授業レポート

2017/10/13 UP

ペアダンスから紐とく伝える力



会場はチャコットダンス館。

社交ダンス専門店です。
ネット検索しても、リアルでショップに入るのはチョット緊張します。


入ると正面にキラキラのドレスの女性マネキンと、横にタキシードの男性マネキン。
まるでエスコートしているようです。

高い天井からスポットライトが降り注ぎ、衣装やアクセサリーのスワロフスキーがキラキラ。
ショップ全体に優雅な空気が漂います。


今夜の講師はこの方!メガネが親しみやすそうな本池先生と、パートナーの武藤先生



国内トップクラスのお二人ですが、始めたのは大学の社交ダンス部からだそうです。



本池先生は子供の頃から画家を目指して美大に入学。
「他の芸術表現もやってみよう」軽い気持ちで社交ダンス部に入ったそうです。


武藤先生は別の大学でした。
イベントサークルと思って入部したら社交ダンス部でビックリ!
大学から始めたのに、学生チャンピオンになりました。



卒業後お二人はプロダンサーになり、ペアを組んで競技ダンス最高位国内2位になったのです。
本場イギリスの世界大会にも出場されました。


さて、タイトルの「ペアダンス」と「社交ダンス」「競技ダンス」は何が違うのでしょう?



実は全部同じです。
(男女ペアで踊る→ペアダンス)(試合で競う→競技ダンス)(鹿鳴館で踊る→社交ダンス)

日本語は何を重視するかで呼び名が変わってしまいます。正式名称は「BallroomDance」です。


今回の授業は、座学の後で、ペアワークでダンスの基礎の基礎を体験します。


ペアで踊るには、お互いに必ず守らねばいけないルールがあります。
2人が別の動きをすると、ペアダンスにならないし、転倒の怖れもあります。


【ペアダンスの基本ルール】

①男性が女性をリードする


情報を伝えるのは、常に男性から女性へ一方通行です。
だたし、男性の死角に他のペアがいて衝突の危険がある時は、女性が積極的にリードします。
もちろん声ではなく動きで伝えます。


②姿勢とコネクションを保つ


「社交ダンス」=「姿勢が良い」イメージです。
実は姿勢が良いからリードが伝わるのです。
「姿勢が良い状態」は「身体が一番機能する」ものです。


「コネクション」とは「ペアの身体がくっついている事」です。


良い姿勢同士で身体をくっつけると、片方の動きは、そのまま相手に伝わり、同じ動きが自然にできます。


③音楽に合わせ同じリズムで同じ方向に動く


ラテンダンスではペアが離れたり、コンテンポラリーダンスでは無音で踊る事もありますが、
今回の社交ダンスのスタンダードでは「音楽ありき」「2人ペアで同じ動き」が絶対です。


④足は必ず左右交互にステップする


複雑なステップを踏んでいるように見えますが、実は必ず左右交互です。


 


次は隣同士でペアで「ペアダンスの基本的要素」を実践してみます。


向かい合って座り、本池先生の掛け声で片手をあげ、
2人同時に手のひらを合わせてパン!と音を立てるゲームをします。


片方がリーダー、もう片方がフォローするパートナーです。


 
簡単なはずですが、なかなかタイミングが合わず、良い音が鳴りません。


実はリードするのにコツが要るのです。


 リーダーがいきなり手を上げると、パートナーは予測できなくてフォローできません。


リーダーは上げる前から視線や姿勢・動きで「ここに上げるよ」と言葉以外でメッセージを伝えるのです。


パートナーにもコツが要ります。
リーダーのメッセージを受け取る準備をしていないと、タイミング良く合わせられません。



今度はそれぞれリーダーとパートナーの心構えをしてやってみます。




今度は気持ち良い音が響きました!


次は立って「動き」について実践します。



ペアで向かい合って手をつなぎ、リーダーのリードで左右に動きます。


案の定、最初は左右逆に動こうとしたり、タイミングや歩幅が合わないペアがいます。

手と同じように言葉以外のメッセージの送受信に気を付けていると、だんだん合ってきます。
また姿勢と腕をホールドすると、リーダーの足の動きが背筋→腕→掌に伝わって、
パートナーの掌→腕→背筋→足へと瞬時に伝わります。

意識して繰り返す内に、2人の動きがピッタリ揃ってきました。

上半身と下半身の動きが違うのに、ペアで1つの動きに見えます。


ここで先生の模範演技タイムです。
ワルツを即興で踊ってくださいます。パートナーの武藤先生は目を閉じて踊ります!

まるで打ち合わせたかの様なピッタリした動き。2人のコネクションは全くブレません。
目を閉じているのにグルグル回ったり、止まってポーズ決めちゃいます!


途中、武藤先生が目を開けた瞬間、ダンスが加速しました!先程と別次元のキレのある動き!
ポーズは更に反って、バラが咲いたような華やかな表現に変化しました!


基礎の最後は「音楽」に合わせて簡単なステップを実践します。


最初は音楽なしで全員で「シャッセ」のステップを練習します。
反復横跳びのように左右に一歩広げては元の位置に戻ります。なるほど、左右の足が順番に出ます。


ペアになってシャッセ。良い姿勢とコミュニケーションが取れてきたら、動きながら回転を加えます。


 
ペアダンスっぽくなってきました!


 


次はワルツのリズムに合わせる練習です。
ワルツ=三拍子は「1↑2↑3↓1↑2↑3↓…」1拍目と2拍目が高く3拍目で下がる(しゃがむ)動きです。


しゃがむには膝と足首を使います。

急にカクッとならないように、リーダーは滑らかに膝を曲げるように伝えないといけません。
パートナーも情報をきちんと受け取って同じだけ膝を曲げます。


 


いよいよ音楽に合わせて実践です。


今度は左右の動きの情報・上下の動きの情報・そして音楽(リズム)に合わせる情報、
全部同時に伝えてペアで一つの動きをします。


音楽を聴きながら、

足を左右順に出しながら、

背筋伸ばして腕ホールドして、

相手と同じ高さに膝をまげて…って、

同時に別々の運動をするのは大変。左右移動のシャッセまでできていたのに、ガタガタです。


でも、相手の顔を見て、信じて、感覚を研ぎ澄ますと、だんだん足が合ってきました。

3拍目で滑らかにしゃがみ、1拍目で高くなり、2拍目で一歩踏み出して回転、
そして3拍目で滑らかにしゃがむ…気が付くと、ペアダンスになっています!


そして、もっと楽しくなってきました!

「伝える・伝わる」が思い通りに出来ると、とても気持ちがいい!


滑らかに同じ低さにしゃがみ~次のステップで立ち上がる~タイミングばっちり~からの~ターンが
決まった時、ハッと「社交ダンス面白い!」


 
本池先生がまとめを語ります。


今回はダンスの基礎の基礎「閉じる・開く・回る」を実践しました。
曲・ステップ・姿勢など「お約束」をお互い守りながら、いろんな情報を同時にやり取りして踊る。
いかに大変なのかが分かったと思います。


模範演技も同じです。お約束を踏まえた人同士が一番、物事の伝達が早くできます。
早く出来る事で、より高度な、バリエーション豊かな表現ができるのです。


この授業でダンスを通じて「伝える力」を学んでいただきました。



これを機に、いろんな発見をしていただければ幸いです。




ダンスに興味を持った方は、都内なら、たいていの駅前にダンス教室があります。
ぜひ扉を叩いてみてくださいね。




(レポート:高橋純子、写真:青木佳子)