シブヤ大学

授業レポート

2014/12/5 UP

アナウンサーと一緒にブラインドサッカー実況中継に挑戦!
~ブラサカ世界選手権開催記念☆~

ブラインドサッカーってご存知ですか?
今年11月16日~11月24日まで、代々木公園フットサルコートにて、ブラインドサッカーの世界選手権が開催されます。
いわば、ブラインドサッカーのW杯です。
ブラインドサッカー、耳馴染みのないワードかもしれませんが、せっかく日本で初開催されるなら、ブラインドサッカーをみんなに楽しんでもらうきっかけを作ろうという授業です。

今回お招きした先生は、ブラインドサッカーチーム buen cambio yokohama監督 知花さんと、TBSアナウンサーの清水さん。

まずは、知花さんからブラインドサッカーのルール説明をしていただきます。
そもそも、ブラインドサッカーとは何か。
視覚障害のある方が、アイマスクをし、5人1チームになって行うサッカーのことです。
キーパーは晴眼者、残り4名のフィールドプレーヤーは、視覚障害者です。見えるレベルがそれぞれ違うため、全員アイマスクをつけ同条件にした上でプレーします。

ピッチは、フットサルコートと同サイズ。試合は、前後半ともに25分間です。
ブラインドサッカーは、フィールドプレーヤーが目が見えない状態でプレーをしますので、ボールには転がると鈴のような音がなるような構造になっています。その上、コートの外から、監督とコーラーがフィールドプレーヤーに声をかけ、ボールのある場所、今立っている位置、ゴールの方向などを指示していきます。
実際、ブラインドサッカーの映像を見ましたが、本当は目が見えているのではないかと思うくらい、速いスピードで試合が展開していきます。見えないことから、選手同士がぶつかり合うこともしばしば。普通のサッカーより迫力があるように思いました。

さて、ブラインドサッカーの基礎知識がわかったところで、今回のメインイベント。
TBSアナウンサーである清水さんから、実況アナウンスの仕方を教えていただき、チャレンジします!!

今回、なぜ清水さんに講師として来ていただいたか、という最大の理由は、世界選手権を視覚障害のある人と一緒に楽しむにはどうしたらいいか、ということを考えたかったから、と授業コーディネーターの松田さんは言っていました。
清水さんはラジオでの実況アナウンスもされる方で、ラジオでの実況というのは、リスナーが目の前で試合や映像を見ていないことが前提で、そのため見ていない人に情景が伝わりやすいコツをご存知ということになります。それは、つまり、視覚障害の方にも伝わるアナウンス方法を心得てらっしゃるということになるので、このコツを教えてもらって実況に挑戦してみようということでした。

清水さんから教えていただいた、実況のポイント。
「リスナーが何を聞きたいか、知りたいか、常に考えて話すこと。」
サッカーの場合、①現時点での得点、②前後半何分か、③言葉でボールを追う(自分がいる場所を基点として、誰がどの位置でボールを持っているか伝える)、この3点が重要なポイントだそうです。
確かに、ラジオの場合、映像が無く音声だけで、ゲームが頭の中に描かなくてはいけません。だからこそ、聞いている人がほしい情報を端的に伝えていくことが求められるのだと思いました。

清水さんのアドバイスを聞いて、各自映像に合わせて練習をする前に、先生がお手本を見せてくれました。ちなみに、今回の教材に使われる映像は、清水さんも初めて見る映像です。
清水さんが実況を始めた瞬間、すっとその場に引き込まれるような臨場感を感じました。これこそが、プロの技。生徒の皆さんは圧倒されてしまいました。

気を取り直して、実際に練習です。グループに分かれて、1人ずつ練習をしていきます。私も実際にチャレンジしました。映像を見ているだけだと、こんなこと言おうとか、頭の中で言葉が浮かんでくるので、もしかしたらいけるかも!!なんて思ってしまっていましたが、すぐに期待は総崩れ。
言いたいことがあるのに、言葉が出てこない→次のプレーに進んでしまう→ボールを見失う、この繰り返し。「あっ。」とか「シュートしました」とか、単語しか話せず練習終了。

最後に、1人1分ずつ、生徒全員の前で練習の成果を披露しました。今回の授業には、視覚障害の方3名にも参加をしていただいたので、発表の後には、清水さんからの講評の他に視覚障害の方からもアドバイスをいただきました。視覚障害の方からは、ボールがある場所を教えてほしいという感想が上がり、いかにポイントを押さえて伝える必要があることに気づきました。

私たちは、常に見えているからこそ気がつかないことも、見えない人には細かく伝える必要があります。今回は、実況という経験を通じてでしたが、いかに“伝える”ということが簡単そうに見えて難しいことか、考えさせられました。
それは、目が見えている人同士の会話でも同じなのかもしれません。
ブラインドサッカーは、視覚障害の方のスポーツなのに、同じ視覚障害の方は、誰かのサポートなしではサッカー観戦を楽しむことができません。だからこそ、完全な実況じゃなくとも、晴眼者がゲームの内容を伝えていくことで、視覚障害の方が視覚障害の方を応援することができるようになります。

今回の世界選手権でも、FMラジオを会場に持っていけば、その場で実況を聞くことができ、誰でもゲームを楽しめるようになっているそうです。今回の授業を通して、ブラインドサッカーだけでなく、視覚障害の方をサポートするというきっかけづくりになりました。
授業後には、世界選手権のチケット、どこで買えますか?など、皆さん興味を持っていただけたようでした。2020年東京で開催されるパラリンピックに向けて、みんなでブラインドサッカーを盛り上げて行きましょう!!

レポート:箕田 真衣
写真:永田侑子