シブヤ大学

授業レポート

2010/5/19 UP

新しい本との付き合い方 ~サンジョルディ~

授業名にあるサンジョルディという聞きなれない言葉…
そもそも一体何なのか…

この授業で分かった事は、サンジョルディとは、友人や恋人や家族など、大切な人に本を贈るというしゃれおつなスペインの風習のことでした。4月23日は世界本の日であり、このサンジョルディの日でもありました。

今回の授業は、講義、本屋巡り、買った本の共有という流れで進行しました。
初めに、サンジョルディの説明や、先生である江口さんの本との付き合い方を踏まえた講義を受けました。その後、表参道・青山近辺で、グループ毎に本屋を巡り、各々大切な人に贈る本を選定し購入。最後に、全体で再度集まり、一人一人誰にどんな本を買ったのかという発表をして、みんなで共有しました。


自分の想像を超えた本、その本を取り扱っている想像を超えたセンスを有する書店との出逢い。きっと授業に参加した生徒さんの心の中にも、この驚きが混じった感動が生じたのではないでしょうか。

 
授業の中で最も印象に残るシーンが、各自が買ってきた本の報告の共有でした。
江口先生の温厚な人柄が滲んだファシリテーションに引きつられ、みなさん思い思いに、どんな人に、どんな本を贈ろうと思って購入したのか、その経緯について発表し合いました。
 
「偶然手に取ったこの本の初版日が、両親の結婚記念日だったので、父と母に贈ろうと思った。」
 
「田舎に住んでいる母に、日常の視点から一歩離れて欲しいと思って、この綺麗な雪国の景色を集めた写真集を買いました。」

「この授業には友人と一緒に申し込みましたが、私だけが当選して参加しました。なので、友人にお詫びの印にこの本をあげようと思って。」

「将来、自分に子どもができた時に、環境問題について話し合いたいと思い、この絵本を選びました。」


まさに十人十色。贈る人も買った本も、バラバラに違いました。けれど、買った本にはたくさんの想いが詰まっているという点は、唯一みんな同じでした。
1時間以上、悩み、考え、迷い、選び抜いた各自の本を見た時に、きっと贈った時に相手がほほ笑んでいる景色がどの本からも垣間見れたのは、私だけでしょうか。


(ボランティアスタッフ  鶴薗佳菜子)