シブヤ大学

授業レポート

2016/10/26 UP

秋めく季節に、草木で染める
~自分の色を、見つけてみよう!~

草木染めというと藍染めが有名ですが、実はわたしたちの身の周りにあるものでできるそうです。
今回の授業では、服飾デザイナーで染色家の栗須朋子先生をお招きし、エコバッグを草木染めしました。

通常は染色の材料となる草木を探してくるところが草木染めの一番の醍醐味なのですが、時間の関係もあり、授業ではあらかじめ染めるための材料の準備、染料液を作ること、綿のバックに草木染めの染料がしっかり染まるように精錬するという下準備はあらかじめ先生にしていただきました(ここでの精錬とは綿についている不純物を取り除いて天然の染料でもしっかり染まるようにすることです、天然染料はタンパク質に染まるのですが、木綿や麻は植物性の繊維なのでタンパク質がなく、草木染めの染料では染め付きが弱いため、前もって布地にタンパク質をしみこませておく作業が必要です。豆乳などを使って下処理することで濃い染めつけも可能になります)。

今回の染料は3種類、色見本で自分の好みの色を選び、3グループに分かれました。
グループ1:紅茶(ベージュ)                          
グループ2:セイタカアワダチソウ(たまご色) 
グループ3:赤タマネギの皮(カラシ色)



思っていたより意外と簡単なんです、草木染め!!

◎染料につける
各テーブルには自分が選んだ植物などを30分くらい煮詰めた染料液とビー玉と輪ゴムがたくさんありました。
バッグに模様を入れるために、輪の模様になるようにバッグにビー玉を包んでゴムで縛ったり、段々模様になるように布を折ったり、波紋のようなデザインにするために輪ゴムで縛ったり、各自、自分のインスピレーションにまかせて創作していきます。その後、60-70度の染料液の入った鍋にバッグを入れて15分ほど浸けます。
鍋に入れると、それぞれ色がだんだん染まりはじめました。これからどんなふうに変化するのでしょう? 
みんなウキウキしはじめ、教室は一気に盛り上がりました。



◎水洗い→媒染液につける→水洗い→もう一度染料液に浸ける
布に付着した汚れを軽く落とし、色を定着させるために媒染液(焼ミョウバンを入れた液体)に15分浸す。
時間がきたら水で軽く洗い、軽く絞ってもう一度染料液に15分ほど浸ける。

◎乾かす
軽く水洗いし、帰るまでの数十分間、窓際に用意した竿にみんなの染めたバッグを吊るし、乾燥。
十人十色、それぞれの個性が自然に現われ、きれいに染まりました。ちなみに私はセイタカアワダチソウのグループのみなさんと混じって授業に参加したのですが、思いのほか色が濃く染まり、カルダモンパウダー色に。思いっきり私っぽいものが出来上がりました。



草木染めに必要な道具は特別なものはなく、キッチンにある鍋、ザル、菜箸、ボール、はかり、計量カップ、温度計、厚手のゴム手袋と、家に帰ってすぐにでもできそうです。材料のうち焼きミョウバンは買う必要がありますが、紅茶はティーバックで煮出していましたし、今回は赤タマネギで染色しましたが、普段食べている茶色のタマネギの皮でも大丈夫、茶色のタマネギはオレンジ色に染まるそうですよ。 

自分の周りにある身近なものでこんな素敵な色が生み出されるんだ!と心が温まる感動を味わうことが出来ました。材料の状態やその日の天候によっても色素は変化するので、同じ種類の植物でもどれ一つとして同じ色はないそうです。そんなところも草木染めの魅力のひとつだと思いました。

ブドウなど鮮やかな色の果物やナスなどの濃い色の野菜の皮、栗や落花生の皮、お花の花びらなど、そのまま捨てていたゴミも染料になるそうです。まずは手始めに美味しく味わった後のコーヒー・緑茶・紅茶を使ってハンカチやTシャツなどを染めてみようと思いました。

授業では草木染めをするための材料集めは出来ませんでしたが、実際公園などへ出かけ、草木や花びらを集める下準備もとても楽しそうです。歩きながら自然の色の美しさを肌で感じながら自分だけの色をみつけるための材料探しにまずはでかけてみませんか?集めるところから染色までの過程すべてが季節感を楽しむことに繋がるのだな、と思います。

自然を生活に取り入れられる草木染め、楽しみながらエコにもなる。
これから冬に向けて、寒い日でもほんわか気分になれる趣味がまたひとつ増えました。



(レポート:高木夕子/写真:田中健太)