授業レポート

2019/3/27 UP

2限目:「こどもと大人の関係性」の未来を考えよう

今回の授業は、社会が変わっていく中で、子どもとどのような関係を築けば良いか、
子どもと関わりのある多くの大人が持つであろう漠然としたこの疑問を、
まちの保育園・こども園の 松本 理寿輝さんに伺った。
日々子どもと触れ合う中での印象的な場面、場面の写真と
いくつものお話が教室内を一気に走り抜けた。

まず先生は、地域に開かれたまちの保育園・こども園の様子や仕組みを教えてくれた。
先生は街ぐるみで子どもたちを育てたいという思いがあり、園には、地域の人が尋ねられるよう、コミュニティスペースを必ず園の中に設けているそうだ。
例えば、小竹向原の保育園にはカフェが併設されていたり、
六本木の園では、本が用意されたサンドイッチのお店があり、
園と人とを結ぶ仕組みが用意されていた。
代々木公園にある”まちのこども園”ではギャラリーが併設され、
年間1000万人来場すると言われる公園のそばで、
子どもたちの活動が発信できるようになっているそうだ。

施設だけでなく、子どもたちの活動にも、地域に根ざした試みがなされていた。
例えば都会に住む鳥に子どもたちが興味を持った時、鳥に詳しい鳥博士に来てもらい、一緒に街を歩き、鳥の声や木の実から、鳥の生態を探求していったそう。
子どもの好奇心を元に地域や専門家を繋げていく、
もし自分もこうした環境で育っていたらな、と羨ましく感じた。


授業の中では、子どもたちの創造力の豊かさも紹介していただいた。
例えば、子どもたちが音楽会をやりたいと言った場合、
普通なら先生が楽器を選び、曲を選び、子どもたちに担当を割り当てそうだが、
まちの保育園では、子どもたちが周りにあるモノで、音の鳴る楽器を作るところから始めたそうだ。

他にも子どもたちが展覧会をしたいと言った時も
既存の美術館の説明はせず、子どもたちに考えてもらったところ、
外で見つけたお気に入りの葉っぱを展示したり、招待状を用意したり、
水の入ったグラスに葉っぱを浮かべた作品も作られたそうで、
子どもたちの伸びやかな感性を教えてくれた。
そのエピソードを話す、先生の優しく嬉しそうな表情も印象的だった。

大人が主導してしまえば、どうしても既存の枠に収めがちだ。
しかし、まちの保育園の話には、子どもたちの考え、感性、行動をそのまま受け入れられる、先生たちの素晴らしさが感じられ、温かく子どもを理解する大人がいることが、子どもが過ごす環境には、とても大切だと思った。

そして、先生からこれから起こる世の中の変化についても説明があった。
人口知能の技術が進むにつれて、今ある仕事の半分が無くなり、
65%の子どもは、今存在しない仕事につくそうだ。
そうした時代には、単純な正解ではなく状況に応じた最適解を見つける能力や、
生涯にわたり、主体的に学び、創造し続ける力が必要になる。
そのため今のようなティーチングに重きを置いた教育の他に、
アクティブラーニングによって、子どもの主体性を育むことが重要だと話されていた。
保育園の先生から、AIや未来の話を聞くのはとても不思議な感じがしたが、
それだけ、変化する時代に生きる子どもたちの事を、真剣に考えているからだと思った。

先生は最後に、子どもがノビノビと育つための大人の姿勢として、
大人自身がどうあるかがとても重要とお話されていた。
子どもにこうあってほしいと考える前に 、
自分たちがどうあるべきか、イキイキと生きられるようにするにはどうすべきかを考え、楽しく信じられる社会を目指して実行するのが大切らしい。
何故なら子どもは成長の過程で、”こうなりたい”という社会モデルを探しているからだ。

後半は、松本さんのお話を踏まえて、参加者同士でのワークショップ。
「子どもと大人の関係がもっとフラットになって、子どもが社会で活躍できるようになったらどういった事が起こるか」を考えようと、6名程度が1グループになって話しあった。
テーマはお店が集まる場所、自然の多い場所、高齢者の集まる場所、学ぶ場所など、話したいテーマを各自で選び、グループで話しながら子どもの可能性について考えた。

話し合いのなかで出てきた意見として、
・子どもに先生になってもらい色々教えてもらう。
・近くの地域に孫のような子から刺激を受ける接点は重要である。
・子どもは好きなことをやるから主体的になる。互いに知って尊敬し合う、表現する力が身につく。
・自分で考える力があるから想像する力がつく。
・子どもと大人の接点の作り方は課題意識で、幼稚園・こども園で出会えるのは素晴らしい。
 公園も子どもと大人の接点になり得るので、活用することができるのでは。
・子供だけではなく、大人も変われる。 例えば”一方的に教える”より、人をまとめる力、
 経験値の違いから選択肢を与えるなど、より良い方法で 大人も変わっていける。

などテーマは違えど、子どもの力を信じる前向きな意見ばかりだった。
先生は、子どもの能力をノビノビと発揮してもらうには、大人が意識を変えて、
彼らを出来る存在と考え、選択肢を用意してあげるのが重要だと話されていた。


少子高齢化を背景に、これからの将来を支えるのは今の子ども達であるのと、
これまでを支えてきた老人、自分の親の世代、間も無く親になる自分自身を照らし合わせると、大人が自由度と想像力の高い子どもから学ぶことは沢山あると、改めて気付かされた授業となった。
無限大の可能性をもつ、こどもは未来の宝だ!


(レポート:鈴木貴博、写真:野原邦彦)