授業レポート

2019/3/27 UP

2限目:「地域活性 × 映像の力」の未来を考えよう

強く、美しく
愛はつながる。


これは授業の最後に観た,第7回観光映像大賞(観光庁長官賞)を受賞した長崎県南島原市制作のショートフィルム「夢」
(http://www.city.minamishimabara.lg.jp/page6751.html)に出てくるキャッチコピーです。まるで映画のワンシーンを観るかのようなクオリティは,撮影地の持つ様々なポテンシャルと相まって衝撃すら覚えるものでした。


今回講師として登壇頂いたのは,岡本 俊太郎 さんとタカザワカズヒトさん。岡本さんは映像プラットフォームVookを運営するかたわら,映像事業のプロデューサー的役割を担い,タカザワさんは映像ディレクター/フォトグラファーとして様々なジャンルの映像を制作するかたわら,自身のポートフォリオとして「おだやか家」(2016),「おぶせびと」(2017)など,地域をテーマにしたショートフィルムを発表して国内外で高い評価を獲得されています。


★契機
スマートフォンの劇的な普及により,1人1台画面を持つことと同じと言っても過言ではない時代,地域に住まう人の想いを伝え,課題解決に繋がるような,地域が持つ本来の魅力を映像で発信する環境は整っていると言えます。岡本さんとタカザワさんは,こうした映像新時代ともいうべき時流に乗りつつ,地域の人たちとの交流を通して得られた,地域への愛着や気づき,感動を映像を通して多くの人に伝えたいと考えたのが,この取り組みを行うきっかけだったと言っています。


★地域の現状と問題点
日本の総人口は20年前と現在とではさほど変わりは無いのですが,生産年齢と呼ばれる15~64歳の年齢層に大幅な変化が見られる点が問題視されています。こうした世代を担うプレーヤーともいうべき年齢層の減少は,特に過疎化が進む地域の運営に大きな影を落としていると言わざるを得ません。
国もこうした問題に対応すべく様々な施策を展開しており,その最たるものに地域おこし協力隊があげられます。しかし,任期(1~3年)後の定住率が低く,地域の魅力や人間関係を獲得した人材が定着しないため,中長期的な視野に立った取り組みを行いづらいというのが現状です。


★今後の地域との関わり方と映像
「関係人口」というキーワードがあります。これは従来の観光をはじめとする商業ベースを主とした地域との関わり方から脱却し,より地域の人々と多様に交わることを目的とした人々を意味する言葉なのですが,タカザワさんはこの考え方に着目し,「関係人口」を増やすための映像作りを心がけているとのことです。
地域側としては,各種取り組みを持続させていくためのモチベーション維持・向上に,また外部側としては観光ガイド等に依らない,地域に根ざす人や自然といった様々な魅力を知るきっかけとなる,映像にはこうした要因を結ぶ役割が期待されているように感じます。
授業では,上述した映画の舞台となった長野県小布施町の他,同県小海町や大分県竹田市の映像も紹介されましたが,従来の映像とは一線を画した,地域に住む人たちの鼓動や息づかいが伝わるもので,実際にその地域に足を運ぶだけでなく,その人たちと会ってみたいという気持ちにさせられるものでした。


★最後に
国全体の人口が減少することが予想される以上,各地域が移住・定住人口だけに着目することは,小さくなるパイの奪い合いであり消耗戦でしかないとの考えもあります。我々のように都市部に住む者にとって,従来の地域創生とは違った「関係人口」を切り口にした新たな方法を模索し,どう地域と関わることができるか,改めて問い直させられた授業となりました。

(レポート:江幡 祐介)