シブヤ大学

授業レポート

2007/6/13 UP

花育をとおして、想いに触れました。

シブヤ大学の花育授業は、前半で「研究のロマン」、後半で「生産者の情熱」、それぞれの想いに触れられる2本立てでした。
(花育とは:花の楽しみ方を学び、花に対する知識や関心を高める活動で、「食育」にならって農林水産省が提唱しているそうです。)

まずは、「植物生体エネルギー」について。植物の秘めている未解明のエネルギーを最大限に引き出し、エネルギー不足をも解決してしまおう!というもの。
環境やエネルギーの問題について先生が語られ、常に「守らねばならない(か弱い)存在」である植物が、なんとエネルギー危機解決の主役を担ってくれるかもしれないなんて、まったく逆転の発想でびっくり。これが実用化されて先を争うように植物が増やされ、どんどん緑が増えていったら・・・想像すると嬉しくなっちゃう展開ですよね。そうなるまでには更なる研究&他技術との競争が待っているのでしょうが、「実現したらいいなぁ」と夢見ることができる、ロマンがある研究だと思いました。
私たちの生活は多くの技術のおかげで成り立っていますが、その技術が生まれ磨かれてきた過程を意識することはほとんど無いような気がします。まして、現在主流となっている技術に敗れ消えていった他の技術のことなんて、実際に携わった人以外には知る由も無いのではないでしょうか。日々の研究開発作業自体は、私たちにとっては難解で無味乾燥に見えがちだけれど、携わる方々の心の中には、熱い想いが秘められているんだろうな・・・と思わせてくれた授業でした。

お次は、「浜田バラ園」のバラ作りについて。
生産性重視の生産者さんが多い中、「一輪でも楽しめるバラに出会って欲しい」との想いの下で、手間と愛情をたっぷりかける生産をしていらっしゃいます。
浜田さんのバラをよく表す特徴のひとつは、細く締まった丈夫な茎。この茎のおかげで楽に水を吸い上げることができ、美しい花や良い香りにより多くのエネルギーを費やすことができるそうです。
そんなバラを育てるための環境作りを、浜田さんは「バラの衣食住」と「適度なストレス」と表現しておられました。
自然の森のような環境を再現するため、土作りや栄養には細心の注意を払う一方、時には外気の冷たい風にあててストレスを与えてやる。そうすると、バラが本来持っている力を発揮して強くなるのだそうです。
バラも人と同じなんですね・・・。浜田さんがバラにしていることを、私は自分自身や周囲の人にできているのかなぁ、と授業中にも関わらず考え込んでしまいました。浜田バラ園出身のバラの言葉が聞けたら、「浜田さんに育ててもらえて良かった!」と胸を張りそうな気がします。

良い香りのなかで、良いバラの育て方、選び方、切花の世話、気軽な楽しみ方までを教えていただいた後、浜田さんからは生徒さんのうち5人にバラの苗を分けていただきました。5人の方はお互いの苗の様子を知らせあうため、その場で連絡先を交換していらっしゃいました。楽しみですね・・・!授業をお手伝いした者としてとても嬉しい光景でした。

(ボランティアスタッフ 藤原紘子)

【参加者インタビュー】
1. 久美子さん:
「花をより身近に感じることができました。花・植物は見るだけでなく、一緒に生活する仲間なのだなと思いました。バラに敢えてストレスを与えるというのがとても心に残りました。」

2. 匿名さん:
「生体エネルギーの作用でレモンの味が変わる実験が面白かったです!」