シブヤ大学
誰もが働ける社会を作る ソーシャルファームを知って、考えて、働きたくなるワークショップ

ソーシャルファーム(Social Firm)という存在をご存知ですか?

誰もが楽しく働くことができるような職場。挫折があっても、失敗があっても、困難があっても、障害があっても、働きたいと思っている人は多い。そうした人々が働くことができる場所が「ソーシャルファーム」です。

でも、ソーシャルファームは特別な場所じゃないんです。どんな会社でもソーシャルファームになることができる。

このワークショップは、ソーシャルファームとはどういうものか、どんな会社が取り組んでいるのか、どんな人がどんなふうに働いているのか、どうやってソーシャルファームになれるのか、さまざまな人々が楽しく働くことができるソーシャルファームの思想と実践を知り、未来の社会を考え、作る場所です。

2025年 第4回テーマ関西のソーシャルファーム実践者と話してみよう!

2025年12月18日(木)19:00〜21:00

初めて関西から登壇者を迎え、東京のソーシャルファームと近藤先生を加えてのトークに満員の会場も盛り上がった2025年度の最終回。「Slido」を使って会場から随時質問できるようにしたのも、このワークショップとして初めての試みでした。

大阪の「一般社団法人NIMO ALCAMO(ニモアルカモ)」では、働けない人を「働けるようになろう」とするのではなく、「働ける」環境を増やすというコンセプトのもと、チャイ専門店「Talk with_(トークウィズ)」でシフトフリーの仕事や姿を見せなくても働けるアバター接客、カレー専門店「nimo alcamo(ニモアルカモ)」ではワークシェアなど、新しい働き方の実験を行っています。「ニモアルカモ」という法人名は、「1があれば、2もあるかも」から来ているのだそう!「いままで働けないという経験をしていた人が、『あ、この働き方だったら働けるかもしれない』という1の経験をすることによって、その先の人生に希望を持って次のチャンスを狙いに行けるんじゃないのかなと思っているんです」と木戸さん。彼らは「無理せず働ける多様なルール」を「ワークルールシフト」と名づけ、広くさまざまな支援団体や企業へと広げていきたいと、ワークルールを支援団体や企業がともに学び合う「ワークルールシフトスクール」も展開しはじめています。

京都の「一般社団法人暮らしランプ」代表の森口さんもまた、福祉と地域、アートとコーヒーなど、異なる領域をつなぎながら、人の働く可能性の入り口を広げる環境づくりを行っています。暮らしランプのモットーは、「願うけど狙わない」、「水、空気、福祉」「ワクワクするし、ドロドロもする」。一人一人の生き方やあり方に向き合って現場での実践を重ねながら、誰もが「働ける」ということを実現させている事例を多数お話しいただきました。

関西には、東京都のようなソーシャルファームを支援する制度はありません。でも、お二人の活動は、ソーシャルファームの理念を独自の形で実践してきたものと言えます。「福祉という仕組みを上手に使いながらアレンジされている」と近藤先生は指摘され、これを「野生のソーシャルファーム」と名づけました。東京から参加されたソーシャルファーム認証企業であるディースタンダード社の小関さんも、株式会社ローランズの福寿さんも、実はソーシャルファームへの支援が始まる前から取り組み、認証制度ができてから認証された会社です。

後半のディスカッションでは、近藤先生から4人のみなさんに対して、「もともとやっていたことが制度ができて認証されたわけですが、今後、どういったものがあれば、ソーシャルファーム的なものが世の中に広がっていくのか。また、関西から見てどういうことが進んでいくと、よりこうしたソーシャルファーム的な面白いものというのが日本全体に広がっていくのか」という問いかけがありました。

それに対して、福寿さんは、「ソーシャルファームに経営的な視点で支援してくれる民間の中間支援組織があったらいいし、つくりたいですね」、小関さんは「ソーシャルファーム同士のつながりが必要。我が社でもどうしてもITが合わない人がいるのだが、そういう時のためにもネットワークがほしい」。

木戸さんは、「『ニモアルカモだからできるんでしょ』ではなく、スケールアウトしていきたいんです。すでにある野生のいろいろな取り組みをつなげていきたい。僕らの組織単体で実現しようというよりも、手を組みながらやっていくほうが、僕らの理念に沿っている。僕らは「0→1」のワークルールの実験をしていくというところに存在意義がある。もっと別のアプローチが得意な人もいるでしょうから、“社会の中の役割分担”みたいなイメージがあります。ワークルールシフトスクールも広げていくための取り組みのひとつだと考えています。ワークルールシフトでもソーシャルファームでもいいんですが、企業でも支援団体でも個人でも“誰でも取り組める”というかたちになって広がる形になったらいいと思います」。

「そもそも一人ひとり違いますよっていうことを早くみんなが理解するっていうことなんじゃないかなと思います。一人ひとり違うところを生かし合って調整して、なんか面白いことやりませんかって誘える人がいるかどうかが、ソーシャルファームが広がることかなと思います」と森口さん。

毎回思うのですが、「こんな人とこんな仕事ができた」とか「こういう働き方もあるよね」「こうやってみた」などと「ああだね、こうだね」と言い合いながら、ソーシャルファームの意味や在り方を考えるこのような対話の場は本当に大事だと思います。今回は特に関西から来てくださった2名のゲストの“野生”の取り組みをうかがい、「やってみる」ことの大事さ、広がっていく可能性を感じました。最初の「1」は小さくてもありさえすれば「2」もあるかも。「制度によって野生味が失われることなく、本当の価値や良さを大事にしながら仕組み化していくことも、今後、またどんどんこのシブヤ大学の場を使いながら発展させていけたら素晴らしいな、という思いを強めました」と近藤先生。

ソーシャルファームのネットワークも、ソーシャルファームに伴走し支援する組織など、今後も「どうする?」を考え続けられる、そんな余韻を残した2025年度の最終回でした。