授業レポート
2007/11/13 UP
電車に揺られ目を覚ますとそこは広大な山景色。
今回のシブヤ大学課外授業の教室となる場所は群馬県の赤城。さっそく授業開始です!
まずは今回の宿となる国立赤城青少年交流の家へ向かい、赤城山麓に広がる豊かな自然が抱える環境課題についての授業が始まりました。
その課題とは、赤城山の周辺の地域で松が枯れてしまう「松枯れ」です。
松が枯れてしまう原因は、弱った木などに入り込み松の木を枯れさせる“松食い虫”や、大気汚染の問題、過去の薬剤散布の問題など、複合的な原因によるものとされているようでした。
私たちは早速、その実態を観察するため赤城青少年交流の家の周りの散策へ出かけました。
腐った松が途中で真横に倒れていたり、ほんの数年前までは松の木が生い茂っていたとされる場所には、行き場のない枯れ木があるだけだったり・・・
そしてそんな枯れ木を無駄にはしないようにと、炭窯を作り松の炭を作る試みがあるのだそうです。さっそく炭窯作りのベテラン、小林武夫さんにご指導いただきながら炭窯作りのお手伝いです。小林さんは「ここらじゃ炭窯作りのベテラン」ともてはやされても「ひと窯ひと窯満足していないよ。まだまだ。」とテレながら笑う姿が印象的なとても優しい方。「みなさんが東京からわざわざ手伝いにきてくれるっていうんで緊張しちゃって・・・昨日10時には寝たんだけど夜中目が覚めて一杯引っ掛けてきたよ」なんて冗談を言いながら皆に丁寧に教えてくれました。
チェーンソーで松枯れ材の伐倒をしたり、炭窯のレンガを並べてセメントで固めたり・・・普段出来ない体験を地元の方々にサポートされながら生徒の皆さんも楽しそうに体験していました。
再び部屋に戻って講義を聴きます。
松枯れの実態についてや、炭は命も救う!と実体験を交えた話など、時間さえあればもっともっと聞きたかった!と誰もが思うほど、とても興味深いものでした。また目の前に広がる松枯れ林を見ながらの講義は、今日この地へ来たばかりのはずの私たちにも危機感が感じられるほどで、自分達も解決に向けて行動を起こそうと思えるものでした。
夜は皆でナイトウォークに出かけます。真っ暗な中を明かりなしで歩く森は神秘的で、耳を澄まして歩くと虫の音、木が揺れる音、本来の自然の音だけが聞こえてきました。
そしてそのあとはお待ちかねの、実はこのツアーで1番盛り上がったのではと思われるメインイベント(笑)、地元の群馬の方たちと一緒に夕食を兼ねた交流会です。
群馬の方たちは本当にパワフルな方ばかりで、プロ顔負けのマジックを披露してくださったり、貴重なお話を聞かせてくださったり、生徒さんも地元の方々とも短時間で楽しく貴重な時間を過ごすことができました。
その盛り上がりのほどはというと、宴の最後には全員で肩を組んで童謡、ふるさとを大合唱するほど。笑いすぎてまともに歌えてなかった方が大半でしたが。(笑)
夜は修学旅行の時のように枕を向かい合わせに並べ、募る話は夜遅くまで続きました。
早朝、眠い目を擦りながら集まった皆さんは朝のお散歩へ出かけ、2日目の授業スタートです。
朝食の後は天ぷら油リサイクルバスに乗ってサデンンフォレストへ。
株式会社サンデンの赤城事業所は約20万坪の森、サンデンフォレストの中にあります。鳥や蝶が飛び交う敷地内の散策路をのんびりと散歩をしながら、時々立ち止まってはガイドの篠原さんに花や木や虫の名前や役割などの説明を受けます。
足もとに咲いている小さな花をじっくり見たり嗅いだりと、からだ全体で自然を感じていると、生徒さんの中から「こんなにじっくり花や木を見たりするのは子供の頃以来だなぁ。」との声が。ふと見ると皆さんの顔が子どものような笑顔で、これも自然のパワーなのかなぁと実感せざるを得ませんでした。ペットボトルの再生利用でできたボートにも乗り、まさに自然との共存を堪能してきました。
続いて向かう先は足利工業大学。ソーラークッカーの研究をなさっている中条先生の講義を聞くと皆さん興味津々。ソーラークッカーとは太陽の光の熱エネルギーを利用して調理を行うというもので、ガスいらずの手軽で簡単エコ商品。また途上国では重要な調理器具ともなっているそうです。その後もソーラーカーを運転してみたり、風力発電、太陽光発電を間近で見学してみたりと、普段体験できない貴重な時間を過ごせました。
あいにくの天気の中だったけれど、本当に充実した内容でいつもにも増して自然に触れる機会の多かったツアーでした。地元の人から直接話しを聞いたり生きた教材を実際に目で見て感じたりすることで、危機感をしっかり認識しさらにこれからの赤城を知りたいという気持ちにさせてくれました。
「2、3年前まであったはずの松の木がもうない。今になってあの時何も行動に移さなかった自分に後悔しています。」
地元の人のこんな言葉が思い出されます。この旅を通して、当たり前の風景を当たり前と思わずに真剣に向き合うこと。そしてまずはすぐに行動に移す力が必要で、それこそが1番大事なんだということを学ぶことができました。
シブヤ大学MOTTAINAI学科、初の課外授業は大成功に終わりました。
赤城の皆さん、2日間どうもありがとうございました!
(ボランティアスタッフ 嶋村千夏)
今回のシブヤ大学課外授業の教室となる場所は群馬県の赤城。さっそく授業開始です!
まずは今回の宿となる国立赤城青少年交流の家へ向かい、赤城山麓に広がる豊かな自然が抱える環境課題についての授業が始まりました。
その課題とは、赤城山の周辺の地域で松が枯れてしまう「松枯れ」です。
松が枯れてしまう原因は、弱った木などに入り込み松の木を枯れさせる“松食い虫”や、大気汚染の問題、過去の薬剤散布の問題など、複合的な原因によるものとされているようでした。
私たちは早速、その実態を観察するため赤城青少年交流の家の周りの散策へ出かけました。
腐った松が途中で真横に倒れていたり、ほんの数年前までは松の木が生い茂っていたとされる場所には、行き場のない枯れ木があるだけだったり・・・
そしてそんな枯れ木を無駄にはしないようにと、炭窯を作り松の炭を作る試みがあるのだそうです。さっそく炭窯作りのベテラン、小林武夫さんにご指導いただきながら炭窯作りのお手伝いです。小林さんは「ここらじゃ炭窯作りのベテラン」ともてはやされても「ひと窯ひと窯満足していないよ。まだまだ。」とテレながら笑う姿が印象的なとても優しい方。「みなさんが東京からわざわざ手伝いにきてくれるっていうんで緊張しちゃって・・・昨日10時には寝たんだけど夜中目が覚めて一杯引っ掛けてきたよ」なんて冗談を言いながら皆に丁寧に教えてくれました。
チェーンソーで松枯れ材の伐倒をしたり、炭窯のレンガを並べてセメントで固めたり・・・普段出来ない体験を地元の方々にサポートされながら生徒の皆さんも楽しそうに体験していました。
再び部屋に戻って講義を聴きます。
松枯れの実態についてや、炭は命も救う!と実体験を交えた話など、時間さえあればもっともっと聞きたかった!と誰もが思うほど、とても興味深いものでした。また目の前に広がる松枯れ林を見ながらの講義は、今日この地へ来たばかりのはずの私たちにも危機感が感じられるほどで、自分達も解決に向けて行動を起こそうと思えるものでした。
夜は皆でナイトウォークに出かけます。真っ暗な中を明かりなしで歩く森は神秘的で、耳を澄まして歩くと虫の音、木が揺れる音、本来の自然の音だけが聞こえてきました。
そしてそのあとはお待ちかねの、実はこのツアーで1番盛り上がったのではと思われるメインイベント(笑)、地元の群馬の方たちと一緒に夕食を兼ねた交流会です。
群馬の方たちは本当にパワフルな方ばかりで、プロ顔負けのマジックを披露してくださったり、貴重なお話を聞かせてくださったり、生徒さんも地元の方々とも短時間で楽しく貴重な時間を過ごすことができました。
その盛り上がりのほどはというと、宴の最後には全員で肩を組んで童謡、ふるさとを大合唱するほど。笑いすぎてまともに歌えてなかった方が大半でしたが。(笑)
夜は修学旅行の時のように枕を向かい合わせに並べ、募る話は夜遅くまで続きました。
早朝、眠い目を擦りながら集まった皆さんは朝のお散歩へ出かけ、2日目の授業スタートです。
朝食の後は天ぷら油リサイクルバスに乗ってサデンンフォレストへ。
株式会社サンデンの赤城事業所は約20万坪の森、サンデンフォレストの中にあります。鳥や蝶が飛び交う敷地内の散策路をのんびりと散歩をしながら、時々立ち止まってはガイドの篠原さんに花や木や虫の名前や役割などの説明を受けます。
足もとに咲いている小さな花をじっくり見たり嗅いだりと、からだ全体で自然を感じていると、生徒さんの中から「こんなにじっくり花や木を見たりするのは子供の頃以来だなぁ。」との声が。ふと見ると皆さんの顔が子どものような笑顔で、これも自然のパワーなのかなぁと実感せざるを得ませんでした。ペットボトルの再生利用でできたボートにも乗り、まさに自然との共存を堪能してきました。
続いて向かう先は足利工業大学。ソーラークッカーの研究をなさっている中条先生の講義を聞くと皆さん興味津々。ソーラークッカーとは太陽の光の熱エネルギーを利用して調理を行うというもので、ガスいらずの手軽で簡単エコ商品。また途上国では重要な調理器具ともなっているそうです。その後もソーラーカーを運転してみたり、風力発電、太陽光発電を間近で見学してみたりと、普段体験できない貴重な時間を過ごせました。
あいにくの天気の中だったけれど、本当に充実した内容でいつもにも増して自然に触れる機会の多かったツアーでした。地元の人から直接話しを聞いたり生きた教材を実際に目で見て感じたりすることで、危機感をしっかり認識しさらにこれからの赤城を知りたいという気持ちにさせてくれました。
「2、3年前まであったはずの松の木がもうない。今になってあの時何も行動に移さなかった自分に後悔しています。」
地元の人のこんな言葉が思い出されます。この旅を通して、当たり前の風景を当たり前と思わずに真剣に向き合うこと。そしてまずはすぐに行動に移す力が必要で、それこそが1番大事なんだということを学ぶことができました。
シブヤ大学MOTTAINAI学科、初の課外授業は大成功に終わりました。
赤城の皆さん、2日間どうもありがとうございました!
(ボランティアスタッフ 嶋村千夏)