シブヤ大学

授業レポート

2008/12/26 UP

先生は、夫婦問題カウンセラーとして活躍中の岡野あつこさん。

離婚問題のエキスパートとして、テレビや雑誌にもよく登場されている。
「ゴホンと言えば、龍角散」ならぬ「離婚と言えば、岡野さん」なのである。

この授業では、夫婦問題を通して「人生を送っていく上で大切なもの」を、
岡野先生と生徒のみんなで、一緒に考えていった。

僕が授業の中で特に印象的だったのは、岡野先生の言葉の説得力。

自分自身も離婚経験があり、これまで2万件以上もの相談を受けてきたという先生の言葉には、理想を語るだけではない、現実に根ざした重みが感じられた。

そこで今回のレポートは、特に印象に残った先生の言葉を中心にお伝えしていきたい。

●『愛とは、究極のおせっかい』
確かに、本当に大切な人には、頼まれもしないのに何かしてあげたくなるものだ。先生は仕事の上でも、お客様に対して「おせっかいなほどの気配り」を大切にしているという。

●『お互いにあきらめちゃったとき、離婚に至る』
これには心の中で頷いていた人も多いだろう。先生の元には、結婚3年目ぐらいで相談に訪れる人が多いという。それぐらいの時期に、夫婦間ではいろんな問題が発生しやすいのだとか。一般的に「結婚5年目に離婚する夫婦が多い」と言われるが、3年目に離婚を考え始め、準備に約2年を費やしてから離婚する、というケースはよくあるらしい。うーん、リアル。

●『いい相談相手は、経験でアドバイスしてくれる人』
離婚を考えたとき、あなたは誰に相談するだろうか。親?親友?先生の経験によると、そのどちらに相談しても、結果は離婚に近づくという。恋愛結婚の場合、親は、心の中では結婚に反対していた場合が多く、離婚をすぐ認めがち。親友も「愛情は嫉妬の裏返し」で、本当にためになるアドバイスはくれないことが多い。だから結婚する時には、人生経験豊かな仲人をつけておいた方がいいとのこと。しかも、おせっかいで、ガンコな人。「結婚、夫婦生活は初めてのことだから、人生の先輩のアドバイスを聞くことが大事」。

●『結婚適齢期に出会う相手が最良とは限らない』
「晩婚オッケー!」と言い切る先生。ある程度の恋愛を経験して、比較対象がいる方がいい。そして人間は、経験が少ないほど打たれ弱いものなのだとか。そう言えば僕も、最初の失恋ではずいぶん打ちのめされた気が・・・(笑)

●『愛にはメンテナンスが必要』
愛は双方向だから、話し合うこと(お互いを知ろうとすること)が大事。にもかかわらず、実際は、夫がどんな仕事をしているのか知らない妻がいる。妻がやっている家事の大変さを知らない夫がいる。

●『相手は自分の鏡です』
相手のいいところも、イヤなところも、自分の裏返し。問題が起きないようにするためには、家事の分担など、最初に契約しておくことが大事。ビジネスも結婚も同じ。男は見栄をはらないこと。働く女性は「働かせてもらっている」と思うことが大事。

・・・といった先生の話を聞いてテンションが上がってきたところで、ワークショップへ突入。
5、6人づつぐらいに分かれて、グループごとにディスカッション。
テーマは、「あなたにとって、【愛】ってなんですか?」

大きなテーマだけに、各グループごとの発表では、いろんな意見が出た。

「思いやり、見返りを求めないもの」「受け止める気持ちがあるもの」
「相手のことを大切に思う→思いやりを感じ→見返りを求めない→愛する」
「思いやりも、表現しなきゃダメ。」「思いやることで、自分も支えられる」
「自分を肯定して、周囲も肯定すること」「答えのない方程式」
「愛はきっと奪うでも与えるでもなくて 気がつけばそこにあるもの(歌詞)」

全ての発表を肯定しながら聞いた上で、先生はある親子愛の物語を聞かせてくれた。
愛のカタチも、家族のカタチもひとつじゃない。それぞれで築き上げていきましょう。
そんなメッセージを強く感じた。

他にも、愛や夫婦にまつわる言葉をいろいろ紹介してくれたが、特に記憶に残ったのがこれ。

●『結婚生活で一番大切なのは忍耐である』(アントン・チェーホフ/ロシアの小説家)
なんとなく認めてしまいがちなこの言葉に対して「反論してください!」と言うところが、岡野先生の結婚に対する姿勢を象徴しているのではないだろうか。「絶対、ガマンしろとは言わない」。ガマンするのではなく、モノの考え方を変えることが大事だという。家事を時給に換算するとか、夫が仕事に行っている長い時間を、自分の時間にできる喜びを感じるとか。幸せに、前向きに、いい方にとらえること。

●『世界平和のために何ができるかですって?家に帰って、あなたの家族を愛しなさい。』(マザーテレサ)
なんかもう、すいませんでした、と謝りたくなるような言葉。同じように耳が痛い人も多いのか、会場のあちこちからため息のような声が・・・。

そして先生からスペシャルなプレゼント。夫婦(パートナー)とのコミュニケーション術を大公開!

■オカノ式『コミュニケーション7』
メソッド①日々のあいさつは必須!(心を込めることが大事)
メソッド②感謝の言葉を忘れずに。(思うだけじゃダメ)
メソッド③宵越しのケンカはしない。(許す、悪いと思ったら謝る)
メソッド④会話のない日を作らない。(相手が面白くなるよう話に工夫)
メソッド⑤二人だけのイベントを最低年3回。(相手の気持ちを知るためにイベントを利用)
メソッド⑥相手より器を広げる。(ステージを上げ、挑発に乗らない)
メソッド⑦スキンシップを欠かさずに。(横に並んでテレビを観る、ふれあう)

大切なのは、恥ずかしがらずに堂々とやること!
さぁみなさん、明日から、いや今日から実践しましょう。

最後に、先生が伝えたかった「一番大切なもの」「一番大切な視点」。
それは、「自分を大切にすること」「自分の価値を決めること」。
「自分を大切にしない人は、他人も虐げてしまう。自信を持って、余裕のある愛を与えよう」。

愛について、家族について考えることなんて、普段はちょっと恥ずかしい。
でも今回の授業に参加できたおかげで、正月に実家に帰るのがいつもよりもっと楽しみになった。

(ボランティアスタッフ 杉原 学)