影響を与えた中国陶磁」。
やきものの歴史は中国をなくして語れません。
あのヨーロッパでさえ、やきものに関しては中国(東洋)の影響を受けています。
代表的なものをいくつか挙げてみます。
まずは「芙蓉手(ふようで)」と呼ばれるもので、現在の食卓に影響を及ぼしたといわれています。白地に青色の模様や絵が施されており、上から見ると芙蓉の花の様に見えることからこの名前がついたそうです。
これは皆さんのご自宅にも必ずひとつはあるといっても過言ではないです。
まあ、流行したからこそ今日でもスタンダードになっているんでしょうが、これを運んできたのが遣唐使だったら?
歴史を学ぶのがより楽しくなりそうですね。
二つ目は「三彩(さんさい)」と呼ばれるやきもの。
文字通り3つの色からなる綺麗なやきもので、日本では「奈良三彩」というものが代表的な存在です。
やきものに複数の色を施すことって可能なの?と思われる方もいるかと思いますが、これが可能なんです。
昔の人は頭がいいですね。やきものを焼くとき(←ちょっと表現がおかしいですが・・・)、その表面に
釉(うわぐすり)(※1)という化合物をかけて焼くのですが、釉に銅を混ぜると緑色、鉄を混ぜると茶褐色というように、作成の過程で自ら色を編み出したのです。
これもルーツは中国で、「唐三彩」の影響を激しく受けているということ。
(※1)釉・・・これをかけて焼くと、やきものの強度が増し、光沢が与えられる
興味深いのは、この「唐三彩」、実は副葬として用いられていたそうな。
それも一般ピープルではなく、身分の高い人のお墓に一緒に埋葬されていたみたいです。
たしかに「唐三彩」をよく見てみると、馬のやきものが多いことに気づきます。
天国に行っても、道に迷わないよう、足となる馬のやきものを副葬したのでしょうか。
勝手な想像ですが、そう考えてみると昔の人は結構ロマンチストだったのかもしれません。
これだけ中国の影響を受けている日本ですが、ひとつだけ誇れるものがあります。
それは、陶器(※2)の用途に対する価値観の違いです。
中国では技術を重要視し、やきものそのものに対する美を、日本では用途のための美を見出していたと考えられています。
もともと中国ではこういったものを作る際にはパトロンがおり、圧倒的な資本を背景にしていた節がありました。
どちらが良い・悪いといった問題でこの違いを捉えるのはナンセンスですが、なぜか庶民的な匂いのする日本の価値観に、私は誇りを持てました。
(※2)陶器・・・陶磁器のうち、素地(きじ)に吸水性があり光沢のある釉(うわぐすり)を施したもの。
さあ、どうでしょう。
普段自分が使っているやきものに興味が湧いてきましたか?
ひとつの小さなやきものから大きな世界を知る。何かと感慨深いこの季節、自分の目で手で五感で、
やきものの素晴らしさに触れてみましょう。
(ボランティアスタッフ 松森拓郎)
【参加者インタビュー】
① 佐藤さん(男性)
「今回で3回目の授業。古いものが好きで、陶磁器もそのひとつ。やきものはファッションと同じで、マネをしたりされたりすることで技術が磨かれ、そこからまた新しいものが生まれるところが興味深い。また参加したい。」
② 井田さん(女性)
「WEBサイトを辿っていったらシブヤ大学のHPに巡りあえた。自身も陶芸をやるので、非常に勉強になった。展示物も興味深く、お気に入りの作品も見つけることが出来た、舞台に興味があるので、そういった授業があればまた参加したい。」
まあ、親がスーパーで買ってきた・・・そういってしまえば終わりなのですが、もっと大きな意味で考えてみましょう。
食器(茶碗なんかをイメージしてください)のデザインはどんな感じですか?
素材感はどんな感じですか?
色は?艶は?
などなど、たかが茶碗されど茶碗なのです。
もしかしたら、その茶碗のルーツは中国にあって、今日のやきものに多大なる影響を与えたそれかもしれません。
第10回目を迎えた「やきもの鑑賞入門編」。
この授業では、毎回やきものを眺めながら、そこに隠された歴史的事実や庶民の営みを学びます。
小さな陶磁器から、大きな世界を理解するという壮大な授業。毎回ココロが踊ります。
今回のテーマは、「日本のやきものに影響を与えた中国陶磁」。
やきものの歴史は中国をなくして語れません。
あのヨーロッパでさえ、やきものに関しては中国(東洋)の影響を受けています。
代表的なものをいくつか挙げてみます。
まずは「芙蓉手(ふようで)」と呼ばれるもので、現在の食卓に影響を及ぼしたといわれています。白地に青色の模様や絵が施されており、上から見ると芙蓉の花の様に見えることからこの名前がついたそうです。
これは皆さんのご自宅にも必ずひとつはあるといっても過言ではないです。
まあ、流行したからこそ今日でもスタンダードになっているんでしょうが、これを運んできたのが遣唐使だったら?
歴史を学ぶのがより楽しくなりそうですね。
二つ目は「三彩(さんさい)」と呼ばれるやきもの。
文字通り3つの色からなる綺麗なやきもので、日本では「奈良三彩」というものが代表的な存在です。
やきものに複数の色を施すことって可能なの?と思われる方もいるかと思いますが、これが可能なんです。
昔の人は頭がいいですね。やきものを焼くとき(←ちょっと表現がおかしいですが・・・)、その表面に
釉(うわぐすり)(※1)という化合物をかけて焼くのですが、釉に銅を混ぜると緑色、鉄を混ぜると茶褐色というように、作成の過程で自ら色を編み出したのです。
これもルーツは中国で、「唐三彩」の影響を激しく受けているということ。
(※1)釉・・・これをかけて焼くと、やきものの強度が増し、光沢が与えられる
興味深いのは、この「唐三彩」、実は副葬として用いられていたそうな。
それも一般ピープルではなく、身分の高い人のお墓に一緒に埋葬されていたみたいです。
たしかに「唐三彩」をよく見てみると、馬のやきものが多いことに気づきます。
天国に行っても、道に迷わないよう、足となる馬のやきものを副葬したのでしょうか。
勝手な想像ですが、そう考えてみると昔の人は結構ロマンチストだったのかもしれません。
これだけ中国の影響を受けている日本ですが、ひとつだけ誇れるものがあります。
それは、陶器(※2)の用途に対する価値観の違いです。
中国では技術を重要視し、やきものそのものに対する美を、日本では用途のための美を見出していたと考えられています。
もともと中国ではこういったものを作る際にはパトロンがおり、圧倒的な資本を背景にしていた節がありました。
どちらが良い・悪いといった問題でこの違いを捉えるのはナンセンスですが、なぜか庶民的な匂いのする日本の価値観に、私は誇りを持てました。
(※2)陶器・・・陶磁器のうち、素地(きじ)に吸水性があり光沢のある釉(うわぐすり)を施したもの。
さあ、どうでしょう。
普段自分が使っているやきものに興味が湧いてきましたか?
ひとつの小さなやきものから大きな世界を知る。何かと感慨深いこの季節、自分の目で手で五感で、
やきものの素晴らしさに触れてみましょう。
(ボランティアスタッフ 松森拓郎)
【参加者インタビュー】
① 佐藤さん(男性)
「今回で3回目の授業。古いものが好きで、陶磁器もそのひとつ。やきものはファッションと同じで、マネをしたりされたりすることで技術が磨かれ、そこからまた新しいものが生まれるところが興味深い。また参加したい。」
② 井田さん(女性)
「WEBサイトを辿っていったらシブヤ大学のHPに巡りあえた。自身も陶芸をやるので、非常に勉強になった。展示物も興味深く、お気に入りの作品も見つけることが出来た、舞台に興味があるので、そういった授業があればまた参加したい。」