授業レポート

2019/10/28 UP

声を届かせる元気な発声術~身体から学ぶボイストレーニング

今日の授業は、声の出し方、発声術。講師はボイストレーナーの斉藤かおるさん。普段はプロの方に個人レッスンをなさっているとか。
いつもは1対1のレッスンだと思うのですが、今日は約30人の生徒がそれぞれの声の悩みをかかえて、集まりました。

はじめに、みんながなぜこの授業に参加したのか、気になっていることをヒアリング。
「プレゼンで話が聞きづらいと言われる」
「がやがやした居酒屋で自分の声が響かず、注文が通らない」
「滑舌が悪い」
「大きな声がでない」
といった誰もがあるあるの悩みもあれば、逆に
「声が通りすぎてうるさいと言われる」とか、
役者志望の方の「いろんな声を出したい」
といったものまで様々な理由が浮かび上がりました。



まずは座学。
写真や動画をつかって、口の中の構造を学びました。
ここで、生まれてはじめて「喉頭蓋(こうとうがい)」という喉の部位を知りました!これは水を飲んだときに喉がゴクっとなるときに動く場所。肺に飲み込んだものがいかないように気管にフタをする役割をもっています。



発声の違いは喉頭蓋のカタチの違いである、という見解もあるとか。4人のコーラスの動画で、人によるカタチの違いや歌声を出すときにどう動くのか、ちょっと生々しいですが普段見ることができないものを観察することができました。



次に、ひとりの人物が4つのジャンルで歌い分けるレントゲン映像を見ました。
LightMix調、オペラ調、ミュージカル調、ロック調という歌声の変化に応じて、さきほど知ったばかりの喉頭蓋(こうとうがい)、舌、のどちんこ=口蓋垂(こうすいがい)の動きもそれぞれ変化していました。無意識に行っていた「声を出す」という行為でも、人間の体はとても複雑に動いており、どの部分がどう動いているかを意識することで声の質を変える一步になることが分かりました。



さらに、鼻音(びおん)と口音(こうおん)の話も。口からの息だけを声にしているか、鼻からも息を出して声を出しているか。声を出しているときに鼻をつまんでみて、声が出しにくい人は鼻音もつかっている証。どちらが良い悪いということではなく、自分の声がどうやって出ているのかを知ること、鼻音と口音の両方のバランスを自分でコントロールすることが「自分の出したい声」「いい声」に近づく方法なのだと思います。



いよいよ、実践ワークショップ。
誰でもすぐにできるトレーニング6つをみんなで体験しました。

1つ目は「パンツゾーン」。これはお腹の筋肉のうちの下の部分を意識するために、先生がわかりやすく例えてくださったことば。ペットボトルのキャップ側をこのパンツゾーンに当てて、フッと力強く腹から息を吐きます。ペットボトルがしっかり前に動くと腹の底から息ができている証拠。かおる先生の動きはまるでロケット発射のようでした。
2つ目は「ドッグブレス」みぞおちあたりを意識しながら、犬が走ったあとにハッハッハッと息をするように呼吸します。このふたつをやっただけで、なんだか体がポカポカに。いずれも腹式呼吸にかかわるのですが、腹式呼吸をすると内蔵が動き、血液がめぐることで体が温まる、という仕組みのよう。
3つ目は「ハブラシ」舌の奥の方に歯ブラシの背を乗せて、そのままグッと押します。戻ろうとする力で喉頭蓋(こうとうがい)を鍛えるトレーニングです。
4つ目は「マッサージ」これは一番簡単、のどぼとけをマッサージするだけ!ゆっくりと右に左にもんでいきます。やわらかく、やわらかく…。



5つ目は「やらやら」口をあけて顎を指で動かないようにおさえて、やらやら、られられと発声します。ニコニコ動画、エリックさんと検索すると詳しいやり方がでてくるそうです笑。
6つ目が今日のメインの「ストロートレーニング」赤白ふたつのストローが配られました。白いストローはとても細く内径がたったの2.5mm。



ストローを吹くだけなのに、口が細いからなかなか簡単にはいきません。負荷がかかることで、声帯を整えることにつながるようです。よくあるストロートレーニングは赤い方のサイズで行われているようですが、白い方のように細くないと、意味がないのだとか。こんなに細いストローは市販では売ってないけれど、チュッパチャップスの持ち手の内径が実はこの細さなのだとか。マル秘情報です。



体験トレーニングのあと、再び一人ひとりとの対話がはじまりましたが、あいにく2時間はあっと言う間。パーソナルトレーニングの先生ならではの、ひとりひとりに向き合おうとされる姿勢がとてもありがたかったです。ボイストレーニングとは、声を音階ごとに出したりするレッスンかと思いこんでいた私。でも実際の授業内容は、人間の体の構造を知り、体を意識して動かすことでした。今日はほんのさわりでしたが「ボーカル ペダゴジー」という教育学に基づいた授業でした。



声を出すことは喉や口だけの動きではなく、腹筋や下半身にも繋がっている。だから、腹から声を出すことは体の健康、さらには心の健康にもつながるのだと思います。

今日の授業ではじめて知った「喉頭蓋(こうとうがい)」。この喉頭蓋を意識することで、健康に、美しくなれるとかおる先生はおっしゃいました。授業後のアンケートにも「これから、喉頭蓋(こうとうがい)を意識して生きます!」という生徒さんからの言葉も。今日の授業をうけて、私もこれから喉頭蓋を意識して生きていこうと思います。



(授業レポート:樋野晶子 / 写真:原貴行)