シブヤ大学

授業レポート

2008/12/24 UP

地下30mで躍動する、トーキョーの未来。

さて、問題です。
首都高はよく渋滞していますが、その渋滞している車たちは一体どこへ向かっているのでしょうか。

実は、利用者の6割は都心を通過するだけ。
それらは神奈川から埼玉へ、など首都圏の他のエリアへ行く車。
けれど自動車道が都心にしか通っていないから集まってきてしまい、結果、渋滞を引き起こしているのだそう。

そこで、首都高の渋滞を緩和するために考えられたのが中央環状線。
都心のちょっと外側を走る約47kmのネットワークが渋滞を抑制して、年間で約20万tものCO2を削減するのだとか。

そして、各方面からの自動車道をまとめ、速やかな合流を促すのが大橋ジャンクション。外から見ると巨大な楕円形だけど中はドーナツ型。4層のらせん状になっていて、二周回るとそれぞれの出口に行きつく構造。

ぐるぐる巻きだからその名も「Ohashiトルネード」。でも何だか巨大なカタツムリっぽい。いや、4本の動脈をまとめているから、心臓?

こんな、大橋ジャンクションについての授業を、地上40mの、出来たてのトンネルの中で受けました。先生の声、コンクリートによく響いてる。
ちなみに、らせん構造なので床がナナメ。7%の勾配で、立ってみるとけっこう急です。

その後、雨が降る中、ジャンクションの屋上へ。ここは将来、地上約40メートルに広がる公園になるそう。
眼下には開放的な都心の夜景を望む、リング状の公園。プロポーズのメッカになりそう!?

そして今度はイッキに下り、地下30mの山手トンネル掘さく現場へ。

この日は工事がお休みだったけど、トンネルの最先端まで歩かせてもらいました。
直径13mのシールドマシンで、1分間に2cm、1日に4〜5mずつ掘り進められる、地下30mの新たなライフライン。
これが完成すれば、東京に新たな躍動がもたらされると思うと、ドキドキします。

渋滞のイライラを解消し、年間20万tものCO2を削減するシステム。それは本当にすごい取り組みだと思う。

クルマと道路と、地球環境。切っても切り離せないこの3つの関係に、時に私は感動し、そして時に、頭を悩ませる。この首都高中央環状線の外側、NEXCO主体の圏央道では、高尾山に穴を掘るトンネル工事が行われている。渋滞を解消してCO2の排出を減らすことと、自然の生態系を守ること。どちらが本当に優先されるべきなのか。両立は不可能なのか。地球のために考えなければならない課題は、まだまだたくさんある。

しゅるしゅるっ、と巨大なトルネードを通り抜けた先に広がるものが、どうか気持ちのいい未来でありますように。そう、強く想う。

(ボランティアスタッフ 松本 典子)