シブヤ大学

授業レポート

2016/6/3 UP

今年も一枚、浴衣を縫います〜この夏の浴衣づくり2016(第一回)〜


浴衣を作ります。しかも手縫いで!というシブ大名物(?)の授業も今年で3回目。自分で選んだ反物を自分で切って自分で縫う、という割とタフな内容ですが、補講2回と合わせて全5回で7月の完成を目指します。1回目の今日は「反物選び」〜「裁ち」〜「縫い(身頃)」の3工程。これだけ聞くと単純なようですが、果たして・・・!




七五三や小学生の夏祭りで浴衣を着て以来、という方から、たまに着物を着て出かけますよ、という方まで、和装との接点はまちまちな生徒のみなさん。共通点は「さすがに手縫いで浴衣を作った事はないです」ということで、本当にできるのだろうかという不安と、出来上がったら浴衣パーティに行きたいという期待が混ざりあったまま、お好きな生地を選んでいきます。




先生が持ってきてくださったのはデッドストックの反物。ここが最初で最後の出会いとあって、広げてみたり交換しあったりと、みなさん楽しくも真剣な生地選び。鏡の前に行列ができます。 



さて、選んだ反物を裁っていくわけですが、一枚の長い布を「身頃」「袖」「衿」「衽(おくみ)」に分ける必要があります。自分の身丈を基準にそれぞれの長さを測り、どこで裁つか印をつけていきます。簡単なようでこれが難しい!なにしろ反物は10m以上もあるので、今つけたのはどこの部分の何の印だったのか、すぐ分からなくなってしまいます。ここで間違うと裁ったあとに取り返しがつかなくなってしまいますので、みなさんとても真剣。感想を伺おうと声をかけられる雰囲気ではありません。


とはいえ、タミカ先生・あや先生の細やかなアドバイスと励ましのおかげで大きなトラブルもなく、みなさんの作業は順調のようです。




そして、緊張の一瞬。皆さん色んな思いを抱きながら、慎重にばっさりと。切ってしまったらもう後戻りはできません!




実は、裁つ前に柄合わせを行っています。身頃になる生地を体に当ててみて、柄の向きや配置などを確かめていきます。前だけでなく後ろにも柄がありますが、自分では見えないし、まだ布一枚の状態ですので、実際の仕上がりを頭の中に描きながらの工程です。先生たちにベストな配置を相談したり生徒さん同士で悩んだり、洋服の試着とはまた違った楽しさがあります。



気の張る作業でしたのでちょっと休憩中。タミカ先生(右)の専門は和裁、あや先生(左)は洋裁ということで、この二つの違いを教えてもらいました。大きな違いとして、和裁は「切るのも縫うのも直線」で「出来上がりが平面的」ということと、「生地を余らせながらつくる(余った布は内側に折り畳んでとっておく)」、ということ。一方の洋裁は「体のラインに沿うようなカタチに切って縫う」ので「立体的」になることと、「厳密に縫い代の幅を決めて生地は余らさない」というところ。


和裁は、この「余らせながらつくる」ことにより、お直しがとても簡単にできるのだとか。代々受け継ぐ前提で着物を作るのも、この仕組みがあってのこと。和洋でこんな違いがあるのですね。私は和装はまったくしないので知らない事ばかりで、みているだけでも勉強になる授業です。



本日最後の工程は、左右の身頃を縫い合わせていく「背縫い」です。このとき、縫う位置や次回授業で袖をつける位置にコテで印を付けていきます。丈夫にするために二度縫いするのですが、直線とは言え長い距離を縫う事には変わりません。授業時間も残り少なく、あとは時間との戦いです。終わらなかったら宿題ですよ。


ちなみに「運針」という縫い方で縫うと早くできるそうで、タミカ先生の実演を。頭では分かるのですが、実際にやって見るとこれが本当に難しいのです。マスターできたらカッコいいのですが・・・練習あるのみ、だそうです。やっぱり。


  


さて、次回6月18日(土)の授業では、「おくみ」と「袖」をつけていきます。一枚の布のときはあまりイメージが湧かなくても、「袖」をつけると一気に完成系が見えてくるのだとか。どうぞお楽しみに!


 


 


(レポート:小笠原大樹/写真:小玉裕子)