シブヤ大学

授業レポート

2009/2/9 UP

イザ!防災パワーのビッグバン

地震発生まで、あと20秒。
さて、何をすればよいのでしょう?

必要なものを持って、どこか安全な場所に避難しますか?

じゃあ、必要なものって何?
安全な場所って、どこ?

さあ、20秒です。
一斉に答えを出してください————


『地震の発生をおよそ20秒前に予知することが可能になった。』
このニュースを聞いて私は、『すごいけど、20秒じゃ短すぎ!』って思った。
まだ何にも準備してないし、何にも知らない。
必要なアイテムとかもろもろの対策とかをネットで検索してるうちに20秒なんて経っちゃうよ、
って。
でもすでに知識も準備もあるのなら、その20秒には価値がある。

防災グッズを用意しようとか、地域の防災訓練にも出ようかと思ったこともある。
けれど面倒さから気乗りができず、結局何もしないままだった。
だから私にとって、『カエルキャラバン』との出会いは衝撃的だった。


2009年1月17日。阪神・淡路大震災の発生から14年を迎えたこの日、恵比寿の加計塚小学校では『イザ!カエルキャラバン!』が開催された。
『イザ!カエルキャラバン!』とは。恵比寿の『渋谷区新橋地区町会連合会』が街ぐるみで行う、子どもたちのための体験型防災ワークショップ。地元の小学生に混じって私たちも参加させてもらった。

会場は小学校の体育館とグラウンド。防災グッズの暗記クイズや消火器の実習、火事場の煙体験ハウスなど、いくつかのブースに分かれている。

会場に来たらまず、持参したおもちゃの査定を受け、「カエルポイント」をもらう。いいおもちゃは3ポイント、ふつうなのは2ポイント、ビミョーなのは1ポイント。「カエルポイント」はワークショップを回るとさらにもらえ、もらったポイントはおもちゃと交換できる。

ワークショップで学ぶ「知恵」や「ワザ」は167人の震災経験者にアンケートして集めた「実際に使えるもの」ばかり。たとえば、

・車のジャッキ→瓦礫を持ち上げて、下敷きになった人を助い出す。小さいものでも1t分くらい持ち上げられる。
・タオル→包帯やマスクとしてや、中に石をくるみ両端を持って振り回せばハンマー代わりに。開かなくなった窓なんかはこれで割る。
・ラップ→石の上に敷けば、簡易的なお皿の出来上がり。包帯がわりにも使える。

という感じ。こんな知識を、ボードゲームや防災グッズの暗記クイズといったアタマを使うゲームや、毛布を担架にして人形を運ぶレースなどのワークショップを通して学ぶ。考えたり、カラダを動かしたりする分、中身がすーっとアタマに入ってくる。
それにしても、ひとつずつのワークショップの芸が細かい!カエルポイントはお札みたいな凝ったデザインだし、消火器の消火実習では、的にするのは炎を模したブックエンド。水が当たってスタンドが倒れると、キュートなカエルの顔が現れる!楽しませようオーラがバシバシと伝わってくる。

ワークショップの終了後はオークション。みんなが欲しがるようなおもちゃが出品される。
あちこちから飛び交う数字の応酬に、子どもも大人もハラハラ!
と言うよりむしろ、付き添いの大人たちの方こそ白熱!子どもそっちのけで声を張り上げていたお母さんも。
ウルトラマンのフィギュアが55ポイント、テープに文字を印字できるマシーン「テプラ」は170ポイントで落札されていた。
(1回のワークショップ参加が5ポイントくらいだから、かなり頑張った!)

お目当てのおもちゃを手にして瞳をキラキラさせる子どもたち。おもちゃもきっと本望だ。
欲しいおもちゃが手に入って、楽しく防災の知恵が身につく。一石二鳥の楽しい防災訓練だった。

さて、防災グッズの買い出しキャラバン、行ってきまーす。

(ボランティアスタッフ 松本 典子)