授業レポート

2015/4/1 UP

シブヤに新しい映画祭をつくろう。
— 「シブヤ映画祭部」キックオフ授業! —

-映画の観方はひとつじゃない!もっとみんなで楽しもう♪-

渋谷で新しい映画祭を開催するべく発足した「シブヤ映画祭部」。この日は運営メンバーを集めるため、映画館シアター・イメージフォーラムの山下宏洋さんをお迎えして、キックオフ授業が行われました。

授業を1部・2部に分け、1部では山下さんに映画配給のしくみやご自身のお仕事についてお話いただき、2部ではワークショップ形式で映画祭企画案を考えてみました。


 


■第1部
 通常は配給会社が、制作された映画の権利を買い、上映する映画館を確保し、宣伝します。シアター・イメージフォーラムはそもそも、個人で制作している映画作家の集まりが、既存の映画館では上映できなかった自分たちの作品を上映するため1971年に立ち上げた配給組織でした。元々が配給組織であったため、イメージフォーラムは映画館でありながら、配給も行っているのです。山下さんはそこで番組編成や宣伝、広告活動等をなさっています。
 また、イメージフォーラムでは毎年「イメージフォーラム・フェスティバル」という、世界中から作家性・芸術性・創造性の高い映像作品を集めて上映する映像フェスティバルを開催しています。
 日本では劇場公開されていない国内外の作品を集めることで、新しい作家、作品の発表の場となっています。日本人は海外の作品を知ることができる一方、海外のディレクターにフェスティバルに来てもらうことで日本の作品を発信するきっかけにもなり、海外と日本の映画業界をつなぐ役割も果たしています。
カンヌ、ベルリン、ヴェネツィアの3大映画祭、東京国際映画祭や山形国際ドキュメンタリー映画祭など、国内外には様々な映画祭があります。映画祭によって開催目的は異なりますが、多くの映画祭が「映画の見本市」でもあるそうです。映画祭によって集まった沢山の作品の中から配給会社が権利を買う、マーケットでもあるんですね。(映画祭って賞を決めるコンペティションとだけ思っていたので、知りませんでした…!)   
だから、「数回分の上映権を借りたい」という時は配給会社との交渉、未だ権利が買われていない場合は映画のプロデューサーとの交渉が必要となるそうです。


 


「積極的に、わからないなぁって思うとおもしろい」
 映画を観終った後、「意味がわからなかったな」と思う時ってありますよね?そういう映画はおもしろくない映画なのでしょうか?
「そういう映画こそおもしろい」と山下さんは言います。映画作品の中には、その作品のストーリーやテーマを上手く言葉で言い表せないものもあります。そういう言語化できない作品を、山下さんは映像体験として受け取っているそうです。その映画の世界に没入し、時間を共有し、体験する。それをするためには映画を見ている数時間、集中し続ける必要があります。家で一人で観ると挫折しそう…だから、そういう映画は映画館の椅子にしばられて、場所や雰囲気、テンションを複数人と共有してみたほうが楽しめる。…こんな風に書くと苦行のようですね…でも、そうやって映画館で映画と一体化して楽しむ体験は、家のデスクトップでは味わえない体験です。そうすると、「わからない、けどわかりたい」という積極的に作品に近づきたい気持ちが生まれる、と山下さんは話していました。
一方、起承転結がはっきりしていて、気軽に観られる作品は、家のテレビでリラックスして観るのも、とっても楽しいかもしれません。現に、劇場ではヒットしなかったのにDVD化したら売上がとてもよかった、ということもあるそうです。
映画を観る側の状況が、いかにその映画を楽しめるか、おもしろいと思うか、に影響するということかもしれません。作品の内容に合わせて、どんな場所で誰とどういう風に観るかを選べたら、きっとおもしろい映像体験ができるはず!ではどんな観方があるかなぁ?ということで、第2部のワークショップでは、実際に企画を考えてみました。 


 


■第2部
 まず、生徒の皆さんが事前に考えてきた「シブヤ○○映画祭をやりたい」という企画タイトルを紙に書いてもらいました。その紙を持ち歩き、似たテーマを持つ人をみつけてもらい、3~8人位のグループに分かれました。そして改めてグループで映画祭タイトルやテーマを決め、開催費用や作品の集め方、開催場所の確保等についても具体的に考えてみました。
「実現可能性はいったん脇に置いて、まずはアイデアを出してみましょう」ということで、様々な案が出てきました!その一部をご紹介すると…


○シブヤ「ロンポアン」映画祭
ロンポアンとはフランス語で「交差点」という意味。地方、また海外からも人々が集まる渋谷。そこでは異なる文化が交差します。方言で語られる地方を舞台にした映画や、海外の作品等を集めて上映して、自分たちの知らない文化が交差するような映画祭にしよう!
渋谷にある大使館や地方のアンテナショップから協賛金を集めたい。

○キーワードで選ぶシークレット映画祭
キーワードだけが告知され、映画タイトルは上映されるまでわからない、というミステリーツアーのような映画祭。

○五感を刺激する世界旅行映画祭
 世界各国の映画を、その国の文化(グルメ・ファッション・音楽等)を楽しみながら観る。渋谷にある大使館、料理店、キッチン付きフリースペースで開催する。


 他にも、ミニシアターくるくる映画祭(渋谷にあるミニシアター合同イベントを開催)、魑魅魍魎カルチャー映画祭(様々なカルチャーが入り混じる渋谷のように、異なるジャンルの映画を集めて上映。ライブハウス・カフェ・バー等、開催場所のジャンルも多様にする)、路地裏音楽映画祭(路地裏でゲリラ的に映画を上映し、街中で偶然出会った人を巻き込みたい。アワードをつくり作品を集めたい)、夏の青空映画祭(ビルの屋上を借りて上映。リラックスして自由に映画を楽しみたい)、シブヤ青空映画祭(渋谷のまち全体で映画を楽しみたい)、シブヤ大学映画祭(地域の学校を借りて開催。大学に様々な授業があるように、上映作品もジャンルを分けて、自分たちが学び成長できるような映画祭にしたい)等々が出て、聞いていてとてもわくわくしました。

 今回の授業を受けて、実際にシブヤ映画祭部に関わりたい!と思った方々と、今後改めてテーマを考え、実現に向けて活動していくことになります。本当にやるとなると、権利やお金、場所の交渉等々…なんだか大変そう。でも、授業の最後に山下さんは「まず、何をやりたいのかが大切」と話していました。作品を知ってほしい?新しい形式で楽しんでほしい?上映して、何を伝えたいのか。それがしっかりとあれば、きっとおもしろい映画祭になるはず!

 今回の授業では、映画作品そのものも多様だし、まだ試したことのない映画の楽しみ方が沢山あるのだとわかりました。シブヤ映画祭では、新しい映画の楽しみ方を体験できそうです。


(写真:大竹悠介/レポート:中野恵里香)