シブヤ大学

授業レポート

2015/4/1 UP

カカオから知り、考え、チョコレートをつくる
Bean to barというチャレンジを知ろう

 「チョコレートは好きですか?」


こう質問されて「Yes」と答える人の割合はいったいどのくらいでしょうか。きっと相当高いのでは?
チョコレートが嫌いっていう人知り合いにいたかなって考えてみたけれど、今のところ思い当たりません。 

そんな、多くの人が愛するチョコレートで新しい挑戦をはじめたのが今回の先生。山下さんです。
チョコレートの原材料から作り方、そしてビジネスのことまで あれこれを美味しく楽しく学んできました。

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『Bean to barとは「Bean(カカオ)」から「Bar(チョコレートバー)」を作り出すという意味です。』

そう教えてくれたのは今回の講師でMinimal代表の山下さん。
Minimal(ミニマル)は世界中から品質の良いカカオ豆を選び抜き・仕入れ、そのカカオ豆を使い板チョコレートができるまでの全工程(選別・焙煎・摩砕・調合・成形)を行う“Bean to Bar Chocolate”専門店です。
今回の授業では実際にお店で行われるのとほぼ同じ方法でチョコレート作りを体験したのですが、そこで使用したのはハイチ産とベトナム産のカカオ豆。それぞれを使って産地別のチョコレートが出来ました。
さてここで、なぜカカオ豆を産地別で使ったのか。
それを知ることは「ダークチョコレートの苦みの理由」を知ることでもありました。
私たちが普段口にすることの多い従来のチョコレートにはいろいろな産地のカカオ豆が混ざっているそうです。
ということは、本来それぞれの個性があるカカオ豆の味を均一にする必要があります。そうするために高温でカカオをローストして風味を飛ばします。


すると均一の味のカカオ豆が出来る代わりにどうしても苦みがでてしまい「ダークチョコレート=苦い」になるとのこと。(なるほど納得!)
一方、産地ごとのカカオ豆を使うということは地域・季節・品種に応じたカカオ豆ごとに最適な方法でローストすることが出来る為、カカオ豆のもつ本来の味わいや香りを十分に生かした個性豊かなチョコレートを生み出すことが可能となるわけです。

そんなわけで、
ハイチ産とベトナム産のカカオ豆を使って作ったそれぞれのチョコレートを食べ比べてみると…
確かに全然違う!!

酸味や香りや色などの違いがはっきり感じられ、それは今まで私が口にしてきたチョコレートとはまるで異なった はじめての味でした。


こだわりの材料を集め手間暇をかけて作る いわば究極の手作りチョコレートを作ろうと思ったのはどうしてなのでしょうか。
だいたいこういう場合『好きが高じて…』といった答えが返ってくることが多いのですが、かつてサラリーマンだった山下さんが独立しようと思ったのは単にチョコレートが好きだったからという趣味でお店をやっている感覚は全くなく『Bean to Barという新しい分野に出会い商売としての可能性を感じた』とお話されていました。
「ビジネスの可能性」とか「好きだから初めたわけではない」と聞くと一瞬身構えてしまう気持ちがよぎるかもしれませんが「例えばワインやコーヒーのように産地や品種、作り手による違いに素材回帰をしながらこだわりをチョコレートという新しい分野できっと愉しめる。
「そういった可能性をカカオはもっていて、それをもっと追究したい。良質なカカオをもっと作っていきたい。」
そう語る山下さんからは本当にいいものを「自己満足ではなくお客様の為」にというチョコレートとビジネスに対する真摯な姿を感じたきがします。


Bean to Bar Chocolateの今後が楽しみな 美味しくてワクワクの授業でした。

(レポート:柿沼真衣)