シブヤ大学

授業レポート

2009/7/2 UP

「食」を通して見えるもの

本授業は、映画鑑賞とトークショーの二部構成。
小さなお子さん連れの生徒さんが多かったのが印象的でした。
恵比寿ガーデンシネマで78分の映画をフルで鑑賞するところから授業はスタートしました。

食べることは、生きること。
鶏をさばく、魚をおろす。
手際の鮮やかさと、食材のリアルさに圧倒されながら、映画は始まります。
そして、“人に良いと書いて食と読む日本”に住む、様々なひとたちが、食について語りだします。
「文化も人も気候もあったかいところが好き。だから沖縄に移り住んで、自給自足を目指した生活をしています。」
「茶の湯では、ただ一杯の茶を愉しむことが、一番大切。ほんとは粉末にお湯を入れるだけの、インスタントですから。楽に愉しんで。」
「食べることは飽きない。90年間食べつづけても飽きないんだから、すごいことですよ。」
・・・・抜粋したのは映画のシーンのほんの一部ですが、食を通してその人の考え方や、生き方がみえてくるような映画でした。

それから、生徒さん同士で映画を見た感想を話し合ってもらい、トークショーへ。
「食べることはあたりまえのことになっていて、食を大切にできていなかった。」
「家族をもって、食はコミュニケーションだな、と実感するようになった。」
など、生徒さんの意見・感想を聞きながら進みます。
時折、大きな笑いが起こったりと、とても盛り上がりました。
下記に、パネリストの方のコメントを載せておきます。

● 廣瀬 裕子さん(作家)
「この映画を見て、食べることは生き方そのものだなあと感じました。食卓のシーンだけでも人生を語れるなと。」
「“おとうふ”や“お魚”というように、日本語は昔から食べ物に“お”をつけて呼んできた。それだけ日本は食というものを大切にしてきたっていうことの表れだと思います。」
● 渡辺 満里奈さん(タレント)
「最近は旬のお野菜を届けてもらい、それを料理していただいています。日本は四季があるからこそ食が楽しいと思う。」
「子供ができてから、自分だけじゃなくて、食って子供につながってゆくものだなあと思いました。」
● 野村 友里(フードディレクター)
「色々な方から感想を寄せていただいて面白いなあと思うのが、引っかかるところが人によって違うということ。今回映画を作らせていただいて、伝わるものはそれぞれ異なるんだと思いました。この映画を見て、今どこが自分にひっかかったのかが大切だと思います。」

私が今回の授業でひっかかったことは、
「あなたにとっての食とは何ですか。人生の最後に食べたいものは何ですか。」
という問いと、様々な人の答え。
食を知り尽くした料理人や有名な俳優が口にした、母親や妻の料理という答えには、食のもつ大切な要素が詰まっているような気がしました。

誰がつくったものを、誰といっしょに食べたいか。
または、だれにご飯をつくってあげたいか。
それは、誰を何を、どんな思い出を大切にしているのかに、つながっている。
私はそんなことを考えるきっかけになりました。

この授業に参加できなかった、という方も、よろしければeatripをご覧になってください。映画を見てあなたの心にひっかかったものが、今のあなたにとって大切なものかもしれません。

※ちなみに、授業終了後に近くのカフェを貸し切り、eatripの映画配給会社であるスタイルジャムさんと、大地を守る会さん企画の「ランチ会」が行われ、授業に出席した生徒30人が交流を図りました。食についての授業だったので、授業後も大いに盛り上がることができました。

(ボランティアスタッフ:花輪 むつ美)