シブヤ大学

授業レポート

2007/11/1 UP

パントマイムと伝えること

「パントマイムとジェスチャーの違いが分かりますか?」

こんな疑問を、先生であるが~まるちょばのお二人から投げかけられました。
この質問の答えを探し、感じ、理解することがこの授業の大きな意味であったと思います。

先生が登場し、息もつかせぬパフォーマンスをまずは披露。
さすが、世界を股にかけて活躍するお二人!!
目が離せないパントマイムに、興奮を抑えることができませんでした。

演技の間、お二人は一言も発しません。
パントマイムなので当然なのですが、言葉を使わず、表情や動き、効果音だけで表現することは並大抵のことではありません。
言語を使わずに、ここまで人を魅了することができるのかと思いました。

パフォーマンス終了後、先生はようやく声を発してくださいました。
言語がなくても面白いお二人ですが、話をされても面白い!!
パントマイムの語源(パントマイムの語源は演劇という意味の言葉から来ているそうです。)や、パントマイムの流れについて話してくださいました。

そのお話の中で出されたのが冒頭の質問です。
先生はすぐには答えを言いません。
私たちが考え、パントマイム体験を通し感じたことから答えを導き出そうとしていたのです。

さあ、いよいよパントマイム入門。
パントマイムと言われて、まず一番に想像する壁を触る動きから始めるのかと思いきや、それは後回し。
まずは体を運動モードにスイッチするためにジャンプなどをしました。
次に、腕は上下に動かす2拍子の動きを、足はグー・チョキ・パーの3拍子の動きを同時に行う練習をしました。
これが難しい!!
頭では分かっていても、全然動きませんでした。

この後、一点を動かさずに体を動かしたり、ポールをつかむ動きをしてみたり、そして壁が目の前にあるような動きをしたりしました。
これは体に言うことをきかせるのはできるけど、何だか変。
どうしてもポールをつかんでいるようには見えないし、目の前に壁があるようには見えません。

先生によると、普段から体がどのように動いているかということを意識していることが大切なのだそうです。そう考えると、目の前に物があり、それに触ることを当然のことと思っているので、意識などしていませんでした。腕が、指先がどのような順序でどう動くのか。これからはもう少し意識して生活してみようと思いました。

目の前に壁がある動きをする際に、壁がコンクリートの場合とガラスの場合でどう違うかという話になりました。「壁があるつもりで」とだけ言われた時には材質のことまで考えませんよね。しかし、コンクリートだと思うと圧迫感があり、ガラスだと思うと目の前の景色が見え、開放感がある気がしました。目の前には壁なんてないのに、感情を込めるだけで感じ方が変わる、そのことに自分でも驚いてしまいました。これこそ先生が投げかけた質問の答えなのです。

いくら動きが上手でも感情がこもっていなければ、それはジェスチャーでしかない。
少しくらい下手であっても、動きに心をこめ、見る人に伝えようとすればパントマイムになる。

コミュニケーションには心がなければ伝わらない。
何かを表現し、伝えたい時は心をこめる。
それはパントマイムも普段のコミュニケーションも同じ。
大切なことを改めて気づかせてもらえた、素晴らしい授業でした。

(ボランティアスタッフ 守谷真悠)