シブヤ大学

授業レポート

2015/12/8 UP

まずは、ゆるーくやってみよう。
〜地域に飛び出す、公務員っぽくない公務員の挑戦〜

元ナンパ師のスーパー公務員・山田崇(やまだ・たかし)さんを迎え、西武百貨店で開催されたThink Collage。


前半は山田さんから長野県塩尻市での活動について聞き、後半は塩尻で新しく始まる場所(元ビジネスホテル)の活用法について、参加者同士でブレインストーミングをする授業となりました。


 


■まずは、大人が軽くやってみよう


新卒で塩尻市役所に就職して18年目、例えば大小かかわらず、山田さんが関わるプロジェクトを並べてみると、

「空き家プロジェクトnanoda」「しおじり まちの教室」「市長の味噌」「Shiojiri Conversation(塩話/尻話)」「しおじりチャリフェス」「信州若者1000人会議」「地域ベンチャー留学(実践型インターンシップ)」「地域イノベーター留学」「人に会いに行く旅。」「しごとバー」「LLP honobono」「信州大学共同研究 地域連携研究員」「地域戦略プロフェッショナル・ゼミ」「コクリ!プロジェクト」「ぱぱとままになるまえにin塩尻」「信州移住計画」、、、


フットワークの軽さ、活動量が桁違いの人物です。


 


取り組みの端緒となったのが2012年に塩尻市の商店街で始めた「空き家プロジェクトnanoda」。市役所の職員がポケットマネーから1,000円ずつ出しあって空き物件を借り、朝の少しの時間シャッターを開けるという試みでした。
「商売をしたことのない人間に振興策は作れない」
「まずは自治体職員の勉強のため」
そう思って始めた地域での活動は、信州移住計画や、信州大学との共同研究、NPO法人ETIC.の「地域イノベーター留学」などへと発展し、8人の移住者を生む結果にも結びついています。




フットワークの軽さもさることながら、プレゼンの語り口も軽快で、授業では次から次へと実践事例や金言が飛び出しました。頭の回転だけでなく、仕事や生活そのものの回転するスピードが早い方なのだと思いました。


 


■いいメンターとの出会いがあった


かといって「軽い」だけの人では決してありません。
インターンシップの受入などでは親身になって若者の相談に乗り、自分より若い人々にチャンスを贈ろうとされている姿を垣間見ることができます。


商工会議所に出向していた頃、会頭にかけられた言葉があるそうです。
「手柄は、全部、山田くんのもの。
 失敗したら私のせいにしなさい。」
地域の経営者たちが手弁当で運営している商工会議所。その先輩たちから応援をされて、活動してきた山田さん。人生の先輩たちから受け取ったものをまた次の世代へと贈る。地域コミュニティで循環する想いの温かさを感じます。


 


■「ビジネスホテルみそう」プロジェクト


いま、塩尻で新しい場が生まれようとしています。かつてビジネスホテルとして営業していた3階建ての建物のうち8部屋を山田さんが大家さんから借り、新しい場として命を吹きこもうとしています。


でも、いったい何を・・・?
まだ活用方法は決まっていないそうで、今回の授業では受講生がグループに別れ活用方法についてアイデアを出しました。




「部屋ごとにアーティストが世界観を表現するギャラリー」「専門学校生の実習の場」「テーマを決めて商店街の名物を集める場所」「街コンならぬ部屋コン」など、ユニークなアイデアに山田さんも感心しているご様子でした。


今回の授業の参加者の中にも、ビジネスホテルプロジェクトをきっかけに塩尻を訪れる人がいるかもしれません。


 


■笑う門には福来る


笑顔の人に人は惹きつけられる。
明るい人の周りには自然と人が集まる。
山田さんは磁石のような人だと思います。
一緒に時間を過ごすと自分もすこし明るくなった気がしてみたり・・・?


最後にひとつ、山田さんがナンパをしていた頃の合言葉を紹介します。


 「もう会わない」


これには2つの意味があるそうです。

ひとつは、「失敗しても悩まずに次に進む」こと。

そしてもう一つは、「自分が動かなければ出会えない」ということ。


 


世の中に希望を持って挑戦を重ねることで、自分の周りの世界を変えていく。
私も山田さんのように笑顔でありたいと、心から思います。


 
(レポート:大竹悠介)