シブヤ大学

授業レポート

2009/10/20 UP

地域と繋がるのが循環型社会の近道

シブ大ツーリズムでも歴史のあるこの群馬ツアーは、今回でなんと3回目。私自身は初めての参加、しかもエコとか自然万歳とかよくわかんなーい、という正直スタッフとして参加していいのか?と若干の不安が残りつつも、むしろイチ生徒としてちゃっかり参加してきました。

感想を言ってしまうと参加してよかったです。自然はきれいで日々のストレスから体は解き離れたし、ご飯はおいしかったし、地元スタッフの方々は面白かったし、なんと言っても少年の気持ちに帰れる場所もあったりして。ツアーの進行のほうも、総合講師のリボーン壱岐さんのスムースな添乗のおかげでストレスフリーでした。

今回のバスは、おなじみ天ぷらの廃油を活用した天ぷらバス。乗り心地は、普通のバスと変わらなかったですね。30人を乗せても馬力は変わらず。車内でのトークも弾みました。

まずツアーは赤城山が直面する松枯れのメカニズムを教えてもらうレクチャーから。地元で林業に関わる方から話を伺いました。赤城では地球温暖化の影響で生態系が変化し、その悪影響が如実に出ている場面に直面しました。過去、いろいろと人間が手を加えああだこうだやって、結局長い年月で見てそれが失敗している。あー、自然ってもともと強いんだし、そもそも人間は何もしないほうがいいんじゃないか?とりあえず地球を救おう!とか偉そうなことをいうよりかは自分の生活を見直すところからスタートするべきじゃないか?何より、赤城の枯れた松を再生させるために、枯れた松を利用した炭を土壌に撒いて、土地を弱アルカリ性にもどす作業は、まさに循環型。余計なことはしなくても、地元でも知恵を出せば生態系を戻せるという考え方に、最近の表面だけ(に見える)エコブームに一石を投じる内容です。何より、循環型エコを実現するためには、まずその土地に継続して活動を続ける必要があることを実感。つまり、地元の人の力が何より大切なのです。

レクチャーを受けた後はグループに分かれてフィールドワーク。実際にチェーンソーで木を倒して運んだり、植樹をしたり。植樹をする際には、きちんと炭を回りに撒いて、土壌改善の策をとったり。そう、実際の「エコ」は地味で結構体を使う。小手先だけのああだこうだ、机上の空論ではないのです。でも楽しかった。途中雨が降りましたが、虹がくっきりと見えたりと景色も楽しむこともできましたしね。

太陽が沈み、真っ暗になった頃、夜のプログラムスタート。まずは、ナイトウォーク。一列になって、真っ暗の森の中を突き進みます。途中、5分ほど立ち止まり満点に輝く星空を眺め、耳を澄ませ木々を抜ける風の音に耳を澄ませたり。流れ星をみたという生徒さんもいました。都内では感じられない夜景に、みな満足気。
さて、館内に戻ったら地元の方々を含めての交流会。赤城のもてなしに驚いたり、おいしい地酒に舌鼓をうったりと、盛り上がりました。部屋に帰った後、男子部屋では小学校5年の修学旅行的なノリがあったのかは内緒です。


二日目はとんとん牧場というレストランへ。豚の半身をナイフ一本で解体する様を見学したり、ソーセージ作りを体験したり、畑になっているお野菜をむしって食べたり。新鮮とはこういうことなんだなぁ、と、地元の方々の丁寧なガイダンスのおかげですんなり知識が入ってきました。ありがたい。

そして個人的にこの旅のハイライトだったのが群馬昆虫の森。もう、ここは皆さんに行ってもらいたい。広大な土地に再現された里山のさまざまな風景、日本家屋とかもあったりして、敷地内にはバッタや蝶、トンボにカブトムシ、そしてコオロギと、なつかしのインセクツが遊びまわっております。少年だった男子は間違いなくはまる!他にもヘラクレスオオカブト等の珍しい昆虫や、西表の蝶などもたくさんいたりして、とてもとても1日じゃ回りきれません。

そんなこんなであっという間だった二日間。この群馬ツアー、内容的にも、お値段的にも、かなりお勧めです。3回開催されたのにはわけがある、ってね!「ライフスタイルを考える」とタイトルにありましたが、これは都市側の人間のライフスタイルだけじゃなく、地域に生きる人のライフスタイルもきちんと考えないと、循環型の社会は作れないと感じさせられたツアーでしたよ。

(ボランティアスタッフ : 望月 崇)